中東非核地帯構想をめぐる議論

核廃絶を目指す戦略としてはおおまかに言って二つある。一つは核廃絶そのものを正面に据えて、期限を切って交渉を開始しようとする路線であり、もうひとつは非核地帯を拡大することで、事実上核大国の手を縛っていこうとするものである。もう一つの路線として核軍縮というものもあるが、これは核廃絶へと向かうベクトルをもっておらず、その意義は数段落ちる。

非核地帯構想は東南アジア非核地帯についで、中央アジアでかなり実効性のある非核地帯条約が締結されたことで現実性を帯びるようになっている。なぜなら「非核地帯」の枠組みはその地域内での核兵器使用禁止条約としての性格を持っているからだ。

しかし残る地域での実現は困難を極める。なぜならそこには核保有国がふくまれているからである。

その中では中東地域がもっとも実現の可能性の高い地域である。なぜならこの地域には公式には核保有国はないからだ。

だからこそ、中東非核地帯構想はたんなる地域問題ではなく、反核運動の歴史の中で最大の山場、胸突八丁となっている。それが激突したのが今回の再検討会議というわけだ。

だから、相手側も必死なので、今回のNPTが前進できなかったのはある意味当然のことなのだ。さほどがっかりする必要はない。

今回の議論で、非核勢力側はかなりアメリカを追い込むことができたといえる。

イスラエルにどこまで忠義立てするのか、イランとの交渉が成功した場合、今の議論はそのまま通用するのか、アメリカ国内世論、イギリス・フランスの出方との関係もあって、今後事態が動く可能性は十分あると思う。