鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

AALA関連記事は「aala_newsの編集日記」http://blog.livedoor.jp/aala_news/ に移りました(6Nov.2023) 中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 「ラテンアメリカの政治」(http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ )がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2022年04月

STOP THE WAR (https://www.stopwar.org.uk/)
ukraine-e1651238871836



THE WAR IN UKRAINE IS FAST BECOMING A DIRECT WAR BETWEEN NATO AND RUSSIA AND THE PROSPECTS ARE HORRIFIC
26 Apr 2022 
by Lindsey German

戦闘が恐ろしい段階に

戦闘は急速にナトーとロシアの直接戦争になりつつある。その見通しは恐ろしいものがある。 

ロシアによるウクライナ侵攻が2カ月前に始まったとき、イギリス政府は、2つの重要な点を指摘した。一つは、ロシアの侵攻はNATOの拡大や米英両国の外交政策とは無関係であるとするものであった。
そしてもう一つはウクライナへの武器や資金提供、ロシアへの制裁は支援するが、戦争への直接介入は行わないというものだ。

NATOとその加盟国も同じ態度をとった。

しかし、今ではすっかり様変わりしている。西側の武器や装備は、奔流のようにウクライナに流入している。

イギリス軍はウクライナ兵を国内で訓練している。ウクライナの将軍たちはソールズベリー平原を訪れ、受け取る予定の兵器が実際に使用されているのを目の辺りにした。

米国政府の送った兵器は現在、30億ドル相当に達している。

和平と戦線縮小の話題は遠ざかった

この戦争は明らかにロシアとNATOの代理戦争として展開されるようになった。プーチンは和平交渉にますます消極的になっている。

ボリス・ジョンソンも先週インドを訪問した際、再び和平交渉を否定した。
「プーチンと和平交渉をするのは、自分の足を顎で挟んでいるワニを相手に、交渉するようなものだ」と主張した。
ジョンソンにとっての代替案は、ウクライナにより多くの武器を送り込むこと以外にない。

ロシアのウクライナ戦争は3ヶ月目に突入した。和平と戦線縮小の話題は、さらなる戦争への準備に取って代わられつつある。

その動きを主導しているのは、アメリカに他ならない。

ゼレンスキーとの会談
   米国務・国防両長官のウクライナ訪問とゼレンスキーとの会談

軍事情勢は西側優位に進み、和平を進める意味はない

ロシアは戦争の第一段階において期待されたほどの成果を上げていない。そのことをNATOの指導者たちは認識している。

ロシア軍は、当初期待したような急速な前進を遂げることができず、兵力や兵器を大幅に失った。そして最新の局面でも、ドンバス地方と南部に集中している兵力は思うような成果を上げていない。

NATOはウクライナに潤沢な兵器を与え、有効な訓練を施している。

米国は、このような軍事的条件を利用してロシアに敗北をもたらし、その軍事力を弱体化させたいと考えている。そのためにも和平は時期尚早なのだ

これが、和平交渉や和平合意が遠ざかってしまった理由である。


直接対決の準備が始まった 40カ国国防相会議の意味

それは同時に、核武装した国同士の直接対決の脅威が、それだけ近づいたことも意味する。

アメリカが主催する40カ国の国防相会議が、ドイツ南西部にあるラムシュタイン空軍基地で開かれた。これにはNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も参加している。

ドイツはすでにウクライナに対空戦車を送ることを約束している。それは、NATO諸国からウクライナに提供される武器の流れの一部である。
しかしオラフ・シュルツ首相には、さらにいっそう質の高い武器供与を行うよう政治的圧力がかけられている。また、これらの武器を使用するウクライナ軍の訓練も同時に行われることになっている。

国防相会談の意義は明らかだ。

ラムシュタイン基地は、ヨーロッパにおける米国の最も重要な基地の一つであり、かつては米国の核兵器が配備されていた場所である。

ここで会議を主催するということは、米国には紛争参加の準備ができているという宣言だ。
そして、その背後に同盟国を並べさせたのは、これ以上ないほど明確なメッセージである。

その結論は、ただ一つの方向、すなわちウクライナ紛争を終わらせるつもりはないこと、ウクライナへ兵器を送り込み、戦闘をさらに本格化させるということだ。そしてその方向をNATO加盟国へ押し付けることだ。

NATO加盟国への圧力とは具体的により多くの軍事援助を行えという圧力だ。つまりドイツ政府が今感じている圧力だ。武器援助に消極的なNATO加盟国を許すつもりはないということだ。

アメリカ政府は本心では戦争の継続を望んでいる。それを強力にバックアップしているのが、イギリスのボリス・ジョンソン政権である。

両者はロシアをさらに弱体化させ、NATOを強化させるだけでなく、その指導権を掌握し、とくにヨーロッパのNATO加盟国に対して、「国防」と「軍事」にこれまでと比較にならない支出を強いることを狙っている。

イギリスはそれらの軍事費のおすそ分けに与ろうと狙っている。ウクライナがロシアの標的を攻撃する際には、英国製ミサイルを使用していると言われている。

ジェームズ・ヒーピー国防相は、「英国から寄贈された兵器の射程距離が、ロシア国内に到達可能である」ことを認めた。その上で、「それがロシア相手に使われたとしても必ずしも問題ではない」と言う。

しかし、それは「問題ではない」どころではない。NATOが提供した兵器がロシアを標的にした場合、ロシアがそれをNATOの戦闘開始と見てもおかしくない。

それが核保有国同士の戦争という形で急速に問題化する可能性も十分ある。周知のように、すでに何度もロシアは核戦力を誇示し、使用の可能性すらほのめかしている。


戦争を終わらせるために武器の供給が必要か?

