赤旗で、きわめて魅力的な生物が報道された。

名前はセンモウヒラムシ。平板動物ともいう。自由生活をする動物としては、世界で最も単純な体制(構造)を持つ動物とされる。

学名はTrichoplax adhaerens だ。

それが進化の過程の生物なのか、退化してそうなったのかは分からない。しかしもっとも原始的な多細胞生物であり、動物だということに興味がある。

わたしは生物というと単細胞生物か、数百万の細胞を持つ多細胞生物しか知らなくて、その間の生き方というのは知らなかった。

そこには断絶がある。ヒラムシはそこを埋めてくれる生物かもしれない。

hiramusi

形態と行動

直径は1ミリ前後。2000-3000個の細胞から構成されている。

アメーバのような見かけで、面・中・裏の三層よりなる。

背側は1本の繊毛を持つ扁平上皮から構成され、腹側は繊毛を持つ上皮細胞と繊毛を持たない腺細胞からなる。両者の間には体液で満たされた間充織細胞がある。細胞の種類は4種類のみ。

380px-Exodigestion_in_Trichoplax_adhaerens

体表の繊毛によって移動し、学名の通りガラス板などに付着(Adhere) し、そこに挟み込んだ生物を消化液で溶かし、そのまま表面から吸収する。

Trichoplax adherens - Feeding Behavior という洒落た動画(Youtube)が見られる。

普段はせんべい状で這いまわるが、環境が悪くなると風船型に膨らんだプランクトン状態になり、水中を浮遊する。

最近の話題としては、ゲノムサイズが約1億塩基、これはタンパク質1万以上をコードできる遺伝子量だということだ。それだけ見れば刺胞動物(クラゲ)より左右相称動物に近い可能性すらある。(以上、仲田崇さんの気まぐれ生物学より)

しかし、進化の過程ではなく“退化”したとすれば別に不思議ではない。海綿動物も神経系,筋肉系が退化した動物の可能性がある。

ゲノム研究は進化論を否定しているのではなく、原生動物の形態的特徴から安易に進化論的に比定することを戒めているのであろう。

同時に、ゲノム解析は始まったばかりであり、技術的なピットフォールが存在する可能性も否定出来ない。

これらを念頭に置きながら、価値中立的な判断を心がけることがもとめられる。