鳥飼基地問題について少し追いかけてみた。

毎日新聞 2014年07月29日 大阪朝刊から

見出しは下記の通り

東海道新幹線鳥飼車両基地:JR東海、合意の抜け穴 大阪・茨木側で井戸計画 摂津市反発「環境保全協定に違反」

いくつか赤旗に記載されていない事実がある。

1.鳥飼車両基地は敷地(約37ヘクタール)の9割を摂津市域が占める。

2.車両の洗浄などに大量の水が必要で、JR東海によると、上水道の使用量は年間22万トン。(1日あたりにすると600トン)

3.1964年に新幹線が開業した当初は1日当たり2千トン以上の地下水をくみ上げていた。

4.これにより周辺の住宅地で地盤沈下が発生。特に新在家地域では46.05cmも沈下した。基地内でも約20センチの沈下が確認された。

5.環境保全協定は数次にわたり更新されている。99年には、摂津市が市内全域で井戸の掘削を原則禁止する条例を制定した。

6.2014年、JR東海は年間1億円を超えるとみられる水道代の節約や災害時の断水に備える目的で井戸2基(取水量1日750トン)の掘削を計画。理由は年間1億円を超えるとみられる水道代の節約および災害時の断水に備えることであった。

7.摂津市は計画の撤回を求めた。JR東海側は「予定地は茨木市域であり、摂津市の条例や協定は適用されない」などとして拒否した。

8.JR東海の迫田俊明・関西広報室長は「掘削は検討段階だが、地盤沈下など環境への影響は少ないと考えている。地元に懸念があればよく説明したい」と話した。(しかし話しあう“システム”はない!)

9.茨木市は「JR東海から説明は受けたが、『まずは摂津市としっかり話をしてほしい』と要望」した。

アジアプレス・ネットワーク というネット・ニュースの12月号には、上下2回にわたり詳報が掲載されている。

10.9月30日、JR東海は井戸掘削工事に着手した。摂津市は11月に提訴に踏み切った。森山市長は「争いは避けたかったが、8万5000人の市民の安心・安全を守るためにも裁判という道しかなかった」と語った。

11.14年6月、JR東海は、工業用水法上の井戸使用許可申請に向けた事前協議書を大阪府に提出した。摂津市はJR東海から通知を受けず、府から連絡を受け計画を知った。

12.摂津市の質問に対しJR東海から回答が寄せられた。回答書の内容は以下のとおり

目的は、災害時の新幹線の安定的な遂行に必要な水を、水道水と地下水の両方から調達できるようにすることである。これは「官民挙げて取り組むべき災害対策」だ。

震災時には1日も早く国民の足を復旧しなければならないという使命を担っている。そのために水は必要不可欠だ。(JR東海の計画は、緊急用用水の確保ではなく、恒常的な汲み上げとなっている)
茨木市域での掘削なので摂津市の行政上の管理区域を超えている。協定の適用を受けるものではない

13.「経費1億円節減」の根拠。JR東海が車両洗浄などのための水道代は月2000万円かかり、摂津市に払っているのはその3分の1の750万円だ。これに12をかければ約1億円になる(JR東海労働組合新幹線関西地方本部)

やめてえな

摂津市のホームページには、概略が掲載されている。このなかで、JR東海が意図的に摂津市への連絡を行わなかった事実が明らかになっている。

平成26年3月17日神奈川県に本社のある浄水機メーカーA社が来庁され、鳥飼地域で井戸を掘りたいとの相談あり。市条例で原則地下水汲み上げ禁止を説明。
6月4日大阪府環境管理室から連絡あり。A社が来庁され、鳥飼基地で地下水を汲み上げたいとの相談があったとの事
6月16日市からJR東海に連絡を取り、説明を受ける。災害時の対応、コスト削減のための計画との事。
*井戸の深さ 200m、計画揚水量 750t/日
7月29日市長からJR東海関西支社長に対し要請書提出。
「東海道新幹線鳥飼基地における環境保全協定書の遵守について」
8月19日JR東海関西支社長から市長へ要請書回答。
「東海道新幹線鳥飼車両基地における井水活用にかかる摂津市からの要請書に対するご回答」
*井水システムの設置場所は茨木市域(敷地の約3%)であり、摂津市の行政上の管理区域を超えており、協定の適用は受けない。
9月10日JR東海関西支社長から市長へ文書にて下記の報告。
「東海道新幹線鳥飼車両基地における井水活用計画にかかる大阪府への『井戸使用許可事前協議書』提出について」
9月11日市長からJR東海関西支社長に対し「通告書」郵送。
*JR東海の協定の解釈は認められない。工事に着工されれば法的措置も辞さない。
9月18日大阪府環境保全課から「事前協議書」の審査が完了し、JR東海にその旨通知をしたとの事。
9月24日自治連合会役員会において経過を説明。
9月26日JR東海関西支社長から市長へ文書にて「通告書」対する回答。
*主張は変わらず、工事着手を9月30日からとの報告。
9月26日幹事長会開催。仮処分命令申立てについて説明。
9月29日鳥飼地区自治連合会、鳥飼地区老人クラブ連合会、鴻池勝彦氏から市長宛に要請書の提出あり。
9月29日大阪地方裁判所へ「工事等仮処分命令申立書」を提出。
9月30日報道機関から情報提供。JR東海に工事着手を確認したとの事。
10月1日JR東海に対し、環境保全協定に基づく立入調査申入れるが、拒否。

さすがに産経新聞はJR東海擁護の論陣を張っている。

1.摂津市では上水道用に1日約1万2千トンの地下水が取水されており、JR東海の日量750トンが加わっても地盤沈下の恐れはない。

2.大阪府では現在、地下水の水位が上昇し、液状化の危険性が高まっている。1日750トン取水することで、問題となるような大きな地盤沈下は起こらないだろう(大阪市立大の大島昭彦教授がそう言っているそうだ。大阪には液状化と地盤沈下を一体で語る「学者」がいるようだ)

3.昭和53年、新幹線博多総合車両所(福岡県)で渇水により車両に給水ができず、複数の停車駅で給水をしてダイヤが大混乱した。(これについては反論になっていない)