安部首相答弁のウソとまやかし

20日の衆院予算委員会での志井さんの基本質疑がまだまとめられないでいる。

衆議院議員が21人に増えて最大の問題は、質問時間が大幅に伸びたことだ。今までは赤旗の2面で読み切れたのだが、今回はなんと5面に達している。もうごめんなさいという感じだ。

まずは、安倍首相の最初の答弁が気に食わない。

質問は、「非正規が増えたことが労働者全体の賃金低下の主要な要因だ」という認識があるかというもの。これはなかなか「ハイ」とは答えにくい質問だ。そこで副次要因をるる説明をして「ハイ」とは言わない。それは分からないでもないが、その中にかなりウソとまやかしが入っている。

1.賃金の下がった理由

97年をピークとして賃金が下がった理由として、給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制の3つをあげている。

これらは局面、局面では賃金低下の要因をなしていた可能性はあるにしても、97年以降18年間の長期傾向を説明するものではない。給与の抑制だけは間違いないが、デフレを景気後退・生産過剰と捉えるなら、2001年からリーマン・ショックまで続いた好況局面は無視されることになる。デフレを円高と捉えても、それは200年前後とリーマン・ショック後の数年間に限られており、全局面を説明できるものではない。高金利時代はこの間まったく存在していない。「実質高金利」は円高の一面をとらえたものに過ぎず、枝葉末梢である。

18年間一貫した傾向を説明するにはもっと構造的な条件を検討しなければならない。すなわち賃金構造(労働分配率)と雇用構造である。景気の動向は18年のあいだに浮き沈みがあった。その中から都合の良い所だけを取り出して説明するのは真面目な議論とはいえない。

2.内部留保の増えた理由

安倍首相の言わんとしていることは、要するに景気が軟弱だったからということに尽きる。それらをすべて呑んだとしても、賃金が低下する一方で内部留保が激増した理由は説明がつかない。国民が並べて貧しくなったのなら、「分かち合え」という話も分からないではない。しかし大企業は空前の大儲けをしているのだ。「給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制」が賃金低下をもたらしたのなら、なぜそれが利益の巨大な溜め込みを可能にしたのか。それは説明できないだろう。

3.97年問題に関する認識は重大だ

「(97年のピークのあと)消費税が3%から5%に上がり、かつ社会保険料も上がり、その後アジアの経済危機があって、ここからずっと日本がデフレ下に入っていくわけです」と説明している。97年不況がこれらの複合危機であることを認めているわけだ。それではこの度の消費税引き上げと社会保障のさらなる切り捨ては何なのか。

97年初頭、諸指標は「バブル後不況」からの回復を示していた。安倍首相の言う「3つの過剰」とかデフレマインドはいったんは治まっていたのだ。当時の橋本首相は「バブル後不況は克服され、上げても大丈夫と思ってやったが、失敗した」と謝っている。

しかし今度は試され済みの結論で、さらなる不況を招くことが本人にもわかっていながら断行したということになる。この論理矛盾は深刻だ。