千葉の母子家庭追い立て死事件 で千葉地裁の判決が出た。

求刑14年に対し7年の懲役という判決で、これ自体にさほど異議があるわけではない。

判決を機に、岩井記者の「事件レポート」が掲載された。これまで明らかにされなかった家族内背景が明らかになっている。ただ、記事の内容には少々不満が残る。

県の責任がほとんど追及されていないからだ。

絵に描いたような「剥奪」の経過

その代わり母親のプライバシーに関わる記載が続く。

この親子は、夫が事業に失敗し離婚したようだ。事業を立ち上げるにあたって実家にも不義理を重ね、絶縁状態になっている。

離婚後、元夫から月3万円の送金があったが、基本的にはパートで自活していた。年収は100万ほどだった。

これだけで立派に生保対象だ。

県営住宅への入居は2007年で、家賃滞納のきっかけは、11年2月からヤミ金に手を出したこと。それ以後毎月4万円の返済が始まった。

というのが経過。ほとんど絵に描いたような「剥奪」の経過だ。

記事では詳述されているが、ヤミ金などはあまり本質的ではないので省略する。

中心的事実は市の社会福祉課の対応

記事の中心的事実は以下のようになっている。

① 13年2月、母親が市役所に生活保護の相談。職員はパートの仕事を理由に申請させなかった。

② 4月、母親が市役所に行き、国保の短期証発行の相談をした。

対応した職員は母親に生活保護を勧め、隣接する社会福祉課を紹介しました。ところが、面接した職員は、生活困窮が明らかなのにもかかわらず、生活保護の説明をしただけでした。

つまり、社会福祉課はただたんにプライバシーに踏み込まなかったのではなく、明らかな保護の必要性を認識した上で、市役所窓口職員の勧告を拒否したことになる。これらの経過は、“公判のなかで明らかになった ようだ。

ところで、この事実は、事件直後に千葉日報が取材した時の市の回答とは相当異なる。

生活保護世帯であれば、市教委は社会福祉課と情報を共有する。しかし就学援助だけ受けている場合は、社会福祉課には情報は行かない。

というのが取材時の回答だ。

社会福祉課は明らかに中心的事実を隠していたことになる。嘘をついていたと言ってもいい。とくに②の状況は明らかに意図的である。

この点ではぜひ、千葉日報に追跡取材をしてもらいたいと思う。