「戦争を終わらせるために武器の供給が必要だ」と考えている読者がいるかもしれない。それは善意に基づくのかも知れない。しかし、その効果は、その思いとは逆に働く可能性が高い。

軍事援助は戦争を短縮するのではなく、長引かせることになる。そして戦争の長期化は、軍事的、地理的にさらに闘いをエスカレートするもろもろの危険性を含んでいる。それが「戦争の悪循環」というものだ。

ロシアは明らかに侵略者である。それは間違いない。ロシアは速やかに軍を撤退させるべきだ。


戦争についてコメントして置かなければならないこと

ただ戦争についてコメントして置かなければならないことがある。

戦争は私闘ではない。それは平等であろうとなかろうと、とにかく主権を持つ2つの国家間の闘いである。しかもそれは今や、国家間の争いという水準を超えて、NATOとロシアとの直接戦争になりつつある。

それは日に日に明らかになりつつあり、第二次世界大戦以来、国際的に最も危険な状況となり出している。ウクライナの多くの人々がすでにこの戦争の犠牲者となっており、大規模な被害を受けている。他方で1万5千人以上のロシア兵が死亡している。

ウクライナの戦争の見通しは恐ろしいものだ。しかも長期化の可能性はきわめて高い。それはアフガン戦争を彷彿とさせる。

戦争はより広範な勢力を巻き込み、将来的には核戦争に発展する可能性もある。とにかくまず、戦争を停止せよと求める声を上げることが、今ほど必要な時はない。

26 Apr 2022 
by Lindsey German

 Menu logo

 

"裏切り者を一人でも減らす" 

ゼレンスキーは 暗殺、誘拐、拷問を管理する

 

One less traitor”: Zelensky oversees campaign

of assassination, kidnapping and torture of political opposition

 MAX BLUMENTHAL AND ESHA KRISHNASWAMY·

APRIL 17, 2022

 

 pjimage-24
上の写真。33日にドニプロで行われた左翼活動家アレクサンドル・マチュシェンコの拷問、アゾフのメンバーによって記録された。下の写真。メディア対応でポーズをとるZelensky大統領。

 

前文

ゼレンスキーは、民主主義を守ると言いながら、反対派を非合法化し、ライバルを逮捕し、国中で反体制派の失踪と暗殺を指揮している。

 

ここから本文

 

ゼレンスキー大統領は、自国の対ロシア戦争を民主主義そのものをめぐる戦いとして位置づけた。

316日に行われた米国議会での演説の中で、ゼレンスキーは次のように述べた。

 「今まさに、わが国の運命が決定されようとしている。ウクライナ人が自由になれるかどうか、民主主義を維持できるかどうかという国民の運命だ」

これに対し、米国の大手メディアはゼレンスキーを熱狂的な報道で迎えた。43日のグラミー賞授賞式では、彼とウクライナ軍を称える派手な音楽がお披露目された。

しかし、欧米のメディアは、ゼレンスキーと彼の仲間が、親ロ派と名指しされた地方議員を誘拐、拷問、暗殺していることには目をつぶっている。ロシアとの停戦協議に参加した市長や高官が殺されている。その多くは国家工作員によるものだ。

内務省のゲラシェンコ顧問は、ロシアとの協力で告発されたある市長が殺されたことを知り、「ウクライナの裏切り者が1人片付いた」と述べた。

 

ゼレンスキーはさらに、戦争のドサクサを利用して、多くの野党を非合法化し、主要なライバルの逮捕を命じた。こうして「親ロシア」の非難を受けた多くの人権活動家、共産主義者や左翼の組織者、ジャーナリスト、政府高官が失踪し、拷問され、そして殺されている。

ウクライナ公安(SBU)の治安部隊は、公式に認可された弾圧作戦の執行機関となっている。CIAの訓練を受けネオナチ準軍事組織と緊密に連携している。開戦以来、SBUはその収容施設を反体制者で埋め尽くした。

戦場では、捕虜となったロシア軍に対して残虐行為を繰り返し、そのサディスティックな行為をSNSで誇らしげに公開している。ウクライナ指導層の上層部はこれらの人権侵害を事実上黙認している。

ゼレンスキーは、欧米の聴衆の前で民主主義の擁護について美辞麗句を吐いているが、彼はこの戦争を、政敵、反体制派、批評家を血祭りに上げるための劇場として利用しているのである。

今年4月に治安機関に拘束され、殴られ、迫害された左翼活動家は、こうコメントしている。

「戦争は政府に利用されている。戦争は、批判者や反対派を誘拐し、投獄し、殺害するための口実に使われている。私たちは皆、自由を脅かされ、命の危険を感じている」

 

拷問と強制失踪はウクライナ公安の "常套手段"

 

20114年の親欧派のマイダン政権成立の後、政府は親ロシア的、非国粋的な勢力を全国的に粛清することに乗り出した。

ウクライナ議会は「反共法」 decommunization law を可決したことで、左翼的な要素への迫害と政治的発言は厳しく抑圧されるようになった。反体制派は、超国家主義的な暴力、投獄、さらには殺人の脅威に常にさらされてきた。それはウクライナ軍による人権侵害を記録した人々、共産主義組織のメンバーなどである。

政権はまた、東部の親ロシア派分離主義者との和平調停を主張するウクライナ人に怒りを集中させている。

政治弾圧キャンペーンの主要な執行者SBUは、国連高等弁務官事務所(UN HCR)やヒューマン・ライツ・ウォッチなどの親欧米の監視団からも、政敵や反体制派を組織的に無制約に拷問していると非難されている

UNCHR2016年に、「こうした紛争関連の被拘束者に対する恣意的な拘束、強制失踪、拷問、虐待はSBUの常套手段であった」と認定している。

元ハリコフSBUの職員はこう説明する。

SBUにとって、違法なものもすべて国家の必要性に言及することで説明できるから、法律は事実上存在しないのと同然である」

悪名高いネオナチ部隊C14の創設者イエベン・カラスは、彼の一団や他の極右派閥がSBUと親密な関係を築いてきたことを詳しく述べている。そして「SBUは我々だけでなく、アゾフや右派組織などにも情報を提供している」と述べている。

 

キエフ政府、ロシアとの交渉を行った市長たちの暗殺を認める

 

軍事作戦を開始して以来、一部の地方ではロシアからの人道的物資の受け入れを決めたり、ロシア軍と交渉して民間人避難のための回廊を手配した事例もある。SBUは、これらを実施した地方公務員を厳しく追及している。

例えば31日、ルガンスク市東部のクレミンナ市のストロク市長は、妻の話によると、軍服の男たちに誘拐され、心臓を撃たれたそうだ。殺害される前日、市長は同僚に親ロシア派と交渉するよう促していたという。

