日本の左翼運動にロシア民謡がなかったら、だいぶ様相が変わっていたかもしれない。
とにかくロシア民謡の影響は圧倒的だった。私もその一人だった。
私が大学に入った昭和40年にはもう盛りは過ぎていたと思うが、とにかくあちこちで歌声をやっていた。
とにかく基本的には合唱だった。最初はそれが嫌だった。老健でゲームしたり歌ったりしているのを見ていると、いまだに引いてしまう。
それが否応なしに引きずり込まれたのは、ロシア民謡の威力だったのではないだろうか。
とくに男声合唱でポールシュカポーレ、仕事の歌とかエルベ川とかを聞かされると、すごいなと思わざるをえない。
赤軍合唱団とか、アレキサンドロフ歌と踊りのアンサンブルとかには完全に脱帽だ。
そんなことをすっかり忘れちまってずいぶん久しい。
ところがふとしたことからYouTubeでアルハンゲルスキーの曲を聞いて、「何だ、これか」と思った。
ロシア民謡のズシンと来る合唱も、ルーツはこれだ。
それどころかチャイコフスキーもロシア教会音楽のパクリだ。ロシア民謡からのメロディーがたくさんあるが、もろに民謡を採集したのではなく、一度教会音楽のフィルターを通っているのではないか。そんな気がしてくる。
アルハンゲルスキーはそんな教会コーラスの作曲家だ。彼の活動した時代はおそらくチャイコフスキーと重なってる。ただしアルハンゲルスキーは相当長生きしている。
YouTubeでは楽譜が流されるが、和音はきわめて単純明快、余分な冒険は一切しない。職人技だ。教会堂の中でそれぞれのパートがどう響くかということだけに神経を絞っている。
何曲聞いても同じだから、10曲くらい聞いておけば十分だ。あとはBGMとして掛け流しにしておけば良い。

アルハンゲルスキー(Aleksandr Andrejevich Arkhangel'skij)についてはウィキペディアで。
曲はとりあえずYouTubeのこの曲 Arkhangelsky - Vespers