天皇陛下のお言葉が静かな反響を呼んでいる。27年間で最も長いおことばだそうだ。以下は朝日新聞から全文。

「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に70年、戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがありません。
 ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
報道では、首相談話との関係で「深い反省」が注目されたが、私の目には戦後論、とりわけ「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」がとても強烈であった。また「戦後というこの長い期間における国民の尊い歩み」も戦後民主主義の無上の価値を強調したものとして、ずっしりくる。

ネットをあたる。東京新聞が踏み込んで解説している。さすがだ。
昨年のお言葉と比べ、「平和の存続を切望する国民の意識」が強調された。
と解説している。戦争法案と憲法骨抜きを睨んだ、ぎりぎりの表現と捉えるべきだろう。
逆に安倍首相は、歴代首相が盛り込んできたアジアへの加害と反省には触れなかった。戦没者追悼式において前向きな人と後ろ向きな人との対照が鮮やかに示されたといえる。
インタビューに応じた半藤一利さんはこう語っている。
戦後七十年間平和を守るため、必死に努力してきたすべての日本人へ向けた言葉と読むべきだろう。今なら、安全保障法案に反対して声を上げるなど、草の根の人たちも含むと考えられる。
女性セブン2015年9月3日号 「安部首相が気にした「戦後70年天皇談話」に関し浮上した説」は、すごいツッコミを見せている。たいしたものだ。
戦後50年だった1995年以降、おことばは、ほぼ同一のものだった。しかし今年は、初めて「深い反省」に言及するなど、例年より踏み込んだ内容に大きく 変えられていた。今年のおことばには大きく4か所の文言が追加された。「戦争による荒廃からの復興、発展」、「平和の存続を切望する国民の意識」、「戦後 という、この長い期間における国民の尊い歩み」、「先の大戦に対する深い反省」
安倍首相はもともと、安倍談話によって戦後日本の歴史認識を転換させるつもりだったが、結果的には腰砕け談話になった。
方針転換の一因には、最近の両陛下のご動向を安倍首相がしきりに気にしていたことがあります。陛下が戦後70年に際しての“天皇談話”を発表されるという噂が、官邸周辺でまことしやかに流れました。その内容は、戦争の反省と平和を強く訴えるものだと囁かれました。安倍首相はその内容を非常に気にしていました。(官邸関係者)。
と、その背景をあげている。(ほんとかな?)
その他、本号には
    ■ 安倍談話 会見3時間前の「官邸vs宮内庁」緊迫攻防の真相
    ■ SAPIO人気連載・業田良家氏4コマ「例え話国会」
    ■ 安倍談話と真逆の天皇談話出れば国際的には上位の声明となる
    ■ 天皇の終戦記念日のお言葉 首相に対し厳しいものにとご学友
    ■ SAPIO人気連載・業田良家4コママンガ 「70年談話」
と読みどころ満載。まだ売っているかな。
Colorless Green Histories
8月15日の全国戦没者追悼式における天皇陛下のおことばの構造と変遷
も、ご一読をおすすめする。