赤旗文化面のトップに大々的にオーウェルの「1984年」の紹介が載せられた。
及び腰の賛辞が並べられていて、正直のところきわめて座り心地が悪い。
原因ははっきりしている。我が日本共産党がかつてスターリニズムを奉じていたことへの自己批判がないからである。
もちろん我々は当事者ではないから、オーウェルに向かって「心からのお詫び」を述べる必要はない。
スペイン人民戦争における政治的諸潮流には、そのそれぞれにそれなりの問題もあったし、そのなかで頑張りもした。いまはまず歴史として虚心坦懐に評価していくほかないことである。
「フランスにおける内乱」の諸規定と同じく、それを今日における闘いの指針とするのはナンセンスである。
爺さんがファシストだった、しかし孫は共産党になった、ということはありうるわけで、そのさいに孫が爺さんの悪行について「心からお詫びする」必要はない。
ただ国家・政府というのは否応なしに継続性を持つわけだから、爺さんの代にやったことでも責任は取らなければならない。
政党というのは国家や政府ではないから、なかなか微妙な位置にはある。
ただ創立90年とかいう伝統を誇りにしてそれを全面に打ち出すのなら、かつてスターリニズムを信奉していた事実は公然と認め、はっきりと自己批判すべきだろう。
そうすれば、奥歯に挟まったものがとれて、この文章ははるかに読みやすくなる。率直に言えばこの「1984年」という本にも色々問題点はあるのだ。
まぁ、とりあえず、次の党大会に向けての第一歩というところか。