南青山の裏通りを彷徨っていた時に強烈に感じた「お金」の匂い、それはある意味で「敵意」をもって迫ってくる匂いだった。

別にそこに住んでいる人に恨みがあるわけではないし、そこに住んでいる人が悪い人たちだとも思わない。

ただ街全体がそういう匂いを発しているのである。そして私の如き貧乏人を胡散臭く見咎めるのである。

それは「発見」だった。

なんというか、落としたお金が見つかった。しかしそれはすでに人のものになっていた、という感じだ。

地方経済がやせ細り、文化も活気も消え失せた。お金に足が生えて飛んでいってしまったのだ。そのお金がここにある。

大声で叫びたい気がする。「みなさん、なくしたお金が見つかりましたよ。ここにありますよ!」

私は、そうやって地方の人達に呼びかけたいと思う。東京見物するなら、ディズニーランドみたいなところに行かずに、南青山や成城や奥沢や広尾あたりを歩く方がいい。

とくに地方議会のみなさん、こういう街を見てから、TPPとか道州制とかの議論をするべきだ。むかしは地方にも多少のおすそ分けはあったが、今は根こそぎすべて持っていく。今はグロスの時代ではなく、「利益率極大化」の時代なのだ。

TPPというのは、地方をしゃぶりつくし、吸い尽くして、地方が今やじゃまになったから切り捨てようという法律だ。それが、この街をさまよっているうちに骨身にしみて感じるであろう。

行くなら今のうちだ。そのうち「貧乏人、オフリミット」になるだろう。もし迷い込めば「テロリスト」扱いされることになるだろう。