ピケティ人気がすごい。街の本屋でも平積みになっている。15年前の「帝国」ブームとは比較にならない。

本日の北海道新聞を見たら、なんと見開き二面でピケティ特集。

私もミーハーになって、記事を後追いしてみよう。

一昨年9月に仏語の原本が出版されると大きな話題を呼び、昨年4月に英訳版が米国で大ヒットした。ニューヨークの講演会では「ロックスター経済学者」ともてはやされた。

日本でも邦訳版が出ると関連本が次々と出版された。今年1月の来日時、各地で開かれた講演会はいずれも満員だった。

93年、22歳にしてマサチューセッツ工科大学の准教授に就任。しかし経済学の研究手法に違和感を感じた。「わざわざ複雑な数式を使って、いかにも難しい学問をやっている、とアピールしているようだった。“経済学は複雑”というのは正しくない」

2年後にはフランスに戻って研究を続けた。200年以上にわたる各国の税務情報を分析して、「21世紀の資本」をまとめた。

「経済学者としては歴史学的すぎる」試みだった。「経済学者は数式の世界に閉じこもらずに、もっと現実世界を見るべきだ」と語る。

1月にはフランス政府が「レジオン・ドヌール」を授与しようとしたが「政府に評価されなくてけっこう」と拒否した。

以下はインタビューのさわり

大昔から長期的には格差が拡大してきた。近年の例外として第一次大戦から70年までは格差が縮小した。これは二度の大戦で富裕層の資産が破壊されたためだ。

ほかに戦費調達のため富裕層への課税が強まったこと、土地改革で大地主が減ったことがあげられる。

しかし80年代のレーガノミクスからは富裕層への課税が弱まるなどして格差がふたたび拡大している。

今後世界各国の経済成長がますます鈍化すれば、それに対応するための金融緩和と相まって、資産を運用する富裕層とそうでない階層との格差は拡大するだろう。世襲財産で運命が決まる19世紀のような社会に戻るかもしれない。

この後税制改革の話に移っていくが、ここについてはとくに新味はない。

次に、ピケティ理論の解説代わりにQ&A

ピケティ理論の新しいところは、世界各国の税務情報を200年以上さかのぼって調べ、資本収益率と賃金の伸び率を比較した。

資産からの利益は200年のあいだ、年率4~5%で推移してきた。一方経済成長率は年率1~2%だった。国民所得の伸び率もほぼ同率で推移してきた。

したがって資産家の利益と労働者の所得との格差は歴史的に拡大してきた。

これがピケティの主張の骨子である。

これに対するまともな批判は「過去はそうだったとしても、将来もそれが真実であると裏付ける理論がかけている」というもの。

もっとおバカさん(一橋大学の先生)は、「将来経済が成熟化すれば資産から得られる収益も下がる可能性がある。格差が開くとは限らない」と「反論」する。この本はそういう“言抜け”を許さないために書かれた本でしょう。


解説者も頓珍漢なところがあって、マルクスとどこが違うかと質問した上でこう答えている。

マルクス主義は、資産家は労働者を働かせて得た利益で工場や投資を拡大し、労働者は搾り取られる一方と見る。

資本家と投資家(金利生活者)の区別もなし、生産された富(コストとの差分)の価格への転化とその分配についての基礎的理解なし…

そもそも大学で何を習ってきたのか? ということだ。

マルクス主義は搾取(剰余価値の取得)も、その大本となる資本主義的生産システムも、すべて認めている。資本主義の否定ではなく、(根底的な)批判なのだ。

その上で、生産が大規模化し社会化されれば、その私的性格と利益優先主義は有害無益なものとなるだろうと指摘しているのである。

そのうえで、ピケティとの違いを上げるならば、税制改革にとどまらず、生産システムそのものを社会的に統制することを主張していることである。

それによって、格差を必然とする社会ではない「もうひとつの社会」、すなわち「次の社会」をつくることが可能だということである。ただし、これは本質的にグローバルな課題であることを念頭に置くべきであろう。