11月12日 朝日新聞

放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会の川端和治(よしはる)委員長は「放送法を根拠にした 放送への政治介入は認められない」と主張した。

BPO放送倫理検証委員会は、NHK「クローズアップ現代」の放送倫理違反を指摘した。この意見書の中で、政府や自民党を批判した。

これに対し、安倍晋三首相や高市早苗総務相らが反論した。

検証委員会の川端委員長は、要旨以下のように反論した。

放送法が倫理規範であるということは、ほとんどの法律学者が認めている。

一方で、放送免許の許認可権を持つ総務省、旧郵政省は放送法に法規範性があると考え、その立場から行政指導をしてきた。

我々との間には立場の違いがある。そのことは十分承知している。

我々が「倫理規範」と解釈する理由は、放送法が成立した経緯にある。

放送法は1950年に国会に上程された。その際の趣旨説明では 「放送番組に対する検閲、監督等は一切行わない」と述べている。

つまり、「政治権力が直接規制を加えるならば、表現の自由を保障する日本の憲法のもとでは問題がある」という判断だ。それは戦前の日本の言論統制に対する反省にもとづいている。


上記の記事は、「クローズアップ現代」問題が分からないと、いまいちピンとこない。

これについても朝日新聞が報道している。(11月7日)

NHK「クロ現」過剰演出は「重大な倫理違反」 BPO

1.「クローズアップ現代」過剰演出の中身

昨年5月に「出家詐欺」という番組が制作・放映された。

この番組は、多重債務者がブローカーの手引で出家することによって、債務を免れる手法について報道したもの。

出家詐欺のブローカーの活動拠点を多重債務者が訪れ、出家について相談するという場面。初対面のようなやりとりをするが、実は2人は旧知で、場所も多重債務者が管理するビルの空き部屋だった。

というから、過剰演出というよりほとんど“芝居”に近い。

この点についてBPOが指摘し、NHKもこれを受け止め再発防止策などの手立てを講じた。

ということで、基本的にはこれで決着のはずだった。

2.政府の「行政指導」

ところがこれに政府・自民党が噛み付いた。この記事だけからでは良く分からないが、“高市早苗総務相がNHKを厳重注意し、自民党がNHK幹部を呼んで説明をさせた”らしい。

そこでBPOは政治の干渉を重大な問題と受け止めた。そして報告書の中で政治干渉を厳しく批判した。これが問題が大きくなったきっかけである。

委員会の政府批判は次のような柱からなっている。

①高市総務相の“厳重注意”は、「報道は事実をまげない」など放送法の規定を根拠にしている。

②しかし、これらの条項は放送事業者が自らを律するための『倫理規範』であって、政府が介入するべき法規範ではない。

③政府が放送法の規定に依拠して個別番組の内容に介入することは、(放送法の趣旨から見て)認められない。

④したがって、総務相による「厳重注意」は、放送法が保障する『自律』を侵害する行為である。

⑤高市総務省とは別に、自民党情報通信戦略調査会もNHKの幹部を呼び番組について説明させた。これも「放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものである。

なお、検証委員会が国や与党に異議を表明するのは、発足いらい初めてのことだそうだ。

3.事態はのっぴきならなくなっている

高市総務相はBPOに対し早速反論している。

「厳重注意」はあくまで行政指導だ。いきすぎたとも拙速だとも思っていない。あくまでも要請であり、受けた側の自主性にゆだねるもの。法的拘束力はない。


此処から先の経過、一方における安倍首相の暴言、他方における民放連会長の決意表明は、いったん稿を改めたほうが良さそうだ。