2月19日、ウォルマート・ストアーズが、時間給の従業員約50万人に賃上げを約束した。しかもかなりの引き上げ幅である。

時給を年内に少なくとも9ドル(約1070円)、来年2月1日までに10ドルに引き上げると言うのだ。このために新たに10億ドルを投資するそうだ.

対象は、ウォルマートとサムズクラブ(会員制倉庫型店舗)の約50万人の従業員。米国で雇用する140万人の従業員の約3分の1に相当する。

波及効果は少なくないと予想される。最低賃金に近い水準で労働者を雇用している小売業や外食業などが対応を迫られるだろう。

とくに最賃が低い地方では一般企業との格差が広がる。

ウォルマートは業績好調

ウォルマートの米国内従業員は約130万人にのぼり、民間企業としては全米最大の雇用主だが、これまで従業員の賃金水準をめぐり長らく批判されてきていた。従業員の調査によれば、その多くが公的支援に頼らなければ生活できない状況だったという。

第4四半期ではガソリン価格安を追い風に消費が拡大し、利益が予算に対し12%上回った。

しかし賃上げを発表した日、年間配当を1株当たり4セント引き上げたにもかかわらず、ウォルマートの株価は約2.7%下落した。

浅野秀二のアメリカ寄稿」にはこう書かれている。
 ウォルマートの年間利益は1兆6000億円。そのほとんどは株主配当されている。創業者であるサム・ウォルトンの富は、アメリカの労働者すべての富を上回っている。赤旗報道では、創業者一族の総資産は18兆円に達しているという。利率2%として、利子だけで年間3600億円だ。どうやっても使い切れない。

米国の最賃事情

この1年間で小売業の労働者の平均時給はすでに3%上昇している。同じく低賃金セクターである介護・外食業では3.4%上昇した。

とは言うものの、民間セクターの労働者の平均時給が24.75ドルなのにたいし、小売業の労働者は17.29ドルにとどまっている。

背景にあるのは労働力不足だ。1月の失業率は5.7%で前年同月比マイナス0.9%となっている。このため企業間の労働者獲得競争は厳しさを増している。スターバックスは、全従業員の賃金が最低水準を上回ることを宣伝している。

アパレル大手ギャップは勤務開始時の時給を10ドルに引き上げた。一方で通常店舗を200店閉鎖するなど、人件費高騰に対応し戦線整理を図っている。

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政府・自治体の対応

連邦法の下での最低賃金は時給7.25ドル。これは2009年以降、変わっていない。

しかし半数を超える州政府が、独自に最賃水準を定めている。カリフォルニアやコネティカット、マサチューセッツを含む7州の最低賃金が時給9ドルを越えている。

オバマ米大統領はこの動きを歓迎しさらに加速せようと動いている.