みずほアジア・オセアニア インサイト 6月14日号
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/asia-insight/asia-insight110614.pdf

震災はアジア経済にもさまざまな影響を及ぼすと予測されている。

第一に、サプライ・チェーン問題がある。日本からの部材輸入が途絶えることにより、アジアの生産が減少する可能性である。日本からアジアへの輸出のうち、部材(中間財)の占める割合は、90年の62%から09年の71%に増大している。

第二に、日本経済の悪化に伴う対日輸出の落ち込みである。しかしアジアの輸出先としての日本の存在感は低下しており、現在では10%前後に過ぎない。

第三に、日本企業の対アジア投資・進出の停滞である。シンガポールの経済紙は「国内の復興投資に専念するため、日本企業の対外投資ペースは低下する」との見通しを示している。
しかしこれについては、「日本企業は自然災害のリスクを分散するために、生産拠点のアジア移転を加速させる」との期待も持たれているという。

しかるにタイ現地調査では、自動車生産はすでに旧に復している。その理由は、タイにおける自動車生産の2/3が商用車、残りの乗用車も安価な小型車が主力であり、カーナビやエアコン、高度な駆動系制御装置は搭載していないからだ。

日本総研アジア・マンスリー 2011年6月号
http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=19672

内外需の拡大に支えられてアジア経済は安定成長を続けているが、インフレ圧力の増大と東日本大震災の影響が懸念材料となっている。

今年第一四半期の統計を見ると、実質GDPは中国+9.7%、シンガポール8.5%、イン ドネシア6.5%、台湾6.2%、韓国4.2%となっている。輸出の拡大に加えて、民間消費や固定資本形成などの内需が成長を支えている。

いっぽうで、旺盛な資金需要と原油や食料品価格の高騰からインフレ圧力が強まっている。しかし各国通貨の対ドルレート上昇によりかなり相殺されている。各国は金利引き上げで引き締めを図っている。ベトナムでは13%にまで達している。インドでは自動車販売の伸び率が10%台へ低下するなど、利上げの影響が表れ始めている。

こうした中で東日本大震災の影響が顕在化しつつある。マイナス効果として、①日本向け輸出の減少、②原材料・生産部品輸入の減少、④サプライチェーン途絶による減産などがあげられる。いっぽうでは、①日本国内で品薄となった財の調達需要、②日本製品からアジア製品へのシフト、③アジアへの生産移転の加速などがあげられる。

短期的には復興特需などプラス面が前面に出てくる(たとえば韓国では、日本企業による石油製品や LNGなどのエネルギー、ミネラルウォーター、ラーメン、乾電池などの日用生活品調達により対日輸出額が70.1%増となっている)

Asia Weekly (5/23~5/27) 第一生命経済研究所 経済調査部
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/asia/pdf/as11_022.pdf

シンガポール経済動向

4月の鉱工業生産は前年同月比▲9.5%となり、17 ヶ月ぶりにマイナスに転じた。前月+97.2%と大きく増加したバイオ・化学関連が同▲31.6%の大幅減少になるなど、全般的に生産が縮小している。

東日本大震災による部材供給問題は短期的に生産活動の足かせとなる可能性があり、貿易量の縮小も懸念される。

ざっと見てみたが、大震災の影響評価に関しては隔靴掻痒の感を免れ得ない。アジア経済は日本の大企業を頂点とする垂直分業の関係にあるわけで、たんなる市場関係ではない。

とすれば、その指標は資本関係の諸表に現れてくるはずだが、それはこれからの動きということになるのだろうか。

第二に、この国際分業はそもそも対米貿易摩擦の回避、プラザ合意後の円高不況からの脱却策として80年代後半から進行したものであり、元来は対米迂回輸出のためのシステムであった。

したがって日本・アジアの関係からだけ見ても問題は浮かび上がってはこない。これに米国を加えた総体としてみておかないと、何も見えてこない可能性がある。

とりあえずは日本企業のアジア新規投資の動きに注目しよう。