“雇用のよしこ”の華麗な質問。

吉良よし子さんが参院予算委員会で「固定残業代制」を追及した。

「固定残業代制」はブラック企業が長時間労働を強いるもっとも強力な手口らしい。

これは図によると、本当の賃金(基本給)は最賃並みの12万円で、これに残業代8万円を載せて20万円なのに、募集広告では20万円が賃金として支払われるかのように見せかける手口だそうだ。

どうも良く分からないが、残業を固定するというのは実質的に長時間労働になるわけで、労基法に明らかに違反すると思うが、実際には抵触していないようである。

これが第一点目。

もうひとつは、この残業が一律強制となっていることだ。例えば固定残業時間を月80時間とすると、80時間未満の人は残業代がゼロになるということだ。

結果的に月79時間しか残業しなかった人は、その分ただばたらきしたことになる。(多少の救済はあるかもしれないが)

これは泥棒だ。

第三に、さらに問題なのはこの固定残業の時間だ。過労死基準というのがあって月80時間以上は危険レベルとされている。

しかし80時間というのはブラック企業にとっては当たり前の数字のようだ。中には100時間の残業を強制していた企業もある。

これについては「一見して不合理」との最高裁判断が下っている。不合理どころか人道的犯罪だろうと思うが。

第4は、「固定残業代制」は基本給と残業代が丸めになっていて、実は良く分からない。

残業手当というのは基本給の130%支払わなければならないことになっている。しかしどうも払っていない企業が多いようだ。

もちろん給与明細は会社の帳簿に記録されなければならないわけだから、証拠が残っているはずだが、実際にはあいまいにされているケースが多い。

東京都内だけで、昨年度割増しのサボが250件発覚している。労基署の是正勧告だから氷山の一角だろう。


そもそも、これらの問題は法律云々というより行政のレベルの話だと思う。場合によっては警察の出張るべき問題もありそうだ。

“雇用のよしこ”さんは

1.「固定残業代制」に関する全国的な調査をもとめた。

2.企業の募集案内で「固定残業制」を明示させる。基本給と残業代の内訳を明示させることをもとめた。

3.また、過労死基準である80時間を越させないようもとめた。(これには労基法改正が必要らしい)

厚労相は1,2については前向きの答弁を行った。3.は確かに厚労相一人では答えにくい、ただ立法以前にも最高裁判断の周知徹底などできることはありそうだが。

新人議員としてはよくやった、と思う。