通所リハ(デイケア)利用者のカンファレンスの経験


お上が無理難題を持ち出してきて、お陰で死ぬほど忙しい目にあった。


方法と実績

当施設の通所リハ利用者(要介護)は約200名。これを1ヶ月で全部見ろと言ってきた。そんなことはハナから無理だ。

とにかく頑張った。休日も返上で目一杯組んだ。それでも50人ちょっとというところだ。

お上の要求する項目をクリアするのにはどうしても20分かかる。利用者の殆どは障害者だから、部屋に入ってくる・出て行くという行動だけで5分かかる。

医者の他にリハ担当者、ケアマネージャー、ヘルパー担当者、用具業者などが着席・退席するのも、それ相当の時間がかかる。これにご家族様、訪問看護ステーションということになれば、さらに時間が浪費されていく。

だから一人20分といっても正味はその半分あればいいほうだ。

その間に一人ひとりがプレゼンされてはたまらないから、医者のほうで経過、リハの内容を紹介して、利用者さんに現在の状況について問答を行う。この順は逆のこともある。

いずれにしても、これで5ないし6分が費やされる。これに各担当者が情報を追加する形で議論が進む。

この後、医者がいったん情報を整理して全体の枠組みを提示する。これに基づいて、今後のプランの基本線が打ち出される。

具体的な話が出てくれば、それは担当者での引き継ぎ議論としてノートしておく。

最後は「私達がチームとして、今後とも対応させてもらいます」と利用者にご挨拶して、全体を締めくくる。

だいたいこんな流れになるだろう。

皆さん、会議の流れに協力してくれるので、また課題も急を要するようなものはないので、なんとか時間内に入れることが出来る。

中心課題は医療情報の整理

やってみてわかったことは、医療情報の整理が大変なことだということだ。しかし関係者の多くはおそらくそれを期待して来ている。

「古文書」を読み解きながら医療の流れを整理するのは医者の仕事だ。これが相当大変な作業だ。そもそも医療情報が少ない上に、けっこう肝心な部分が欠如している。

やってみて分かったのだが、一番情報を持っているのは利用者自身だというこだ。患者さんとの問答が実質的なアナムとりになることもしばしばだ。まさに利用者中心のカンファレンスだ。

ただ、認知があったり失語症、構音障害、難聴があったりするとこの作業は難渋を極める。

かくして、足らざるところを補いつつ、時には大胆な推理も加えつつ、病気の全体像が見えてくる。現在抱える障害のよって来たるところが大方の理解となる。

これだけで、少なくとも第1回目のカンファレンスとしては十分であろう。

喜ぶ関係者・苦しむ医者

これまで司、司でやってきて、頑張っては来ても、全体像が見えずにいた関係者にとっては、まことにためになるカンファレンスだろうと思う。

医者にとってもそれは同様だ。しかし、それはそのまま、医者にとっては重苦でもある。脳みそフル回転で10分を過ごすとぐったりと疲れが来る。

発症以来の経過を追いつつ、その中から現在の障害に結びつくものを整理して抽出していく作業、さらに各担当者からの情報をパズルのようにはめ込んで全体像を構築してく作業、これらを10分間のあいだに形にし、みんなが納得できるような作業計画へと転化させていかなければならない。

10分後にカンファレンスが終了するときには、「それじゃぁ、こんな戦略柱でやっていきましょう」とまとめる、そうしないと終わらないのである。

2回め以降をどうするか

正直言って、これを毎月やる意味は無いと思う。

だいいち無理だ。そんなことをすれば、老健の医者のほとんどは「やめさせていただきます」ということになる。

いまは療養病床いじめのアオリを受けて老健が「半療養病床化」している。急性期病院からは、ICUから一般病床に移すような気分で患者が送られてくる。入所だけで十分に忙しいのだ。

ただ、やればやったなりに、こういうトレーシング+総合評価+集団的作業計画の立案は面白い作業ではある。

とりあえず、1ヶ月を経過した時点での感想。