粉飾の可能性は去年の4月から分かっていた。週刊ダイヤモンドの記事を見れば明らかだ。まだこの頃は600億だから可愛い方だが、本質は同じだ。本文を見てもらえば明らかだが、ここでは要旨を紹介しておく。


1.週刊ダイヤモンドの2014年4月23日号 「原発投資で最大600億円規模 東芝を揺るがす減損リスク


東芝の担当者たちと居並ぶ会計士たちとの緊迫したやりとりが、水面下で何度も繰り返されてきた。

会計監査人の新日本監査法人は、「投資回収が可能というなら、新たな出資者が現れるという明確なエビデンスを示せ」と迫った。

東芝は、撤退した東電や追加投資を打ち切った米電力大手に代わる、新たな出資者を連れてこいと突き付けられた。さもなければ減損だ。

減損処理を迫る新日本に対して、東芝は反論材料をかき集めて必死の抵抗を試みていた。

減損となれば、現金の支出こそ伴わないがバランスシートが傷む。他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。

東日本大震災以降、国内では“原発ゼロ”の状況が長く続き、原発の定期検査という収益源がなくなったことで、国内部隊は赤字に陥った。一方、海外を主戦場とするウェスチングハウスも最近は苦戦が続いている

その状況にSTPの減損まで重なれば、社内での原子力部門の立場は一気に揺らぐ。

2.週刊ダイヤモンドの2014年5月09日号。「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上

決算は好調そのものだ。…前期比47%もの増益は、驚異的な伸びといえるだろう。しかも事前の会社側予想数字2900億円とピタリと一致している。

いま読むと、まさに「ピタリと」一致している。そのはずだ、一致させたのだから。それこそが「粉飾」の動かぬ証拠だ。

一方、原子力事業。同事業だけで約600億円の一時的な評価損失を計上した。

とあるのは前の記事と一致する。つまり新日本監査法人の圧力を受けて、ひそかに600億円を織り込んだのだ。その上で、それを穴埋めするために全分野で粉飾を敢行したのだ。

「NINA社の件がなければ過去最高益だった」と東芝の久保誠副社長は悔しがる。

というくだりには思わず笑ってしまう。知っていたのなら名役者だ。

その「NINA社の件」について、

これはサウス・テキサス・プロジェクトに絡む問題だ。同プロジェクトは日本企業が海外で初めて取り組む原発新設案件。

東芝は2008年に同プロジェクトの主契約者となり、翌年にはプラントの建設を含めたプロジェクト全体を一括受注することに成功した。

だが、2011年3月11日以降、状況は急変した。米原子力規制委員会(NRC)は建設許可を保留。原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。