若い頃は金などなく、レコードなどめったに買えなかった。せいぜいフォンタナの1200円盤しか手が出なかった。時たま、レコード屋でパンチ穴の開いた今で言うアウトレット盤が出ると、引き出しから大枚二千円をポケットに入れ出かけたものだった。 下宿代が賄いつきで月7千円、生協のC定食が90円の時代である。 そうやって買ったのがクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団のワーグナー序曲集だった。だからこの曲のこの演奏はクレンペラー以外にない。シノーポリ指揮のフィルハーモニア管弦楽団の演奏はまさにクレンペラーそのものだ。それだけで最高だ。 テンシュテットの演奏はそれとはだいぶ違う。しかしこれも良い。 ショルティは、いつも思うのだが、この人は一流ではない。この人からは知性が感じられない。ロゴ付きジャージで高校のブラスバンドを指揮しているのがお似合いだ。 YOUTUBEではもうひとつゲルギエフの演奏が聴かれるのだが、この人はもっと知性がない。ソ連崩壊のドサクサで出現したオナラみたいな人である。猛烈に臭い。行者にんにくが好きな人にはお似合いであろう。 高校時代に駿府会館でショルティ指揮ロンドン交響楽団を聴いた。ベートーベンの4番と7番、いま考えるとクライバーの十八番だ。しかしその頃は4番も7番も知らなかった。 アンコールのハンガリア舞曲第5番だけは鮮烈に覚えている。トロンボーン3本の迫力はすさまじかった。 このときのメイン指揮者は当時89歳のピエール・モントゥー。ドサ回りをショルティとアンタール・ドラティが引き受けた。いま思うととんでもない顔ぶれである。