33日、ストロク市長の明らかに拷問された遺体の写真がSNSに掲載された。

 

Shot-2022-04-05

上の図は、ウクライナ内務省顧問Anton Gerashchenkoによるテレグラム投稿、「裏切り者」クレミンナ市長の暗殺を祝うと、コメントされている。

ゲラシチェンコは、市長の殺害を祝い、自身のテレグラム・ページでこう宣言した。

「ウクライナの裏切り者がまた一人減った。ルハンスク州クレミンナ市長、ルハンスク議会の元副議長が殺害されているのが発見された。ストロクは "人民裁判の法廷 "で裁かれた

ウクライナ政府関係者は、ロシアとの協力を選択する者に対し、「ロシアに協力すれば命を落とすことになる」という冷ややかなメッセージを発したことになる。

37日にはゴストメル市のユーリ・プリリプコ市長が殺害されているのが発見された。

プリリプコ市長は、ロシア軍と交渉し、住民を避難させるための人道的回廊の設置に乗り出したとされる。それはウクライナの超国家主義者にとっては、市長の事務所と長い間対立してきた「越えてはならない一線」であった。

次いで324日、ウクライナ北東部クピャンスク市のマツェゴラ市長は一本のビデオ(下記)を公開した。
Kupiansk
      動画(英語字幕付き)を見たい方は原著へ
彼はゼレンスキー大統領とその政権に対し、情報機関SBUによって人質にされた娘の解放を訴えた。

さらに犠牲者は続く。 

 ウクライナ交渉団のトップであったデニス・キレフ氏が、ロシアとの第1回協議の後、キエフで白昼堂々殺害された。キレフ氏はその後、ウクライナの地元メディアで "反逆罪 "と非難された。

ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の「対ロ協力者には結果が伴うだろう」という発言は、こうした残虐行為が政府の最高レベルによって認可されていることを示すものである。

 

 ゼレンスキーの脅迫

   ゼレンスキーの演説動画。原著から進んでください。英語字幕付きです。

 

今日現在、ウクライナの様々な町の11人の市長が行方不明になっている。西側メディアは例外なくキエフ政府の言い分を踏襲し、すべての市長がロシア軍に逮捕されたとしている。しかし、ロシア国防省はこの容疑を否定しており、行方不明の市長についてキエフの発表を裏付ける証拠はほとんどない。

 

ゼレンスキーは反対派を非合法化し、政敵を逮捕し、戦争宣伝を煽る

 

今年2月、ロシアとの戦争が勃発すると、ゼレンスキー大統領は一連の政令を発し、キエフの政敵や反体制派の言論に対する攻撃を決定した。

319日、ゼレンスキーは戒厳令を発動し、11の野党を禁止した。禁止された勢力は、ウクライナの左翼、社会主義、反NATOのスペクトルのすべてである。具体的には、生活党、左翼反対派、ウクライナ進歩社会党、ウクライナ社会党、左翼連合、社会党、シャリー党などである。。

いっぽう、「アゾフ国家軍団」のような公然たるファシスト政党や親ナチス政党は手つかずのまま残された。

ゼレンスキー大統領は、「分裂を目的とした政治活動は許されず、厳しい対応を受けることになるだろう」と述べた。

ゼレンスキーは反対派を一掃すると同時に、前代未聞の国内宣伝統制を命じた。テレビのニュース放送をすべて国営化し、すべてのチャンネルを24時間放送の「United News」という一つのチャンネルに統合して、"戦争の真実を伝える "というのである。

次いで412日、ゼレンスキーは、主要な政敵であるヴィクトル・メドベチュクをSBU治安部隊に逮捕させた。

 

資料 ダン・コーエンのツィッター

@dancohen3000

Apr 13

政敵


ゼレンスキーは、ウクライナの秘密警察
SBUが、プーチンに近い親ロシア派の野党指導者ヴィクトル・メドベチュクを逮捕したと、Instagramで発表した。
SBUは野党の人物を拷問し、殺害することで知られている。彼らが彼に何をするのか、あるいはすでにしたかもしれないと思うとゾッとする。

SBUがメドベチュクを何週間も刑務所の地下室に拘束し、戦場でのウクライナの損失から目をそらすために今写真を公開したのでは、と推測される。

メドベチュクの顔には明らかにあざがあり、ゼレンスキーのSBUのチンピラから殴られた結果だと思われる。この画像について、NYTの紙面やCNN24時間メディアサーカスに質問が載ることはないだろう。戦争支持のシナリオを崩すようなことは許されない。

 

ウクライナ第2の政党「生活のための愛国者」の創設者であるメドベチュク氏は、ウクライナに居住するロシア系住民の事実上の代表者である。プーチン大統領との親密な関係もあって「親露派」とされるが、新党首はロシアのウクライナに対する「侵略」を非難している。

 これまでも極右派はメドベチュクを標的としてきた。国家が支援するネオナチ「アゾフ大隊」の国民部隊のメンバーは、20193月に彼の自宅を襲撃し、反逆罪で告発し、逮捕を要求した。

20208月には、アゾフ大隊がメドベチュク氏の政党の代表を乗せたバスに発砲し、ゴム被覆鋼弾で数人を負傷させている。

ゼレンスキー政権は20212月、メドベチュクが運営する複数のメディアを閉鎖し、最大の政敵への攻撃をエスカレートさせた。米国国務省は大統領のこの動きを公然と支持し、米国は "ロシアの悪質な影響力に対抗するウクライナの努力を支持する "と宣言した。

その3ヵ月後、キエフはメドベチュクを収監し、反逆罪で起訴した。

 ゼレンスキーは、「情報分野でのロシアの侵略の危険と戦う必要がある」という理由で、有力なライバルを監禁したことを正当化した。メドベチュクはその後自宅軟禁の状態に置かれた。

ロシアとウクライナの戦争が始まったとき、メドベチュクは軟禁を免れたが、再び捕虜となり、戦後のロシアとの捕虜交換の担保に使われるかもしれない。

 反対派の誘拐、投獄、そして殺害

 

ゼレンスキーの下で、"戦争は反対派の誘拐、投獄、そして殺害にさえ利用されている"

