「原油安の構図」という記事が引き締まっていて面白い。本日が上で明日が下だから、出揃ってから載せようかと思ったが、下が面白いとは限らないので、とりあえず載せておく。
1.リーマン・ショック後の原油安との違い
14年7月初めの原油価格は106ドル。これが直近では44ドルまで下がっている。(下落幅は58%)
08年のショック前の高値は147ドル、09年の底値は34ドルだった。(下落幅は77%)
これは需要の激減によるものだ。しかし今度は供給過剰が原因になっている。したがって価格低下は構造的なものであり、長期にわたると想定される。今後さらに30ドル水準まで低下する可能性も高い。
2.供給過剰の要因
まずは米国のシェールオイルだ。米国の産油量は05年に500万バレル/日だったのが、930万バレルに倍増している。
中東第二の産油国であるイラクの産油量は370万バレルであり、それを上回る増加だ。そのほとんどはシェールオイルだ。
もう一つはリビアの産出再開だ。14年6月に23万バレルまで落ち込んだが、わずか4ヶ月で100万バレルに回復している。これはイラクの内戦に伴う産油量減少を埋めてお釣りが来る計算だ。
3.需要は停滞している
経済の減速により、欧州では需要が減少している。中国とインドがこれをカバーしているが、伸び率は鈍化している。
米国は自国産原油の増加のために輸入量を減じた。
このためにトータルの需要が減少に転じた。
4.原油安の引き金は?
原油の市場価格はニューヨーク市場でのWTI(西テキサス中質原油)を指標としている。これが下落したことが引き金になっている。
原因は、米国が原油の輸出を禁止していることにある。このため国内在庫が積み上がり価格低下への圧力となった。
つまり米国の国内事情が国際価格に反映され、それが引き金になった。
5.なぜ14年夏だったのか
これらの傾向は長期に存在していたのに、なぜ14年夏になって一気に原油安に転じたのか。
それまでは中国、インドなどのアジア新興諸国が備蓄をふくめ積極的に買いを続けたために、市場が支えられていた。しかし14年夏を境に、供給量がそれを上回るようになった。
アジア諸国は原油価格が下がっても買いを増やさなかった。
6.投機資本の逃避
原油価格の低下は一直線ではない。9月末までは90ドル台が維持されたが、その後の2ヶ月で15ドル下がり、11月末のOPEC総会の後は1ヶ月で一気に25ドル下げている。
これは投機資本の逃避によるオーバーシュートとみられる。1月に入って底を探る動きも見られるが、なお5ドル程度の低下が続いている。
これらの資金は株式や国債に向かっていると見られ、株高、ドル高の要因をなしている。

とりあえずの感想だが、かなり政治要因が絡んでくると思う。

1.アメリカの原油輸出解禁の可能性

国内のシェールオイル業者は輸出解禁を熱望するだろう。米国政府としても、シェールオイル産業を潰すわけにはいくまい。

2.イラクの動向

中東第二の産油国であるイラク、その最大の油田であるキルクークがISISの手に握られており、産油量は激減していると思われる。

これがいつ回復されるのかが見通しが立たない。回復された場合、さらに供給過剰に拍車がかかる可能性がある。リビアも政情が改善すればさらに供給量を増大させる可能性がある。

3.LPGとの関連

現在はまだ原油とLPGはリンクされており、かなりの高値でLPGを買わざるをえないが、リンクが切れる可能性もある。

そうなれば原発のコストは引き合わないものになり、電力会社が原発に固執すれば、大企業の電力会社離れが進む可能性がある。