「あの子可愛やカンカン娘…」という歌があった。突然フラッシュバックしてきた。

まったく原風景は思い浮かばない。仕方なしにウィキペディアで調べる。昭和24年の発売というから、私はまだ3歳。知っているわけがない。

なぜ覚えているか、どうも流行ったのは少し経ってかららしい。昭和27年にレコード売上げが42万枚に達した。これだと覚えていても不思議はない。

映画の主題歌で、高峰秀子が歌っていたそうだ。映画も高峰もまったく記憶に無い。

覚えているからにはNHKでやったんだろう。まだ民放はないはずだ。

いままでフレンチ・カンカンの流れで「カンカン」というのだと思っていたが、ウィキペディアを見たらこう書いてあった。

「カンカン」とは山本嘉次郎(この映画の監督)の造語であり、当時の売春婦の別称「パンパンガール」に対して「カンカンに怒っている」という意味が込められている。

とは言うものの、作詞:佐伯孝夫、作曲:服部良一で山本嘉次郎は関係ない。山本嘉次郎といえば、テレビのバラエティに出ていたが、モダンボーイという印象で、「戦後の暗い世相を嘆いた山本の心の叫び」というのはいかにもウソっぽい。(失礼、テレビではなくラジオ「話の泉」だった)

むしろスレスレ狙いのワルノリではないだろうか。腹の中では「あの子可愛やパンパン娘」と歌っていたのであろう。

「赤いルージュとサンダル」は間違いなくパンパンの標準モデルである。ラッキーストライクでも咥えればそのまんまだ。口紅ではさすがにどぎついと見てブラウスにしたのだろう。

高峰秀子が「カンカン娘ってどういう意味なんですか?」と作曲の服部と作詞の佐伯に尋ねたところ、二人とも知らなかった

と書かれている。

この「逆コース」の開始直前のアナーキーさ、デタラメさと陽気さが、政治の世界では間違いなく曲がり角であった、昭和24年であったのかもしれない。

昭和24年、もう少し調べてみよう。