224日にロシア軍がウクライナに進駐して以来、ウクライナの治安部隊SBUは、国内政治的反対勢力に対して、あらゆるたぐいの蛮行を下してきた。特に左派活動家は、誘拐や拷問などの過酷な扱いを受けてきた。

今年33日、ドニプロ市で、SBUに所属する警官がアゾフの超国家主義者とともに、リヴィジャ(左翼)組織の活動家の家を襲撃した。リヴィジャは社会支出の削減と右派メディアのプロパガンダに反対する組織として知られている。

ある活動家はドイツの左派系出版社「ユンゲ・ヴェルト」に語っている。

「アゾフの女性メンバーはナイフで私の髪を切りました。国家保安員は夫を拷問にかけました。銃口を頭に押し付け、“スラバ・ウクライナ!”という民族主義的な敬礼を繰り返し強要しました」

 拷問

   図 SBUが公開した拷問の画像

 

「そして、頭に袋をかぶせられ、両手をテープで縛られ、車でSBUの建物まで連れて行かれました。そこで彼らは尋問を続け、耳を切り落とすと脅した」

アゾフのメンバーとSBUの捜査官は、拷問の場面を録音し、夫の血まみれの顔の画像をネットで公開した。

33日にドニプロ市で行われた左翼活動家の拷問をAzovメンバーが録画し、ドニプロ市当局がテレグラムに掲載した。

SBUの標的となった人々の中には、レーニン主義共産主義青年同盟(非合法)のメンバーであるミハイルとアレクサンデル・コノノビッチがいる。

二人は36日に逮捕・収監され、「親ロシア、親ベラルーシの見解を広めた」罪で告発された。

仲間のツィッター: 彼は「侵略戦争や軍事作戦とつながっていた」という理由で投獄され、現在10年から15年の禁固刑に直面しています。国家に支援された超国家主義者に殴られ、肋骨を何本も折られたにもかかわらず、彼は保釈を拒否されています。ドニプロでは、他にも数十人の左翼活動家が同様の容疑で収監されました。

その後数日のあいだに、SBUは放送ジャーナリストのヤン・タクシュールと人権活動家のエレナ・ヴィアチェを逮捕し、国家反逆罪で起訴した。

人権活動家エレナ・ベレシュナヤ、人権擁護者エレナ・ヴィアチェスラヴォワ。独立系ジャーナリストのユーリ・トゥカチョフらも反逆罪で起訴された。

その他数え切れないほどの人が弾圧された。障害者の権利のために活動するオレグ・ノビコフは、東部の「分離」を支持したという理由で、今年4月に3年間の金庫を宣告された。

戦争が始まって以来、ウクライナの治安機関によって投獄された人々のリストは日に日に増えており、転載することができないほど膨大である。

おそらく最も悲惨な弾圧事件は、ネオナチがマキシム・リンドフスキーを誘拐したことである。

リンドフスキーはプロのMMAファイターで、チェチェンのジムでロシア人ファイターと練習したのが容疑である。

リンドフスキーはユダヤ人であり、足にダビデの星のタトゥーをしていた。ウクライナ東部での戦争に反対し、そのことをソーシャルメディアに発言していた。

 

SBUは、国境を越えた反対派の人物さえも追っている

 

ジャーナリストのダン・コーエンが報じたように、最近禁止されたシャリイ党のアナトリー・シャリイは、最近SBUの暗殺未遂のターゲットになったと語っている。

ジャーナリストのダン・コーエンが報じたように、最近禁止されたシャリイ党のアナトリー・シャリイは、自分がSBUの暗殺目標になったと語っている。

シャリー氏は、リバタリアン(絶対的自由主義)の政治家でありネット評論家である。彼は米国が支援するマイダン政権に明確に反対していたが、民族主義者からの長年の嫌がらせに耐え切れず、亡命せざるを得なくなった。

今年3月、彼は、友人である「イゴール」から面会を求める電子メールを受け取った。そのすぐ後、彼はイゴールがSBUに拘束されていることを知った。イゴールはシャリイの居場所を探り、おびき寄せるためのおとりであった。

シャリーの名は、アントン・ジェラシェンコが創設した「国家の敵」という悪名高い公開ブラックリストに載せられている。

ジェラシェンコは内務省の顧問であり、ロシアに共感するウクライナ人議員の暗殺を指示したことで知られている。

著名なコラムニストOles Buzinaなど、ジャーナリストやウクライナの反体制派は、このリストに名前が載せられ、その後、国家が支援する暗殺部隊によって殺害された。

今年2月の開戦以来、ウクライナでは一般市民も拷問の危険にさらされている。一般市民が街灯に縛られ、性器が露出したり、顔が緑色に塗られたりしている動画が、SNSに無数にアップされている。

戦時中の法と秩序の執行を任務とする領土防衛隊によって行われたこれらの屈辱的な拷問行為は、ロシア同調者からロマ人、コソ泥にいたるまで、あらゆる人を標的にした。

ロマ人
写真 見せしめにされたロマ人

 

ロマ人は難民としてキエフを離れ、ポーランド国境の町リヴィウに行ったが、そこでウクライナ人による差別に遭っている。あるものは顔にペンキを塗られ、電柱に縛られている。ウクライナの人気テレグラム・チャンネルは、この行為を称賛し、犠牲者を嘲笑している。

 

 縛られたロマ女性
下半身を露出させられ電柱に縛り付けられた女性

動画に付けられたコメント

This is the human rights that Zelensky brought to Ukrainian civilians

 

ウクライナSBUCIAから拷問・暗殺を学んだ

 

2014年マイダンのクーデター後にロシアに亡命した元SBU将校のヴァシリー・プロゾロフは、逃亡直前の人権蹂躙についてロシア当局に詳述している。

治安機関を握った右翼勢力は反対派を鎮圧し、ロシアシンパと目された市民に威圧を加えるため、拷問に依存するようになった。
プロゾロフによると、ウクライナの治安機関は2014年以降、CIAから直接助言を受けるようになった。

"CIAの職員は2014年以来、キエフに駐在しています。彼らは秘密のアパートや郊外の住宅に居住しています。彼らは、特定の会議を開いたり、秘密作戦を企てたりするために、頻繁にSBU本部にやってきます。"

