第3四半期の経済統計が出揃った。
景気はまったく戻る動きを見せず、金融の緩和にもかかわらず株価だけが好調を維持する傾向がますます顕著になった。
daisansihanki
赤旗で各シンクタンクの評価を紹介しているので、転載しておく。
第一生命経済研究所
GDPが大幅に落ち込んだあとにしては戻りが弱く、物足りなさは否めない。個人消費や設備投資といった内需の持ち直しが緩慢なものにとどまっている。
消費税増税による負担増の悪影響が未だに消費を大きく下押ししていることがうかがえる。
みずほ総合研究所
(増税後の)個人消費の持ち直しが依然として緩慢なペースである。
とくに耐久消費財で反動減の影響が長引いている。
(実質所得の低下は)所定内給与が伸び悩んでいることに加え、年末賞与の伸びが夏季賞与を下回ったためだ。
三菱UFJ R&C
実質雇用者報酬が伸び悩んでいることが、実質個人消費の伸びを抑制している。
企業が潤沢な手元キャッシュ・フローをどの程度、国内の設備投資に振り向けるかがポイントになるだろう。


これらのシンクタンクの評価を見ていると、まさに「四半期資本主義」の発想そのままである。
上の図を見てみれば、第1四半期の駆け込み、第2の暴落、第3~第4の鈍い回復と見て、トータルで消費税がどんな影響を与えたかに思いを致さなければならないはずだ。そして消費税増税など決してやってはならないと決意を新たにすべきなのだ。
ところで、私が考えるには、「キャッシュフローを設備投資に回せ」と主張する三菱UFJ R&C は間違っていると思う。第4四半期ではGDPの伸びが個人消費を上回っている。ということは、企業の個人消費回復に関する見込みが楽観的に過ぎたということだ。それは同時に、これから二番底が来る危険を示唆している。私が経営者なら、この時期、絶対に新規投資はしない。現有勢力で利益の極大化を計る。
要するに個別企業に取って選択はないのだ。これは蟻地獄だろう。資本主義の限界だ。ここから脱出するには政治の力が必要だ。大企業の懐から強引にカネを抜き取って、社会保障と最賃引き上げに回すしかない。労働法規の厳格な適用も必要だ。さらなる改悪などもっての外だ。
ただ、それだけでは行かないことも事実だ。一国で強引に改革を進めれば、産業空洞化、雇用危機、ソブリン危機を招きかねない。まずは多国籍企業の国境なき資金移動と租税回避を国際協調で防がなくてはならない。
両方必要なのだ。しかも遠くない将来にそれを実現しなくてはならない。そうしないと、思わぬ形での第3次世界大戦が来る。