ルネ・レイボヴィッツのベートーベン交響曲全集がいつ日本発売になったかという質問がありました。

日記をつけているわけではないので、はっきりしたことは言えませんが、多分高校1年生の冬だったと思います。したがって昭和37年の末か38年の初めではなかったでしょうか。

数ヶ月くらい前から予約していたので、多分、発売と同時だと思います。実はこの時、全国模試で県で13番の成績をとったのです。それで強引にねだって買ってもらったのです。

そうは言っても、安いから買えたのであって、決してクラスで自慢できるような買い物ではありません。健気な庶民の精一杯の宝物でした。


録音の日時は以下のごとくで間違いないと思います

1961年4~6月
 ロンドン、ウォルサムストウ・タウン・ホール(Walthamstow Town Hall)
 プロデューサー:チャールズ・ゲルハルト(ガーハート)(RCA)
 エンジニア:ケネス・E・ウィルキンスン(DECCA)

には下記のごとく記載されております。

 Without exact release date, but released in the 60s

Recorded and Manufactured Especially for Reader's Digest by the Custom Record Division of the Radio Corporation of America

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1. De Negen Symfonieen Van Beethoven (7xLP + Box)         RCA, Reader's Digest, Reader's Digest   M80P, RDM 20    Netherlands     1961    

2. Las 9 Sinfonias De Beethoven (7xLP + Box)      Reader's Digest, RCA    RD4-06  Spain   1962

だそうです。今の常識から言えばずいぶんスローモーな話ですが、

だとすれば、1962年という年は妥当なところでしょう。

当時の出版事情からすれば、プレスは日本で行ったのではないでしょうか。RCAのプロデュースなので、日本ビクターかと思います。

逸匠列伝で引用している以下の行は今でも憶えています。

私たちはこの不朽の名作に対して、「王侯にふさわしい考え方」をしている指揮者に偶然出会ったのである。この九つの交響曲全曲をもう一度まとめて出そうという想念はパリの歩道に面したささやかなカフェーで生まれた。
私はルネ・レイボウィッツと一緒にモーリス・ラヴェルの「ラ・ヴァルス」と「ボレロ」の録音をやっていた。二人はコーヒーを飲みながら音楽について議論を戦わしていた。話はベートーヴェンに移った。
レイボウィッツはこう言った。

「世界で一番演奏回数の多いベートーヴェンの第五の出だしのところで、ここのところの小節が一度も正確に演奏されたことがないということに気がついたことがあるかい? それからここのところと…ここのところ」
そして48時間後には彼はベートーヴェンの交響曲の中で一般に行なわれている約六百ほどの誤りをみつけ出していた。
話し合いや手紙のやりとりを6カ月つづけたのち、私たちが「俳優としての王侯」をみつけ出したことは明らかとなったので、この劇をやらない理由はもうどこにもなかった。


Rene Leibowitz with his Ford Thunderbird in Paris (1961)


Rene Leibowitz with his Ford Thunderbird in Paris (1961)


ポーランド生まれのユダヤ人で、フランスに逃げてきたら、フランスもナチに占領されてしまって、戦争中は息を潜めていた人です。このアルバムで一財産作ったのでしょう。精一杯贅沢して、おしゃれしています。

 良かったですね。