以下は、ロシアのRIA Novostiがプロゾロフをプロファイリングし、2019年にその情報を特別公開したもの。(非常に生々しい動画であるが、逃亡した情報員の談話なので信頼度は不明

 

ウクライナの実業家イゴール氏の供述

 

ジャーナリストのダン・コーエンは、ウクライナの実業家イゴール氏にインタビューを行った。

彼は今年3月に、ロシア企業との結びつきを持っていたためにSBUに逮捕された。そしてキエフのダウンタウンにある治安部隊の悪名高い本部に拘束されました。

イゴールは、ロシア人捕虜が、SBUの将校に指導される領土防衛義勇隊員にパイプで殴られて、叫んでいるのを耳にしたという。

ウクライナの国歌が流れる中、ロシア人捕虜はプーチンへの憎しみを告白するまで残酷な目に遭わされ続けた。

そして、イゴールの番が来た。

「ライターで針を熱して、それを爪に刺したんです。最悪だったのは、ビニール袋を頭からかぶせられて窒息死しそうになったときと、カラシニコフ銃の銃口を頭に突きつけられて、質問に答えろと強制されたときです」

 

SBUはネオナチではなくCIAの手下

 

201314年のマイダン政府転覆作戦の後にSBUの初代長官となったヴァレンティン・ナリヴァイチェンコは、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に在米ウクライナ大使館の総領事を務めたことでワシントンとの密接な関係を育んだ。

SBUの前任者アレクサンドル・ヤキメンコは、退陣したヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領のロシア志向の政権下で働いていた。彼の言うには、ナリヴァイチェンコはこの間、CIAにスカウトされたとのことだ。

 

「絞殺魔」ポクラド

 

2021年、ゼレンスキーはウクライナで最も悪名高い諜報員の一人、オレクサンデル・ポクラドをSBUの防諜部門の責任者に任命した。

ポクラドは「絞殺魔」の異名を持つ。拷問やさまざまな汚い手口で上司の政敵を反逆罪に陥れたという評判にちなむものである。

今年4月、SBUの残忍さを示す鮮明な映像が、ドニプロ市でロシアシンパとされた男たちをSBU捜査官が殴打する映像(下図)として流れた。

 

Ukrainian SBU is arresting civilians in Dnipropetrovsk.

(あまり見たい映像ではないので紹介しない。見たい方は原著で当たってください)

 

ウクライナ軍、戦争犯罪を誇示。"ロシア兵を捕虜にすることはない!"

 

西側メディアは開戦以来、ロシアの人権侵害疑惑を大々的に報じてきた。その一方で、ウクライナ兵や親ウクライナのソーシャルメディアは、現場での処刑や捕虜の拷問など、サディスティックな戦争犯罪を誇示してきた。

今年3月、「White Lives Matter」という親ウクライナのテレグラム・チャンネルは、ウクライナ兵がロシア人捕虜の婚約者に電話をかけ、捕虜を去勢すると約束する “いじめ動画” を公開した。

ウクライナ兵が、死んだロシア兵の携帯電話を使って遺族をあざけり、ののしることは日常茶飯事になっている。

これは事実だが、ウクライナ政府は米国のハイテク企業クリアビューAIの悪名高い顔認識技術を使って、ロシア人犠牲者を特定している。そしてその親族をソーシャルメディア上で愚弄し始めたのである。

 捕虜の家族へ電話して

写真 ウクライナの兵士が遺族に電話をかけ、馬鹿にしたり悪態をついたりしている。ロシア兵士は、彼らが携帯電話のロックを解除する前には生きていたに違いない。これも一種の「捕虜に対する戦争犯罪」だ。

 

ここ数週間でソーシャルメディアに登場した最も陰惨な画像は、拷問を受けたロシア人兵士が殺される前に片目をえぐられた写真だろう。親ウクライナのテレグラムチャンネル「fckrussia2022」が、片方の目に包帯を巻いたロシア兵を描いた動画を投稿した。

目をくりぬかれたロシア兵

 

ハリコフ市郊外でウクライナ兵が無防備なロシア人捕虜の脚を撃っている動画も公開されている。ウクライナとグルジア軍団の兵士が公開した別のビデオでは、キエフ郊外の村の近くで、負傷したロシア人捕虜を現場で処刑する戦闘員の姿が映し出されている。

上官のお墨付きを得たことで、これらの兵士は勇気づけられたのだろう。

ロシア兵捕虜の野外処刑に参加したグルジア軍団の司令官マムラ・マムラシヴィリは、今年4月、次のように自慢していた。 

「自分の部隊は自由に戦争犯罪をやっている。そうだ、我々は時々彼らの手足を縛る。グルジア軍団を代表して言うが、我々は決してロシア兵を捕虜にしない。一人も捕虜にしない」

ウクライナ軍医療サービス責任者のゲンナディ・ドルゼンコは、もっとすごい。ウクライナ24のインタビューでこう述べた。

「ロシア人男性は人間以下でありゴキブリよりひどい。だから私は、全員去勢せよという命令を出した」

 

ウクライナ当局は、アゾフが拷問し殺した女性を、ロシアの犠牲者に仕立てる

 

西側メディアが国内およびウクライナ国内でのロシアの人権侵害に注目する一方で、ウクライナ政府は "総力戦 "と呼ばれるプロパガンダキャンペーンを立ち上げている。

そしてロシアを非難するために、偽の画像や偽のストーリーを植え付けようとしている。

「ウクライナ24」は、腹に血まみれのかぎ十字の焼印(swastika)を押された女性の死体の写真を掲載した。これを報道した「ウクライナ24」のゲストスピーカーは、ロシアの子どもたちを大量虐殺するよう呼びかけていた。しかし実のところ、この女性はアゾフによって殺害され、ロシアの攻撃による犠牲者にでっち上げられたのだ。

「ウクライナ24」は、ロシア人が329日に立ち退いたキエフ州の地域の一つであるゴストゥメルで、この女性を発見したと主張している。

この写真を公開したのは国会議員Lesia Vasylenkoと、ゼレンスキー大統領の最高顧問Oleksiy Arestovychである。二人は凌辱された女性の死体の写真をSNSで公開した。

