昭和大学横浜北部病院の「救急搬送された偶発性低体温症の6症例」は、かなり参考になる。

要約

2010年度の1年間で6例を経験した。年齢は50歳から95歳であり、高齢者の疾患と言ってよい。

全例が屋内発症とのことで、事故とか遭難という非日常的なものではないということも念頭に置くべきだろう。

一次性は1例のみで他はすべて二次性であった。ということはハイリスク・グループが存在するということだ。

基礎疾患は肝硬変(アルコール症)、DM(昏睡)、COPD、重症肺炎など。

死亡者は3名で死亡率は高いが、直接死因は基礎疾患によるものであった。低体温は崖っぷちでの突き落とし効果であろう。

死亡例はすべて痩せ型(BMI平均12)で、生存例(同22)は痩せていなかった。アルブミン値には差はなかった。

腋窩温と直腸温の逆転

症例4というのが、老健入所中の92歳女性で身近だ。この人は認知があり、布団をはがして寝ていたらしい。意識障害となり搬送されたが、腋窩温は35.3度だった。冷感が強いため直腸温を計ったら33.1度しかなかった。

加温輸液などで改善し、3病日で退院となった。この症例のミソは腋窩温と直腸温の逆転である(正確度の疑問はあるが)。

なお症例1は、初期補液量が明らかに過少であるが、それも含めて情報提供したことは論文の信頼度を高めている

J波とBrugada症候群

低体温でJ波が出現し、Brugadaの機序で心室細動を招くということで、こちらの検討も行われている。結論としては、J波はかなりの高頻度で出現し、重症度の判定基準となるようだということである。