赤旗経済面で気になる記事があった。
スズキとVWが提携を解消したというもの。
この2社は2009年に資本・業務提携に至った。環境性能に優れた小型車の開発を目指すものだった。
しかしこの連携は同床異夢というか、思惑がすれ違ったまま走ってしまったようだ。
おそらくVW側はスズキを傘下に収めることで軽自動車までふくめたラインナップを広げることが目的であり、スズキ側はエコカー技術の供与を期待していたようだ。
ただ提携の進行経過を見ると、どうもスズキはエコカー技術の供与を契約書で確認していなかったように見える。VW はスズキ株の20%を保有するという形で資本投下した。増資ではなく発行済み株式を2千億円以上で買い取り、筆頭株主となっている。
しかしスズキの欲したのは2千億の資金ではなくエコカー技術だった。多分ここからすれ違いが始まっていくのだろう。規模の違う企業の提携では強者の意向が反映されるからしかたがない。
結局VWの技術をもらいそこねたスズキは、フィアットのディーゼルエンジンの調達に踏み切った。これを怒ったVWが国際仲裁裁判所に提訴した。
それで、国際仲裁裁判所が資本・業務提携の解消を認めたという経過になる。「結婚生活の継続は無理だ」と判断したわけだ。ただし、紛争の原因はスズキ側にあるということで、VW側の損害賠償請求を認めた。
そこで今回、スズキは提携解消と株式の買戻しを受け入れ、損害賠償については引き続き争うという姿勢を示した。
多分スズキ側にも言い分はあると思うが、口約束や雰囲気で契約書にサインした責任は負わざるをえないわけで、経営者のなんらかのトップの責任は免れ得ないだろう。
どうも東芝と言い日本企業は契約に関して脇が甘いように思えてならない。契約の中核部分は法律事務所任せにせず、こちらの意思をしっかり押し出すべきで、そこが確約が取れないなら契約は諦めるべきだ。それがガバナンスというものだろう。
というのがコトの顛末で(正しいかどうか分からないが)それはそれである。
しかし私が注目したのは、「国際仲裁裁判所」という機構である。
“ひとくちメモ”みたいな形で説明が載っている。なんとこれは民間機関なのだそうだ。
1.複数の国にまたがる企業などの紛争を解決することを目的にする。
2.この民間機関は紛争を審議し「仲裁判断」を出す。これは確定判決と同様の効力を持ち加盟国に強制執行される。
3.その権威は国家間の「ニューヨーク条約」に基づいており、加盟国は「仲裁判断」に基づく強制執行を甘受しなければならない。
4.国際仲裁裁判所にはパリ国際商業会議所(ICC)付属のもの、米国仲裁協会(AAA)、ロンドン国際仲裁裁判所などがある。
ということなので、要するにヤクザ組織の“仕切り役”みたいなものだ。そんなものが超国家権力を握っていることになる。
なかなか恐ろしい時代になっているのだということを初めて知った。
いずれにしても、ひとくちメモでは不足だ。もう少し勉強して置かなければならない。
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