いま米国とキューバの関係改善が着々と進んでいます。

これに対して、日本のいわゆる専門家と言われる人々の見方があまりに皮相であることを知って、あらためて驚いています。

まず強調しておきたいのは、今回の事態は世界史的なエポックであるということです。だから世界史的な観点から評価しなければならないのです。

第一は、冷戦体制の最終的終焉だということです。もちろん形を変えた冷戦システムはいまだに健在ですし、大国主義や大小の覇権主義は大手を振っています。しかしそれを資本主義対共産主義というイデオロギーで裁断する手法はすでに過去のものとなっており、アメリカのキューバ制裁がまさにその過去の遺物の象徴でした。オバマが声明で強調したのはまさにそういうことだったし、それが米国民の圧倒的支持を獲得したのも、そのためです。

第二は、民族解放運動の最後の勝利だということです。第二次大戦後に始まった世界の民族解放運動は、ベトナム戦争で最大の高揚を見せました。その後もいくつかの民族解放運動が闘われ、20世紀の末にはほぼ完了していました。その中で、形を変えた民族自決の闘いとなったのが、このキューバ制裁でした。

もはや植民地制度も新植民地制度も、奴隷制度と同じく過去のものとなりました。このことは21世紀の常識です。それが示されたのが国連総会で何度も圧倒的多数で採択されたアメリカ非難決議です。

第三は、これがグローバルな世界の形成という必然的な流れの必然的な結論だということです。米国もキューバもグローバル世界の一員として各国と向き合うことなしに生きていくことはできません。

ローマ法王もカナダ政府もラテンアメリカ諸国も、決してキューバの政策に諸手を上げて賛成しているわけではありませんが、平等なパートナーシップを望む権利があると考えています。

総じて言えば、キューバへの経済制裁政策はあまりに古色蒼然としており、無意味で有害で無益なものとなっており、一日も早く破棄しなければならないということです。それが世界史的に見た常識というものです。