参考までに東芝のWH社買収に至る経過をおさらいしておく。

2005年6月 BNFL社がWH売却を決める。

7月 「ウエスティングハウスを三菱重工が買収か?」の情報が流される。これはこれとして、素直な流れだ。沸騰水型は三菱重工のオハコだということ もあるが、何よりも三菱重工が日本を代表する軍事産業であり防衛省と一体関係にあるからだ。アメリカが押し付ける相手としては最高だ。

にもかかわらず、BNFL取締役会の直前、奇妙な動きが出てくる。

2006年1月20日 GEが応札すると発表。これに日立製作所も組んで参加の意向を表明した。最終選定が予定されたBNFL取締役会のわずか1週間前である。まぁ率直に言えばジェスチャーだ。

1月22日 ブッシュ米大統領が米企業の支援をブレア英首相に表明した。米商務長官も「ブッシュ政権はGEを支援している」とする書簡を英貿易産業相に送った。

1月23日 イギリスのフィナンシャル・タイムズが「東芝が勝利した」と報道した。買収額は当初予想の2倍以上の50億ドル。どう考えても米・英政府が一体となった「アオリ」行為だ。

1月26日 BNFL取締役会が東芝売却を正式決定した。東芝はWH社の方針には干渉しないと発表した。この間に何があったかは想像に難くない。アメリカは三菱重工の態度を警戒したのだ。そして東芝に売るためにGEとつるんで一芝居うったのだ。

日本の三大重電企業である三菱重工、日立、東芝は米英両国に翻弄され、東芝が高値でジョーカーを掴まされたのだ。

東芝はそれでも「社長の愛人を名義だけ引き取れば余録がある」と踏んだから買ったのだろうが、その結果が今の体たらくである。御三方が頭に来て、べらべらと喋ってくれると有り難いが、そんなことをしたら命がいくつあっても足りないだろう。


あとから気づいたのだが、どうも最後の1週間の経過が変だ。

「どう考えても米・英政府が一体となった“アオリ”行為だ」と書いたのだが、値段を吊り上げるだけのためにそこまでするだろうか?

GEが突如応札の意向を表明し、日立が参加の意向を表明し、ブッシュ大統領が動き、商務長官も動いた。

これだけの駒が動いたら、もうひっくり返ったも同じだ。東芝が逆立ちしたって勝てっこない。

にもかかわらず、その翌日には「東芝が勝利」と報道された。

にもかかわらず、アメリカ政府は何の反応も示さなかった。

一体これはなんだろう。東芝と経産省がなにか重大な一札を入れたのだろうか?

そもそもGEが買えばアメリカにとっては何の問題もない。ところが、そこには独禁法抵触という問題が生じる。

したがって、GEは実質傘下の東芝に買わせようとした。これなら三菱を相手に東芝がしゃしゃり出てきた経過が説明できる。

とすれば、GEは土壇場になってなぜ東芝に回し蹴りを入れたのか? しかも同じ沸騰水型の日立をダシにして…

もう少し調べてみなければならない。