東洋経済オンライン(09月29日)の論評記事「共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味  高いハードルを乗り越えられるか」 安積 明子

28日の生活の党小沢代表との会談。「小沢代表から『共闘は従来の方針の大転換で、高く評価する』と言われた。全面的に合意に至った」と志位委員長が語った。

社民党との党首会談では、「大胆な踏み込んだ提案だ。様々な困難があるかもしれないが、連立政権の方向性には賛同する」との意見があった。

一方で、25日の民主党との党首会談で岡田克也代表は、「共産党と政府をともにするのはハードルが高い」と尻込みした。

維新の党は、共産党からの呼びかけに答えようとしていない。24日の記者会見で「共産党は再編の仲間ではない」と語っている。

志位氏は偶然に国会内で会った松野頼久同党代表に、「清水の舞台から飛び降りるつもりで覚悟しました」とアピールし、側にいた穀田氏が「一緒に飛び降りましょう」と誘った。


記事の感想

記者が注目しているのは、閣内閣外の条件を付けないことや首班指名に他党の党首の名前を書くこともいとわないという点だ。また政党差のある政策について「ひとまず横に置く」としている点だ。

これらは、我々にとってはそれほど奇異なことには見えない。それらは国民運動をさらに高揚させることと引き換えの条件だ。

記者は比較的リベラルな立場に立っている人のようだが、国民連合政府構想を戦術として考えているフシがある。だからすぐ算盤を弾く。ただそういう政治記者でも、「これはたんなる戦術として考えてはいけないな」と思い始めているのが感じられる。

この構想の隠された最終目標は、国民の怒りの怒涛の中に民主党を飲み込むことにある。全部が困難なら、民主党を割り、隠れ自民党を剥がし取ることにある。連合を割り、隠れ経団連を放逐することにある。労働者を財界・富裕層の思想的支配から独立させることにある。

そして、かつての選挙で民主党を押し上げた日本国民のうねりを再現し、「深部の力」をサルベージし、平和と立憲・民主主義の方向に掬いとることにある。

それは決して容易なことではない。記者が「高いハードル」と評したのも、志位委員長が中央委員会に「強い覚悟と決意」を求めた理由もそこにある。

権力の側はそれを恐れている。民主党の中では連合(そしてその背後の経団連)が、いかなる条件の妥協も拒否するよう働きかけている。ただしそれが民主党を最終的な死亡に追い込むことも恐れている。そこに深刻なジレンマがある。