赤旗に「ベトナム戦争の世界史的意義…終結40年に考える」という古田元夫さんの文章が載った。

短いが、中身は相当難しい。

ここではベトナム戦争とASEANの関係について述べられている。

1.不戦共同体としてのASEAN

ASEANは域内諸国を包摂し、域外(とくに東北アジア)にも大きな役割を果たしている。

それは、「不戦共同体」というあり方においてもっともその有効性を発揮している。

「不戦」は冷戦構造の克服によって実現した。それは冷戦構造を未だ脱却できずにいる北東アジアと対照的である。

2.なぜASEANは冷戦構造を脱却できたか

東南アジアにおける冷戦構造の集中的表現は、南北ベトナムの分断と抗争であった。

この問題がベトナムの統一という事態を受けて消失した。これが核心である。

そしてもう一つがベトナムのASEAN路線への転換であり、ASEAN諸国のベトナム受け入れという選択であった。

これによりASEANの「不戦共同体」という枠組みが出来上がった。だから「不戦」がASEANの中核的概念をなすのである。

3.利害で出来上がった共同体ではない

従って、ASEANは「利害で出来上がった共同体ではない」ということができる。

巷間では、ASEANは純粋な経済共同体であり、「社会主義体制」の中で行き詰まったベトナムが、ASEAN諸国の外資導入を余儀なくされたとされるが、そうではない。

1990年近くまで対立関係にあった両者が95年に合同を果たしたのは、ベトナム戦争という惨禍を経て、共に平和の希求という点で一致したからである。

それは双方の冷戦構造の克服努力の上に達成されたものであり、ベトナム戦争と今日のASEANの発展は、同一の流れに位置するのである。


短い文章のなかで、古田氏の所説が十分に説得力を持っているかと言われると、確信は持てない。例えばポルポト時代の対立、親中反越路線の克服など検証すべき課題はいくつかある。しかし最後の一節だけは、実感として論証無用で同時代人に訴える力を持っている。

「巷間では、ASEANは純粋な経済共同体であり…」と言われると、自分に向けられた批判に思えて、思わずギクッとする。