本日は近くの老健のスタッフが我が老健を見学に来た。
近くと言ってもライバルというほどの近くではないから、こちらでサジェストできるところは大いにアシストしようと思った。
ある意味で、自分の老健の4年近くの生活を振り返るチャンスにもなると思う。「情けは人のためならず」だ。
1.老健の主体はケアワーカー
老健の性格はいろいろに規定できると思うけど、施設長(運営者)の立場から言えば、ケアワーカーの仕事を中心にした施設だ。
なぜならスタッフの圧倒的多数はケアワーカーだからだ。そして利用者(前線)ともっとも身近に接触しているのはケアワーカーだからだ。
だから、他のスタッフはケアワーカーが主体的に考え、行動するための支援をすることがだいじだ。
2.ケアワーカーとリハ技師は車の両輪
老健の戦略目標は生活支援にある。入所老人の生活とはどういうものか、介護を受けながらも自立した生活をおくることにある。要するにケアワーカーの基本的任務は、入所老人の生活能力に下駄を履かせることにある。
入所老人は下駄を履けば「自立」できるのである。ただし「自立」といっても程度問題だし、長期的には落ちていくしかないのだが、基本はそういうことだ。前を向きながら遅滞後退するのだ。
ただし、その際はさまざまな方法で「自立」を促さなければならない。それがリハ技師の仕事である。
地味で目立たない仕事だが、これなしには老健の仕事は目標なしのグダグダになる。
3.医療スタッフはケアワーカーとともに行動する
医療スタッフはケアワーカーより半歩後ろにいるが、ケアワーカーとともに行動する。
入居者の多くは病人でもあるからだ。我が老健の統計でも、入所者の半分が1年以内に入院を余儀なくされる。だから場合によって医療スタッフが前面に出るのはやむをえないことなのだ。
非常時というにはあまりにも高頻度だが、やはり基本的には非常時だのだ。在宅介護を考えれば分かる。まずはケアなのだ。

医師も看護師もたいてい病院で修行を積んでくる。だから病院の習慣を持ち込んでくる。医療スタッフが我を通せばケアワーカーはやる気を失う。これでは困るのだ。
医療スタッフは用心棒。平手造酒みたいにごろろろしていればよいのだ。医局でも内科の医者があくせく働いているあいだ、外科の連中はソファーに寝そべって鼻毛を抜いていた。そんなものなのだ。