ラテンアメリカ財政の特徴は歳入にある。
第一に、歳入がGDPに対して低い。平均歳入額はOECD諸国でGDPの42%であるのに対し、ラテンアメリカでは23%に過ぎない。
第二に、税の捕捉率が低い。純粋な税収はGDP比16%で、OECD諸国の35%と大きな差がある。税収以外の収入がGDP比8%以上を占める。
第三に、直接税の比率(直間比率)が低い。OECD諸国が42%であるのに比し、ラテンアメリカでは25%にととまっている。
第四に、直接税の中でも所得税の占める比率が低い。OECD諸国が27%であるのに対し、ラテンアメリカではわずか4%である。
LATIN AMERICAN ECONOMIC OUTLOOK 2009 による

要するに金持ちがやらずボッタクリの生活を送り、それを政府が支持しつつ、大衆収奪路線を推し進めているわけだ。しかも政府には信頼がないから、取れるところからだけ取って済ましている…というのがラテンアメリカ諸国政府のありようだ。

所得の再配分機能など到底期待できない。共同体など「幻想」どころかお笑い種だ。

こういう歳入構造が歴史的に形成されてきた。そして民衆の上に覆いかぶさってきた。「失われた10年」と「絶望の10年」がその帰結を赤裸々に開示したのだから、この10年間に相次いで誕生した革新政権は、相当長期間にわたって支持され続けるだろうと思う。
ただしその革新政権も、まだ金持ちの懐に手を突っ込んで正当な税を徴収するところまでは至っていない。それが2008年におけるラテンアメリカの状況だ。

ところで、研究報告で、マックス・ウェーバーなどの近代政治学の手法を用いて分析しているのを見かけるが、それは無駄な作業だ。これらの国で通用するのはマルクスだけだ、