小脳のメカニズムに関する簡単なレビューがあったので要約紹介する。

象を撫ぜた群盲の印象を羅列したウィキペディアよりは、はるかに分かりやすい。


平成26年10月6日 東京都医学総合研究所

小脳から大脳への出力形成メカニズム


1 大脳小脳連関とはなにか

小脳は重量では脳全体の10%にすぎませんが、1000億の神経細胞があり、大脳は約140億を大きく上回っています。近年では認知や感情などの高次脳機能にも重要な貢献をしていることが知られるようになり、極めて高度な情報処理が行われていると考えられます。

目の前のコップを掴もうとする時、腕を動かすために必要な運動指令が最初に大脳運動野とくに一次運動野で作られ、脊髄に送られると同時に、運動指令のコピーが小脳へと送られます。

小脳はその運動指令に基づいて次の瞬間の身体の状態を予想し、小脳核を通してその予想結果を大脳へと送り返します。

大脳はその予測情報を元に、更に次の瞬間の運動指令を生成します。大脳と小脳がこの様な情報のやり取りを繰り返すことにより、スムーズな運動が実現できます。

2 大脳小脳連関のメカニズム

A 大脳運動野からの入力は苔状線維によって、最初に小脳皮質の顆粒細胞に入力されます。

B 次いで顆粒細胞から、プルキンエ細胞へと信号が伝わります。プルキンエ細胞は大きな神経細胞で、非常に大きな樹状突起を通じて約20万もの平行線維入力を受け、それらの信号を統合した結果を小脳核の細胞に伝達します。

C 最後に小脳核の神経細胞で信号が統合されて大脳へ送り返されます。歯状核、中位核、室頂核がありますが、歯状核のみが極端に発達しています。

プルキンエ細胞は抑制性の細胞で、小脳核細胞の興奮性を抑えます。

ところが、運動を行うときに大脳からの入力が増加すると、プルキンエ細胞が興奮するにも関わらず、小脳核細胞は運動時に活動を大幅に増加させています。

これを細かく時系列で見ると、プルキンエ細胞は運動の直前に活動が減少し、その結果、小脳核細胞の活動が増加するという関係になっています。

これを「脱抑制」と呼びます。プルキンエ細胞は小脳核細胞に持続的に強いブレーキを掛けており、プルキンエ細胞の活動が減少すると、抑制から解放された反動で小脳核細胞が興奮するのです。

では何がプルキンエ細胞を抑制するのか。

それは小脳皮質の抑制性介在細胞であろうと考えられています。つまり小脳においては、抑制性介在細胞こそが情報処理の主役なのです。


運動指令が最初に大脳運動野とくに一次運動野で作られ、脊髄に送られると同時に、運動指令のコピーが小脳へと送られます。

というところが、小脳の本質を示している。

ようするに、アクセサリーなのだ。ある意味で“評論家”である。大脳から脊髄へとつながる命令・実行系統を脇から眺めて、あれこれ評論する。

ところが、大脳はその評論を非常に重視していて、そのフィードバックを受入て次の行動を決定するほどになっている。

脊髄とそれにつながる筋肉からすれば、あまり面白くない話だが、世の中そうなってしまったんだからしかたがない。

本来は天皇陛下の大御心に従って行動しているはずなのだが、現実には参謀本部の言うままに動かされているのが現状なのだ。

それに、そもそもが「見て、その瞬間に動く」という本来の動物的行動は、網膜→外側膝状体→脊髄という経路で機能する。それを視覚処理して、体部感覚と統合して行動に移すというまどろっこしい経路に置き換えているのが大脳だ。

つまり、そもそも大脳という存在そのものがややこしい介在者なのだ。