「転形問題」の安直な勉強

例によって、ウィキペディアですまそうという魂胆。

転形問題(Transformation problem)というのは、価値の規定と価格の規定の間には矛盾が存在するという主張とこれに対する批判。

価値規定と平均利潤の間には「外形上の矛盾」がある。この矛盾は「多くの中間項」を経て解決される。(資本論第一部)

エンゲルスはこの記述に関して何度か言及した。

平均利潤は価値法則に基づいて形成される。それは価値法則を損なうものではない。(資本論第3巻への補遺)

これにベーム・バヴェルクが噛み付いた。どう噛み付いたのかは、ウィキペディアでは言及されていないが、「価値と価格の同時的な成立」を主張したらしい。つまり価格の価値からの独立性ということだろうか。

ベーム・バヴェルクに対してはヒルファーディングが反批判を加えた。これも内容は不分明であるが、この価値と価格の乖離を認めた上で、資本主義の発展過程での「歴史的な変容」によってアジャストされるみたいなことを言ったようだ。

素人考えだと、「長い目で見りゃ、価値が価格を決定するんだよ」と言っているのだろうか。エンゲルスはこうも言ってるようだ。

(価値と価格の関係は)純粋な論理的過程のみではなく、歴史的に生じた過程を論理的に抽象したものである。

しかしこれだけでは「逃げ口上」と受け取られかねない。そこで「純粋に論理的」に説明しようとする人も多く現れたようだ。

とりあえず名前だけ列挙しておくと量的転化説、反復計算論、単純な価値形成過程説、転化不要説、標準体系転化説などである。

ウィキペディアによると、転形論争はむしろ第二次大戦後の出来事で、現在も様々な議論が展開されているようだが、さっぱり分からない。

私としては、櫻井毅の言う如く、

価値は価格としてしか現れ得ない以上、両者に矛盾はないはずだ

というのが一番説得力がある。

ただし、「価値=労働価値などというものはそもそも存在しないのだ」という考えに対しては説得力はない。


ということで、そもそも歴史的(ロング・スパン)に解決しなければならないと、言っているのに、論理的な解があると言って引っ掻き回す人がいるために「論争」になってしまったきらいがあるようだ。

なお桜井さんがこの問題で行った講演録があって、なんとなく取っ付きやすそうだ。いずれ読んで皆さんにも紹介したい。