アグネス・ヘラーがまだ生きていることが分かった。それどころか若者のように元気で、せっかちである。
Agnes Heller - On the Danger of Totalitarianism
というビデオがYouTubeで閲覧できる。「カクシャク」などというような生やさしいものではないド迫力だ。
彼女の名は正式にはヘッレル・アーグネシュというらしい。
ときどきタバコのみのような咳をしながら、噛み付くような早口で訛りの強い英語をしゃべっている。話の中身は残念ながらよく分からない。
ただ下記のページに話しの背景が要約されているので、おぼろげながら推察は出来る。
一橋大学大学院社会学研究科 大河内泰樹 「ハンガリー政府による学術への政治介入と哲学者への攻撃について」 2011年2月簡単に紹介すると、
ハンガリーでは2010年4月の総選挙で右派が勝利した。彼らは半年の間に10回以上の憲法改正を繰り返し、独裁傾向を強めている。その影響は哲学者にも及んでおり、ハンガリー科学アカデミーの哲学部門の長が解任され、さらに23人のメンバーが排除された。その中にはアグネス・ヘラーもふくまれている。
ドイツでは、ドイツ哲学会会長のニダ=リュメリンとハーバーマスが連名で、この状況についての憂慮を示す声明を発表した。という経過らしい。
「マルクスの欲求理論」を書いた頃は、ソ連のチェコ侵略を批判して政府に睨まれ、オーストラリアに事実上の亡命をしていた。
東欧の「民主化」の後祖国に戻ったようだ。
堀川哲さんの「ニューヨークで暮らすということ」という新書版の本があって、一部がグーグルブックスで読める。
この本に「ニューヨークのヘラー先生」という章があって、このヘラー先生というのがまさにアグネス・ヘラーである。
2000年(この本の書かれた)の時点で、彼女はニューヨークのニュースクールで教鞭をとっていた。
ニュースクールというのは正式にはニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ。彼女はそこのハンナ・アーレント記念講座の教授である(またアーレントに巡りあった)
著者によると、彼女は1973年にハンガリーから国外追放された。その後オーストラリアのシドニー大学に職を求め、ついで80年代のはじめにニューヨークに移ったようだ。
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