 

アレストビッチは投稿から8時間後、偽物を掲載した事実を突きつけられ、写真を削除した。しかしヴァシレンコは写真をネット上に残した。

実はこの映像は、ドネツク在住の米国人ジャーナリスト、パトリック・ランカスターが撮影したものだった。

アゾフ大隊はマリウポリの学校の地下室を基地に改造し、そこで女性を拷問し殺した。ランカスターは女性の遺体を撮影し、その映像がアゾフに転用された。要するにアゾフが虐殺し、それをロシアの仕業のように見せかけたのだ。

 妊婦の遺体

写真 元画像を撮影したのは Plnewstoday。妊婦はマリウポルの学校の地下室で、ネオナチに拷問され殺害された。ランカスターのビデオの231秒に、女性の死体がはっきりと映っている。

 

NATO諸国からウクライナに兵器が流入し、戦争が激化するにつれ、残虐行為が積み重なるのはほぼ確実だ。それはキエフの指導者にとっては成果の積み重ねだ。。

 

ブチャを訪れたゼレンスキーはこう宣言した。

「もし我々が文明的な方法を見つけなければ、結果は自明だ。国民は非文明的な方法を見つけるだろう」

Wordへの写真貼付けがうまくいかず、途中で挫折しました。原著をご参照ください。ただし辛いですよ)

 



ロイター電→赤旗で17日の教皇メッセージが紹介されているが、どうも私の読んだ印象と違う。とりあえずバチカン・ニュースの記事から要旨を紹介する。宗教用語は不得意なので、疑問があればサイトにあたってみてください。



Vatican NEWS

復活祭のローマ法王 Urbi et Orbi:
キリストとともに平和をかちとることができますように

Pope at Easter Urbi et Orbi: May we be won over by the peace of Christ!

https://www.vaticannews.va/en/pope/news/2022-04/pope-at-easter-urbi-et-orbi-be-won-over-by-the-peace-of-christ.html

リード

教皇フランシスコは、復活祭の「教会と世界へ」へのメッセージを発しました。
この中で、十字架につけられたイエスが復活したことを告げました。

教皇は戦争の犠牲者や世界中で苦しむすべての人々を思い、キリストの平和が私たちの生活、家庭、そして国に訪れるよう切に訴えました。


キリストは復活された

教皇は、"十字架につけられたイエスが復活した!"というメッセージを発表されました。

生きているイエスが、弟子たちの間に立ち、"平和があるように "と挨拶されたのを目撃したのです。


平和はあなたとともに

平和があなた方とともにあるように!
私たちの心が本当に開かれますように、と教皇は強調されました。

特にいま正反対のこと、多くの人が亡くなり、暴力が続く戦争を目撃しているこの時代において、です。

原爆から逃げ惑った兄弟姉妹を思い出すと、この悲劇的な現実は、命が死に打ち勝ったと思うのを難しくしてしまいます

果てしなく続くLentの終わりに、今日、かつてないほど、私たちはキリストを必要としています。主が「平和があるように!」と繰り返してくださることを必要としています。

 今日の恐ろしい戦争や暴力に見られるように、邪悪な心が私たちの中にまだ働いているからです。



Prayers for Ukraine

"戦争で引き裂かれたウクライナに平和が訪れますように"、"この苦しみと死の恐ろしい夜に、希望の新しい夜明けがすぐに現れますように!"と、教皇は祈りました。

教皇は、「戦争の犠牲者、何百万人もの難民、孤児、そして孤独のうちに残された高齢者への思いを気にかけている」と述べました。

特に子どもたちの叫びを気にかけています。

世界中で、暴力で傷つけられ、生まれる権利を阻まれ、飢餓や医療不足の犠牲になっている世界中の苦しむ子どもたちの叫びとともに聞いてます。

私は世界の指導者たちが、苦しんでいる人達の声を聞き、平和を支えようと決断するように訴えます。

70年前に科学者たちが厄介な問いを投げかけました。「人類に終止符を打つか、それとも人類が戦争を放棄するか」(Russell-Einstein Manifesto, 9 July 1955)

世界の指導者たちが、この問いに心するよう私は訴えます。


心強い兆候

教皇は、全ヨーロッパで移民や難民を受け入れるために門戸を開放した、すべての人々に賛辞を贈りました。

これらの心優しい行いは希望のしるしです。それは利己主義と個人主義に支配された社会を克服することです。

私たちは見過ごされたり忘れられたりする紛争にも、ウクライナと同じように、思いやりと連帯感を持って対応できますように、と教皇は訴えた。


キリストとともに平和をかちとる

最後に教皇フランシスコは、戦争や災難による悲しみや苦しみにもかかわらず、イエス・キリストは、悪や暴力に屈服しないよう私たちを励ましていると、呼びかけました。

"平和は可能である。平和は義務である。平和はすべての人の第一の責任である!"




https://www.telesurenglish.net/news/Ukrainian-Conflict-Wreaks-Havoc-on-African-Economies-20220418-0005.html?utm_source=planisys&utm_medium=NewsletterIngles&utm_campaign=NewsletterIngles&utm_content=17

ウクライナ紛争でアフリカ経済に大打撃

Ukrainian Conflict Wreaks Havoc on African Economies

teleSUR
18 April 2022



kenya
Children get food aid in Kenya, April 17, 2022.


