聴き比べるといってもそれほど聞けるわけじゃないから、まず20番のハ短調のソナタから。旧番号(WUE)だと33番になる。
まずアンドラーシュ・シフとリヒテルはほぼそのままパス。要するに嫌いだ。シフはお経だ。お通夜だけでたくさんだ。リヒテルは汚い。不快だ。
次がギレリス。立派だ。ベートーベンだ。これを初めて聞いたら納得するだろう。ハイドンもたしかに大音響が好きな人だったが、彼のピアノフォルテにはそれだけの機能はなかったはずだから、その範囲で頑張ったのだろうと思う。だからギレリスの方向はちょっと違うのではないかと思う。
ギレリスをちょっと下品にするとソコロフになる。
ラーンキの2009年ライブというのがアップされていて、これはもっとすごい。リズムの揺れが大きい。ペダル踏みっぱなし。とてもハイドンを聞いている気になれない。Naxos の大立者ジェノ・ジャンドも同じような傾向だ。
次がワルター・クリーン。これはモーツァルト風だ。安心する。いい音だ。おしゃれだ。やはりハイドンはこういうほうがいいね。趣味の問題だろうけど。
フィルクスニーの音源もある。音は意外に悪くない。良く言えばギャラント風なのだろう。さっそうと弾きまくる。風速20メートル。快感と呼ぶにはちょっとモーレツすぎ。
意外と良いのがツァハリス。しっかりとハイドンしている。「美の壺」を抑えているね。
曲は違うが34番(旧53番)ホ短調をフェルドマンが弾いている。NHKの朝のリサイタルの映像が、本人によってアップされていて、たしかにすごくいい。ただ音だけで聞いてみると、一生懸命抑制はしているけど本質的に“弾きたがり”。中田翔がネクタイ締めていい子ぶっている感じ。クズネツォフ、右に同じ。
面白いもので、グールドやポゴレリッチが弾くとバッハ風になるし、ブレンデルが弾くとシューベルトみたいに聞こえる。正直リヒテルもハイドンは悪くはない。
結局好みになるのだろうが、私としてはやっぱりワルター・クリーンにとどめを刺すほかない。ペライアは弾かないのかな?