佐賀県武雄市で起きた共産党議員懲罰問題は、いろいろ考えさせてくれる。

まずは赤旗記事から

3月15日の佐賀県武雄市議会一般質問で日本共産党の江原一雄議員が米海兵隊を「殴り込み部隊」と指摘したことについて、休憩中に市長を支持する議員らが問題視。

「議長の撤回・謝罪の求めに応じなかった」として「議会の品位を著しく汚す」 などと「懲罰」動議を提出。

自民党の一部や公明党などが28日に「懲罰」動議を強行可決、江原議員を1日間の出席停止とし、議会での言論の自由を封殺しま した。

次にネットから拾った佐賀新聞の記事

 武雄市議会で、一般質問中に議会の品位を汚す発言をしたなどとして江原一雄議員(共産)に懲罰動機が出され、最終日の28日、賛成多数で出席停止(1日)と議決した。江原議員は同日の新年度予算案などの討論、採決に加われなかった。

 江原議員は15日の一般質問で、米海兵隊について「殴り込み部隊」と発言。翌日、山口昌宏議員(自民)ら4議員が「海兵隊を侮辱した発言で市議会の品位 を著しく汚す。議長から発言取り消しが求められても反省の態度が見られない」として懲罰動議を出した。付託された特別委員会では賛成多数で出席停止(1 日)の結論を出した。

 最終日の本会議では、江原議員が「同様の発言は国会でも取り上げられている」などと弁明し、「発言は議長により議事録から削除され、懲罰の理由がなくなった」などと反対討論があったが、賛成多数で可決した。

 同市議会では2009年1月に宮本栄八議員(無所属)が「戒告」、昨年9月にも同議員が「陳謝」の処分を受けている。

佐賀新聞では、この事件を受けて「横尾 章」名の短評を載せている。

「殴り込み部隊」が米海兵隊を説明するのに、適当な表現だったかは別にして、軍事評論家などが分かりやすく形容しようと使う表現である。現地に急襲して米国民を保護するのが役目だからだ。国会だけでなく過去、佐賀県議会でも共産議員が取り上げており、沖縄県の地元紙も社説で使っている。

出席停止は除名に次ぐ重い処分。有権者の声を議会に届けられないことを意味する。議員と市民の権利を制約するものだから、だれが聞いても納得できる ものでなければ議会不信を生む。市民が求めているのは内向きの「攻撃」ではなく、議会本来の役目である執行部のチェックや政策の点検ではないか。

ということで、ほぼ妥当な判断と思う。

しかし武雄市長は妥当とは思っていない。自身のブログにこう書いている。

一方で、今日許せなかったのは、やっぱり、このヒト、江原市議。この人は、あろうことか、米軍海兵隊を「殴り込み部隊」と暴言。

一般質問とは、市政に対す る概略的質問であるべきで、何で、いつもいつも、こんなになるんだろうか。ある市民のご家族は、海兵隊員だそうで、この質問というか暴言を聞いて、泣き じゃくっておられました。牟田議長から、発言の撤回と謝罪を求められても、どこ吹く風。このヒト、繰り返しますが、議員の資格ゼロどころか、マイナス2 万。

マイナス2万というのが分からない。マージャンの点数のことか?

それにしてもアブない市長だ。「ある市民のご家族は、海兵隊員だそうで、この質問というか暴言を聞いて、泣き じゃくっておられました」と見てきたようなことを平気で言う。ほんとうに家族に海兵隊員を持つ市民がいるのだろうか。本当にその人が泣きじゃくったのか、本当にその場に居合わせたのか…

それが懲罰の理由になっているのだったら、事実を明らかにすべきだろう。あまりに言葉が軽すぎる。でまかせを言うような人物は市長になってはいけない。

問題は二つある

佐賀新聞の論評にもあるように、海兵隊が急襲部隊であり他国に真っ先切って突入する部隊であることは自他共に認められている。いわば「斬り込み」部隊である。「殴りこみ」といってもあたらずとも遠からずである。

表現の問題だけなら、例えば「斬り込み部隊」なら許してもらえるのだろうか、それでも「家族は泣きじゃくる」のだろうか。

もうひとつは懲罰規定の乱用である。

じつは武雄市議会には前科がある。昨年9月にも別の議員に同じようなことをやっている(佐賀新聞の記事)

 武雄市議会は5日、懲罰動議を出されていた宮本栄八議員(無所属)に関し、賛成多数で「陳謝すべき」と議決した。

 宮本議員は「議会だより 栄八通信」で、市立武雄保育所が耐震対策をせずに使われている現状を指摘。「これ以上、行政の不作為を続けるなら、こども部の看板は降ろして、怠慢部にでもすべき」と記した。

議会報告の記述が「行政への誹謗(ひぼう)中傷」「議会の品位を汚す」などとして、6月議会で懲罰動議が提出された。

議会本会議はこの動議を賛成多数で可決。宮本議員は議会が決めた陳謝文を「事実と違う部分がある」として朗読を拒否した。

つまり共産党だからとか、アメリカ海兵隊だから、という前に、少数意見や異論、ひいては民主主義というシステムというものに対する根深い無理解があるということだ。

この二つの問題は佐賀新聞でも指摘されたとおりだが、実はもっと深刻な問題があるように思われる。

市長のブログを見ると、「殴りこみ」の表現に本当に怒っているようだ。つまり、海兵隊を「殴りこみ部隊」とする表現が、一種の慣用表現として、メディア等でけっこう流されているという事実を知らなかった可能性があるということだ。

ここまで来ると、もう怒る気力が失せてくる。「○○やろう!」で終わりだ。

武雄という町はよく知らないが、離れ小島ではない。市というからには数万人が住んでいるはずだ。そんな街で市長や議員の多数が、「海兵隊とはどんなものなのか」知らないという状況が、今の日本にはあるということが分かった。
(その割には、海兵隊員の家族は、その泣きじゃくる現場に立ち会うほど、良く御存知のようだが…)

だから笑っちゃぁいられないのである。

江原一雄市議は、武雄市内1万7千世帯に、不当懲罰を知らせる4種類2万枚の宣伝ビラを配布したそうだ。かれは、多くの市民と話し合いしていること、そのなかで激励が数多く寄せられていると報告している。