欧州が租税回避の新たな対抗措置を打ち出した。
赤旗は島崎特派員の報告をかなり詳しく報じている。
欧州委員会(EUの行政機関)が、16日にルクセンブルグ政府の優遇税制措置を、「違法な国家補助」に当たるとの判断を下した。
此処から先はけっこう面倒なので、噛み砕いて、私注も加えながら説明する。
1.判断対象は「アマゾン」社
今回具体的に問題になったのはインターネット販売の「アマゾン」社。
アマゾンの租税回避の手口は、スターバックスとほぼ同様で、欧州全域で得た利益をルクセンブルクの子会社に計上するというもの。
会社は各国では利益をあげているものの、その利益を経費としてルクセンブルクに移転。帳簿上は利益ゼロとすることにより課税を免れる。ルクセンブルクでは課税率が低いので各国で納税するのに比べ、大幅な節税ができるという仕掛けだ。
2.ルクセンブルクの優遇税制
ルクセンブルクはかねてから多国籍企業への税を安くして、事実上の脱税を手助けしている国として有名である。なぜそのようなことをするかというと、もともとコストゼロの金だから、どんなに税金が安くても、国としてはまるまる儲けになる。その上オフィスの運用にともなって、いくばくかの雇用も創出される、というわけだ。
オランダなどはさらに御親切にも、バハマやカイマンなどのいわゆるタックスヘイヴンに利益を転送する手伝いまでしている。
3.「違法な国家補助」
以上を念頭に置いて、欧州委員会の判断を見る。
欧州委員会はルクセンブルクの優遇税制は「違法な国家補助」に当たると判断した。
「違法な国家補助」とはEU法に定められた違法行為の一つ。この法律では特定企業への補助金や優遇税制そのものを違法としているわけではないが、それが「市場の競争を歪めたり、域内の貿易に悪影響を及ぼしてはならない」、としている。
逆に言えば、欧州委員会はアマゾンのケースについて、「市場の競争を歪めたり、域内の貿易に悪影響を及ぼして」いると判断したことになる。
4.優遇税制そのものも追及
違法と判断された場合、補助の受給者はその分を返還することになる。これは相当厳しい処分だ。
欧州委員会はさらに踏み込んでいる。報道によれば、同税制そのものの「EU域内市場の整合性についても疑問視している」と発言している。こうなると事態は全面戦争の様相を帯びてくる。
現在、欧州委員会は、ルクセンブルク政府と伊フィアット社、アイルランド政府とアップル、オランダ政府とスターバックス社による取り決めにも調査を進めているそうだ。
こうなると、案件は個別であっても、この手の優遇措置全部に投網がかけられるようなものだ。
5.「違法」判断の行方
この判断がすんなり実施される可能性は低い。
傑作なのは欧州委員会のバローゾ委員長は、前職がルクセンブルクの首相で、この優遇税制の実施にあたった人物だということだ。
これまでずいぶん、投機資本の取り締まりとかずいぶんアドバルーンが挙げられてきたが、実施まで至ったものは殆どないし、あったとしても当初とはにても似つかぬ骨抜き法だ。
それでも次々にこのような報道がなされるのは、それだけ欧州各国民の不満が強くなっていることの現れだろう。