脳科学の観点から見れば、欲求は二つのカテゴリーに別れるのではなく、生物の発展にしたがって重層性をもって発展している。

最近の知見によれば、欲求の階層構成は、意外なほどに、人間固有ではなく動物すべてに共通している。

動物は自家栄養装置を放棄することで移動装置を獲得した。動物は生物の中の特殊系であり、多くの植物の存在を前提とする生命形態だ。肉食動物はその動物を食うことで生命を維持するのだから、さらに特殊な生命の存在様式だ。

動物の本態的な3点セットは捕まえること、逃げること、移動することだ。群れることも特徴だが、その意味合いは必ずしも単一ではないようだ。

これらの行動を行うために、動物は見て聞いて、判断して、動くのである。この「判断する」というのが大事で、「考える」といってもいいくらいの判断をしている。実に「一寸の虫にも五分の魂」なのである。

というわけで、動物というのは脳を持つ生物なのである。

で、脳というのはかなり初期の段階から二つの役割を果たしている。感覚を統合して判断をして運動器に伝える役割がひとつ、そしてもうひとつは生命を駆動するモーターとしての役割である。

状況に対してただ受動的に反応するだけでは動物になった意味がない。それだったら植物でもそれなりにやっている。

状況に対して立ち向かい、移動することを通じて状況を変更し、要するに能動性が動物の持ち味である。その能動性というのは、立場上というか、脳に委ねられることになる。

おそらくはその能動性というものが、欲求の原基形態なのではないだろうか。


この仕事、とてつもなく疲れる仕事で、30分と続かない。

今日はとりあえずやめておく。

この後、下位ジェネレーターとしての神経内分泌系、とりわけエンドルフィン系の話、上位ジェネレーターとしての脳内アミン系とつなげていくつもり。お楽しみに…