Fostex のHP_A8を買って聞いているうちに、たしかにそうだなと納得させられる。
DACというのはそうでなくちゃいけないと思うようになる。
前のNU_Force は、聞いた途端、「うん音が良くなった」と感じたが、そういう操作をしているから音が良くなるのだろう。つまりD_A変換するときに、ついでに音質もいじるんだろう。それをやり過ぎるとスピードが遅くなっちゃって、最後にハングアップしてしまうのだろう。
youtubeから落としたファイルを、MP3Direct Cutで切るときに波形を見ると、刺だらけだ。ごみがいっぱい付いている。
それをそのまま川下に流すぶんには何の問題もないが、そこにこだわってしまうと始末に負えなくなるだろう。
だから、ファイルをきれいにしてあげるのは再生ソフトの仕事になるだろうと思う。
その時にそれなりのお化粧しても悪くはないだろう。ただそこには趣味の問題が入ってくる。
それを音質改善というべきかどうかはかなり微妙な問題だ。
最近ではもっと露骨に「リライト」というようだが、“とげ抜き”以上のことをするとなると、これは波形編集ソフトの領域に入る。

実は以前、オーダシティーに凝って、古い粗悪な録音を少しでも気持よく聞けるようにと、色々といじったことがある。
一番有効なのは自己流ステレオ化だ。これは元が「ステレオ」であっても有効だ。
左右トラックを分離した上で、片方のトラックの出だしの無音部をほんのちょっとカットする。そしてもう一度くっつけるというえらく単純な手法で、音がすごく柔らかくなって、広がり感が生じる。
もうひとつが雑音の除去というので、バックグラウンドノイズを抑える。注意するのはサンプリングをファイル全体にかけることだ。これで音源はベンジンで洗った如く綺麗になる。なおクリップ・ノイズは取らないほうが良い。
音割れしているときは、非常手段的だがClip Fix で補正すると多少改善する。注意するのはやり過ぎるとメタリックな音になってしまうこと。
音が痩せているときは低音部の強調を軽くかけると聴きやすくなる。デッドな音ならリバーブをかけると反響が入る。
これらすべてが終わってから圧縮をかける。
これで情けない貧弱な音がそれらしく聞こえるようになる。

これは完全にファイルをいじるわけで、それを流せばDACはそれなりに反応してくれるわけだ。
しかしこれを称して高音質化というなら、それは羊頭を掲げて狗肉を売るに等しい。

それはそれとして、Foobar やFostexは、それは川下(かわしも)でやってくれという発想だが、そうとばかりは言えないと思う。川上での処理もありうると思う。肝心なのはそのストラテジーを明確にすることではないか。