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Wall Street Journal Japanese Edition  オピニオン 2011年 4月 19日

東電は必要なら破綻も-電力会社は銀行ではない

星岳雄、アニル・カシャップ、ウルリケ・シェーデ

きわめて論旨明瞭、分かりやすい文章だ。

最初に結論部分から紹介する。

 東電は銀行ではなく、元世界最大手のエネルギー取引会社「エンロン」と同様に考えるべきだ。エンロンは誤った経営判断で破綻に追い込まれた。その破綻は混乱を引き起こしたが、システム全体を不安定化させることはなかった。

 東電は重要な日本企業だ。だが、通常の企業に課された法律を免れるほど重要ではない。

 論文はまず、90年代の金融破たんとは違うことをはっきりさせる。

東電は1998年の一部の銀行と同様に支払い不能に陥る可能性が ある。規模も大手行並みに巨大で、経済を機能させるために不可欠である。

だが、銀行と東電のような企業の間には根本的な違いがある。銀行の調達資金は、預金者やその他投資家からの信認が失われればたちまち枯渇してしまう。さらに、ひとつの銀行で支払い不能に陥れば、他の銀行に連鎖する可能性がある。こうした危機の飛び火は金融システムの大部分を危険に陥れかねない。

これに対し、東電の調達資金の大半は長期債券であり、債権者が直ちに返済を要求する仕組みにはなっていない。東電は競争にさらされていない地域的独占企業であり、安定的な収益源があることだ。しかも、東電の破産によって他の電力会社が危機に陥ることはない。

会社更正法に基づく通常の破綻処理では、企業は営業を続けたまま何の問題もなく破産と債務再編の手続きを進めることができる。

東電を通常の破綻処理から免責しようとすれば、安全性と効率を求める市場圧力から東電を隔離することとなり、モラル・ ハザード(倫理の崩壊)という新たな問題が発生する。