久しぶりに東京に行ってきました。田町の日航ホテルに二泊。14階建てですが、いまや超高層ビルの陰に埋まって地味にやっています。羽田からモノレールで やって来ると、港区体育館のちょっと手前に見えます。たくさんマンションがあってお金持ちの住んでいるところです。マンションの値段は分からないが、駐車場 の相場が7,8万だそうです。年収2千万はないと落ち着いて暮らせないでしょう。 研修会のあと高円寺の古本市を見てきました。いい古本がなくなって、ごみみたいな古本か1/2の店で売ったほうが良さそうな本ばかりです。それでも3,4冊ほ ど買いました。天気は最高、高円寺の商店街もいい賑わいでした。 電車に乗っていて、若い姉ちゃんが日経を読んでいたのにはびっくりしました。あんちゃんも日経を小脇に抱えています。ちょっとしたストリートファッションなので しょうか。「いっちゃぁ悪いがそれはカブヤの新聞で、競馬の予想紙と基本は同じですよ、品性疑われますよ」と言いたい気分になりました。といいつつもちょっと 気になるので、駅前のルノアールで目を通しました。確かに面白い。大企業の東電がらみの狼狽振りが良くわかって面白い。 経団連も同友会も、基本的にはゆすりとたかりの構造は変わっていません。政府を通じて金は取れるだけ引き出そう、出すものはただの一文だって出すものか という気迫が伝わってきます。最後にはお定まりの「国際競争力」です。ただこの脅し文句が効かなくなってきているのです。親方日の丸だけで行かなくなって内 輪もめが始まっています。 政府は東電をすっかり人質にとっています。浜岡原発の停止だって財界は面と向かって反対できませんでした。「株主に対する責任」という言葉は途中から飲み 込まざるを得ませんでした。国民の猛反発を食らうことは間違いないせりふだからです。これは相当の衝撃だったと思います。いままで政府に対してすっかり見 下す態度だったのが、いまや完全に力関係は変わりました。 東電が民間企業であると主張するなら無限責任を負うべきです。自分がつぶれてでも債務と賠償責任は果たさなければなりません。責任が果たせないのなら、 国の支援を受け入れるだけではなく、国の管理に移行すべきです。海江田大臣が「給料50%削減では足りない」といったのはそういう意味での先制パンチです。 東電の立場を弱めているのは、金融界からの反発です。当初東電は支払い能力を口実にして賠償額を値切ろうという路線でしたが、それは経済団体の一致し た支持があっての強腰です。ところが債務削減策が現実のものになってくると金融界から猛反発が出てきました。「政府の裏書があったとしても東電みずからの ガバナビリティがなければ金は出せません」という当たり前の見解です。まさにここに来て東電の企業体質が問われ始めたのです。 ベンツに乗った紳士が交通事故を起こした。調べてみたら強制の自賠責しかもっていなかった。金がないから補償できないという、この紳士信用できますか? こんな男に金貸したら、銀行の株主総会で何て言われますか。 金融界が叛逆ののろしを上げたら、もう経団連はやってゆけません。大企業の利権集団の屋台骨がぎしぎしと音を立てて揺らぎ始めています。日経新聞を読ん でいるとそのうめきが聞こえてくるようです。