本文

「国際成長センター」のエコノミストであるメコンネンは、次のように語りました。

ウクライナ紛争が長引くと、ロシアやウクライナと貿易関係にあるアフリカ諸国は、小麦や肥料の供給不足に直面することになります。

アフリカの多くの国では、食糧生産に窒素系肥料を使用していますが、その約7割をウクライナやロシアから輸入しています。そのため、供給側が影響を受けることで、輸入代金の増加に直面しています。

それを肥料輸入を減らすことで紛らわせるということになれば、食糧生産は縮小し、食糧価格はさらに高くなる。

国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、3月の食糧価格指数は平均159.3ポイントである。それは1990年の統計開始以来、すでに最高値である2月の記録から、さらに12.6%上昇している。

メコンネンによると、ガーナ、エチオピア、ケニアなどの国々が、エネルギーと食糧の価格高騰で大きな打撃を受けている。このような状況は対外貿易に深刻な不均衡をもたらし、それが国内でのインフレを悪化させている。

もう一つの例がエジプトだ。この国では小麦をロシアの供給に依存している。

メコンネンは言う

ウクライナの紛争が勃発した後、アフリカ諸国はパンの価格高騰に取り組まなければなりません。ロシアとウクライナを合わせると、世界の小麦輸出の約30パーセントを占めているからです。たとえばエチオピアは、年間4億米ドルの小麦と30億米ドルの燃料を輸入しています。

ロシアが制裁によってエネルギー輸出の中断、禁輸に追い込まれると、食料と燃料の価格が共に急騰することになります。

ナイジェリア、アンゴラ、スーダンなどの燃料輸出国や鉱物資源輸出国は、当面は収入が増加するかもしれません。

しかしこれといった資源のない純輸入国は、輸入品の代替、国内生産の改善、海外直接投資の誘致に取り組む必要がある。さもなければ、未来には「アフリカの角諸国」と同様の危機とショックが待っているだろう。


https://www.thejakartapost.com/opinion/2022/04/10/how-indonesia-as-g20-host-can-be-a-mediator-between-russia-and-ukraine.html

OPINION

How Indonesia, as G20 host, can be a mediator
between Russia and Ukraine

Mireille Marcia Karman
April 10, 2022
The Jakarta Post

オピニオン

G20ホスト国、インドネシアが
ロシアとウクライナの仲介役となるには


リード

今年のG20サミットの開催地であるインドネシアでは、会議の参加対象が注目されている。米国とその同盟国であるオーストラリアやEU加盟国が、ロシアを会議から排除するよう提案しているからだ。


G20サミットとウクライナ紛争

今年のG20サミットの開催地であるインドネシアが注目されている

ロシアとウクライナの戦争は、1ヶ月以上前からすぐに収まる気配がない。欧米諸国は、武器やロシアへの一方的な経済制裁、ロシア人外交官の大量追放などでウクライナを支援してきた。

米国とその同盟国であるオーストラリアや欧州連合加盟国などのtは、ウクライナに侵攻したロシアを会議から排除するよう提案している。

しかしJoko大統領はそれを押し切り、ロシアをG20サミットに招待することを決定した。彼はインドネシアが公平性を保ち、両当事者と良好な関係を維持したいと願っていると答えた。

このため欧米諸国は、ロシアが出席するなら、ウクライナもサミットに招待するよう要求している。しかし、欧米諸国の圧力に屈することは、インドネシアにとって賢明な選択とは思えない。

これは、インドネシアと、ブラジルや中国など他の非欧米メンバーとの間に不必要な溝を作ることになるかもしれない。そして不必要な軋轢は、G20サミットそのものの進行方向を混乱させるかもしれない。

また、ロシアやウクライナと良好な関係を維持しようとする、インドネシアの現在の努力とも矛盾する可能性がある。

だからといって、中国の言うようにG20の議題からウクライナ問題を外し、経済問題だけに集中するのも、必ずしも賢明とは言えない。インドネシアが、非同盟運動の主要メンバーでありながら、世界的な緊急課題に背を向けたということになるからだ。

ロシア・ウクライナ紛争が、経済問題としても避けて通れない議題になるだろうと主張する経済専門家もいる。これは、戦争が原油や商品価格の変動を誘発するなど、世界的な経済危機を深化させたからである。


調停者としての実績

G20加盟国の半数以上は、どちらかの戦争当事者に固く結びついている。

その一方で、もしインドネシアがロシアとウクライナの仲介役として役割を果たすことができれば、G20サミットは和平プロセスへの具体的な貢献を示す契機ともなり得る。

楽観的になるべき理由は以下の2つである。

第一にインドネシアは、ロシアのプーチン大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との間の和平交渉を仲介する誠実な調停役となることができるからである。

① インドネシアの公平性

 インドネシアは「自由で積極的な」外交原則を堅持している。 これは、世界の平和と秩序を維持するというインドネシアの基本姿勢に基づくものだ。

 この原則と基本姿勢に基づき、インドネシアは主要国との紛争や公然たる介入を回避してきた。そして一方の当事者に肩入れして他方と敵対することを拒否してきた。

 この姿勢は、G20の主催者でもあるインドネシアが採用すべき本質的な要素である。 このことにより、わが国は外交的アドバンテージを持っている。そして多国間交渉における調停役として、強力な役割を果たしうる。

 インドネシアがG20の招待リストにロシアを残すことは、大国の圧力に屈しないという非同盟の姿勢を世界に示すことになる。そして戦略的なミドルパワーとして、戦争当事者から信頼を得ることができる。

インドネシアは、未だウクライナを招待することを決定していない。しかし、G20サミットにウクライナとロシアが参加するなら、それは良い出発点になるだろう。

もし両者がサミットで会談することに同意すれば、インドネシアは、同じような考えと願いを持つメンバー国を結集し、和平交渉に持ち込むことができるだろう。


② 和平交渉・調停者としてのインドネシアの経験

インドネシアには地域紛争の調停に優れた実績がある。

 ジャカルタのシンクタンク、戦略国際問題研究所のリナ・アレキサンドラ上級研究員は、論文の中で次のように書いている。

1988年から1991年にかけて、インドネシアはカンボジアの武力紛争を停止させ、ベトナムのカンボジア占領を終わらせるために極めて重要な役割を果たした。

また、フィリピンのミンダナオ島で長期間続いた、モロ民族解放戦線と政府軍との戦闘についてもインドネシアがかかわった。この紛争は1970年代から1990年代にかけてつづいた。インドネシアは和平努力を促進するために、誠実な仲介役をはたした。

1993年、インドネシアはイスラム会議機構の議長を務め、西ジャワのチパナス(Cipanas)で第2回非公式な事前協議を開催した。この会談で「了解覚書」が結ばれ、1996年にフィリピン政府とモロ民族解放戦線が和平協定に調印するに至った。

