辺野古基地建設が危機に陥った

辺野古現地で頑張っている人たちの力と、沖縄県民の団結、県知事の毅然たる姿勢の前に、辺野古基地建設は危機に陥っている。

ここ数日で、2つのアキレス腱が露呈された。

1.法的瑕疵の問題

この発言自体にどれほどの重みがあるかは別だが、菅長官が12日の記者会見で言った言葉

瑕疵があれば別だが、なければ粛々と進める

これについて赤旗(竹下記者)は、

瑕疵を認定されれば工事を止めざるをえないと認めた発言です

と切り返している。

紛糾すれば「食言」として対応せざるをえないだろうが、心理的にはそこまで追い詰められているという証拠だろう。

菅長官が「瑕疵はない」と強弁するのは、仲井真知事が埋め立て承認を出したということに尽きる。しかしこれだけの県民一致した反対を押し切るのに、前知事の出した古証文を振りかざすだけでは、たとえ瑕疵はなくても無体である。

もう一つは、証文そのものに瑕疵があるかも知れないということだ。

翁長知事と県側は、岩礁破壊の許可書はサンゴ礁の破壊は認めていないとし、サンゴ礁の破壊があれば岩礁破壊の許可を取り消すと主張している。

「ベニスの商人」の理屈と同じで「肉1ポンドは与えるが、血の一滴も奪うことは許さない」という、ちょっと屁理屈っぽい話になる。

この場合の「瑕疵」は、県の第三者委員会が判断することになっている。ここがみそだ。

古証文の瑕疵を判断する主体は県側にある。なぜならそれを出したのは県知事だからだ。菅長官にあるのではない。「瑕疵があれば」云々はいかにもまずかった。

2.米軍の調査拒否

これは一発アウトだろう。決定的にまずい。日本政府の頭越しをやってしまった。

県はサンゴ礁の状況を確認するため、米軍が管理する立入禁止海域内での潜水調査を求めたが、米軍は「運用の妨げになる」との理由で拒否した。

というのが経過だ。

そもそも認可の条件がサンゴ礁の保護にある以上、認可を出した県側の調査を拒否するいわれはない。日本の法に従えば、控えめに見ても公務執行妨害である。

アメリカの法に基づいて拒否したのなら、アメリカの法に訴えればよい。どこかの連邦地裁に提訴すれば、黒白ははっきりする。

「残念ながら日本政府との安保条約に基づいて行動している以上、政府からの直接要請でない限りご要望にお応えできない」と言うべきだったのだ。

そもそもアメリカ軍が日本の地方行政府と直接対立してはならないのだ。それは日米安保条約の本分にもとることになる。安保条約がなければ、アメリカ軍はヤクザ集団と選ぶところはない。


まずは再度、再々度、調査の申し入れをすることだろう。調査ができないこと自体が「検証不能性」という「瑕疵」となってのしかかるのは米軍の方だ。

翁長さんは何度でもお願いすればよい。「運用の妨げになるようなことはしませんから」といえばよいのだ。なんなら、アメリカ軍の司令部の前で土下座してお願いしてもよい。

そうすれば、何が「運用の妨げ」になるのかが明らかになる。なぜ「お願い」しなければならないのかも明らかになる。