原発、もうひとつのウソ

原発は安全神話のもとに進められた。福島のあと、この安全神話を信じる日本人はいなくなった。少なくとも表向きは…

それではなぜ原発を再稼働するのか、それは「原発なしには生きていけない」神話のためである。

それは3つの柱からなっている。

一つは「資源小国である日本は原発なしには生きていけない」、という神話であり、一つは「日本を支える企業が電力料金のために破産する」という神話であり、もうひとつは「電力会社が経営的に成り立たない」という神話であった。

それらはそれなりに説得力があった。経営の側からイロイロ算盤を弾いて数字を出されると、こちらもたじろぐ場面があった。

しかし、それらの話は全てウソであった。

日本は生きている。たしかに苦しいが、それは原発を止めたせいではなく、経済政策の失敗によるものだ。

企業は、とくに大企業は空前の利益をあげている。破産どころの話ではない。大企業は国民に向かって大ウソをついたのだ。それを反省する様子も見えない。

電力会社は経営的に成り立っている。そもそも電力会社が成り立たないわけがないのだ。赤字が出れば、すべて電力料金に転嫁すればいいだけだからだ。

電力料金はたしかに上がった。なぜか、原発に回していたカネ(国費)を一般火発に回していないからだ。「原発より火発のほうがコストが高い」と主張していたのはウソだったのだ。

差し引きすれば、火発のほうが安いことは明らかだ。

「原発なしには生きていけない」神話は、もはや完璧に破産した。

いま電力各社は、原発再稼働を進めるにあたり、何もその理由を語らない。語るべき理由がないからだ。

しかし「語れない理由」はある。それは原発維持がアメリカ軍産複合体の要求だからだ。そして原発稼働によって生み出されるプルトニウムが喉から出が出るほど欲しいからだ。