「この期」とは「どの期」だ

翁長知事が、およそ考えられる最強硬な手段に打って出た。

1.防衛局による海底ボーリング調査を中断せよ

2.指示に従わなければ岩礁破砕許可を取り消す

というものだ。

これに対し菅官房長官は

「この期に及んではなはだ遺憾だ」

と述べた。

ここで「この期」というのが、どういうものなのか、整理しておく必要がある。


昨年8月末、仲井真前知事が突如、海水面埋め立てのためのボーリング調査を認め、そのためにボーリング調査海域の岩礁破砕許可を出した。

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その直後、沖縄防衛局が臨時制限水域(ボーリング調査実施海域)の境界を示すブイやフロートを設置した。そしてブイを固定するためのアンカーを海底に設置した。その数は約250個、1個あたりの重さは百数十キロである。

ところが、昨年10月の台風で、これらのアンカーのうち半数が、波に流され消失した。アンカーが海底を傷つけた痕跡も多数見つかった。

今年の1月、防衛局は新たにコンクリートブロックを大量に投下した。これは流されたアンカーに替わるもので、数十トンの巨大なもの。

アンカーについては説明が必要だ。境界線上にブイやフロートを設置することは違法ではない。それが違法ではないということは、ブイやフロートを固定するためにアンカーをつけることも違法ではないということだ(海底を大きく傷つける危険がないことが条件だが)。
政府側はこの点を主張している。
しかしそれらの多くは台風で流されてしまった。そこで流されないように「巨大なアンカー」をドカンドカンと投入したわけだ。問題はこれを「アンカー」と呼べるかどうかということと、海底を傷つける危険性が受容可能なレベルかどうかということになる。

その直後から、コンクリートブロックが、サンゴ礁を破壊している状況が多数観察・報告された。ブロックによって海底面が削られている場所も見つかった。いずれも岩石の掘削や土砂採取など、岩礁破砕に関する県の許可の区域外だった。

この情報を受けた沖縄県当局は独自の情報収集に乗り出した。

2月末、沖縄県は海中に投入した大型のコンクリート製ブロックが、サンゴ礁を傷つけているのを潜水調査で確認したと明らかにした。

潜水調査

2月26日、辺野古沿岸部の潜水調査を行う県の職員ら(手前)

翁長知事は「許可区域外に、無許可でコンクリートブロックが設置され、岩礁破砕行為がなされた蓋然性が高い」と認定した。そして米軍に対し立ち入り調査を要請した。

しかし米軍は、調査対象海域が臨時制限水域であり、「運用上の妨げになる」という理由で、沖縄県による調査を拒否した。沖縄防衛局は、「ブロック投入は岩礁破砕に当たらないため問題ない」と主張した。

その直後、沖縄防衛局は、台風以来中止されていたボーリング調査を再開した。

今回、翁長知事の「許可取り消し」というのは、昨年8月に仲井真前知事が出した「岩礁破砕許可」の取り消しということである。

許可取り消しの法的根拠となるのは、沖縄県の「漁業調整規則」である。これは漁業法や水産資源保護法などに裏付けられている。

この規則では「公益上の事由により県知事が指示した場合は、その指示に従う」ことが求められている。

第39条 漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 前項の規定により許可を受けようとする者は、第9号様式による申請書に、当該漁場に係る漁業権を有する者の同意書を添え、知事に提出しなければならない。
3 知事は、第1項の規定により許可するに当たり、制限又は条件をつけることがある。
国がこれに対抗するとすれば、不服審査請求などを申し立てなければならなくなり、その間は工事の続行は不可能となる。(政府がこの道をとるか否かは不明だが)

つまり「この期に及んで」と言われるべきは政府の側なのだ。