インドネシアは、G20議長国であるロシアとウクライナの間で、実現可能かつ戦略的な平和の推進役として、この成功を繰り返すことができるかも知れない。


インドネシアは誠実な調停者となるつもりだ。そのことで国際秩序をささえる能力を証明し、みずからの国際的なイメージを向上させることができる。


G20サミットは絶好のチャンスだ

ロシアとウクライナの紛争では、トルコ、中国、イスラエルも調停役の座を争っている。

しかし、G20サミットのホスト国であるインドネシアには、ゴールデン・チャンスがある。

 G20サミットでロシア・ウクライナ紛争をタブー視する必要はない。それはG20議長国の仕事を混乱させる危険ではなく、平和を促進する機会としてとらえる必要がある。

インドネシアが過去の例に習って、和平合意につながる成果をもたらすことができれば、それは国際舞台におけるインドネシアのイメージを向上させる絶好のチャンスになるはずである。

***筆者はパラヒャンガン・カトリック大学助教授  






 


https://www.dailymaverick.co.za/article/2022-04-08-south-africa-abstains-from-voting-on-russias-un-human-rights-council-suspension/

Daily Maverick
Peter Fabricius
08 Apr 2022 

WAR IN EUROPE

South Africa abstains from voting
on Russia’s UN Human Rights Council suspension

南アフリカ、ロシアの国連人権理事会停止処分について投票を棄権


リード

南アフリカ共和国のXolisa Mabhongo国連副大使は、ウクライナ戦争について中立の立場を堅持することを明らかにした。これはロシアを侵略者と認定することを暗に拒否するものである。

…………………………………………………………………………………………………………


4月7日にウクライナ戦争に関する国連総会の投票が行われた。今回は、ウクライナの民間人に対する残虐行為の疑いで、ロシアを国連人権理事会の理事国から一時外すという提案であった。

南アフリカはこの投票で再び棄権した。
この決議は、賛成 93 票、棄権 58 票、反対 24 票で可決された。

その決議の背景には、キエフ近郊のブチャから、ロシア軍撤退後に数百人の民間人が路上や集団墓地で遺体で発見されたという衝撃的な報告や写真があった。

何人かの市民は、両手を縛られたまま頭を撃たれ、冷酷に処刑されたようだ。

ウクライナのキスリーチャ(Sergiy Kyslytsya)国連大使は、この決議を支持するよう各国に要請した。
国連は彼の言葉を次のように報じている。
ブチャをはじめとする数十のウクライナの都市や村では、平和に暮らす数千の住民がロシア軍によって殺され、拷問され、レイプされ、拉致され、強奪された。
それらの事実は、ロシア連邦が人権宣言の精神から如何にかけ離れてしまったたかを示している。
だから “本件の特殊性は際立っており”、今日対処すべきことは自明なのだ
(this case is unique, and today’s response is obvious and self-explanatory:後ほどの議論で、南アフリカはこの言葉にこだわる)

しかし、南ア政府はこの意見には同意していない。ニューヨークの国連副大使マボンゴ(Xolisa Mabhongo)は、ウクライナでの戦争について中立の立場を貫くことを明らかにしている。そしてロシアを侵略者とみなすことを遠回しに否定している

彼は、南アフリカがこの決議に棄権すると述べた。 なぜなら、それは時期尚早であり、国連人権理事会の判断を踏み越えてしまうからである。

以下はマボンゴによる発言の要旨

3月4日、国連人権理事会は国際調査委員会の設置を決めました。それはウクライナにおける人権侵害や虐待、国際法違反、関連する犯罪のすべての疑惑を調査するための委員会です。

このまま事態が進めば、今回の決議は国際調査委員会の調査結果を、予見によって先取りしてしまう危険があります。

この際、国連人権理事会を設立した国連総会決議60/251に留意するようもとめます。そこでは、「人権問題の検討において、普遍性、客観性、非選択性を確保することの重要性...」が強調されています。(人権問題は個別的であるがゆえに、恣意的解釈に陥ることがある。これはユーゴスラビア紛争の痛切な教訓である 編集者)

残念ながら、我々がいま検討している決議案は、検討するにあたって公正なプロセスを踏んでいるとはいえません。そのゆえに総会をさらに分裂させ、二極化させる危険があります。

人権理事会のメンバーの資格停止を検討するにあたって、南アフリカは次のように考えます。

その判断基準は、時と場合によって変わるのではなく一貫したものでなければなりません。そうでなければ、そこにはダブルスタンダードが持ち込まれることになり、総会と人権理事会の信頼性を損なうことになるからです。

また、南アフリカは戦争に対する深い懸念を表明するものです。私は人道的危機に対応するための第一歩として、敵対行為の停止を求める南ア政府の方針を繰り返したいと思います。そして対話、調停、外交が紛争を終わらせる唯一の道であることを強調したいと思います。

南アフリカは、ウクライナとロシアによる前提条件なしの協議開催への努力を歓迎するものです。総会は調停と対話を奨励し、その目的につながるような建設的な成果を実現しなければなりません。

…………………………………………………………………………………………………………………………

参考までに、この記事に対してコメントが寄せられています。


Bruce Sobey マンデラの国、ツツ主教の国の私たちは、今、恥ずかしくて頭を垂れなければならない。私たちのリーダーは、善悪の区別がつかず、正しいことのために立ち上がることができないからだ。

Winterlorinda 嫌悪感を通り越してる! ネルソン・マンデラは墓の中でひっくり返っているに違いない。

Elmarie Dennis 自称リーダーって、どんだけ南アフリカの利権に絡んでるんだ。恥知らずの政治家を恥じる

Rencia Cloete
私の政府は私の代弁者ではない! ウクライナの戦争に対する南アフリカの対応を恥ずかしく思う。

コテンパンですね。しかしこれらの怒りは、もし両者に和解の兆候が見え始めれば、霧が晴れるように消えていくでしょう。虐殺者とも手を握った妥協の天才、ネルソン・マンデラは小躍りするでしょう。





9日日経三面のトップ記事。
一言で言って、とても苦心したあとが見える記事だ。中でも記事につけられた各国の立場の変化を表した表は、この間の世界の流れをあからさまに示している。
もちろん、日経の基本方針は政府や主要メディアと変わりはない。その中で精一杯の表現だろう。
何よりも数字が「亀裂」の意味を語る。

人権理事会の基礎知識

国連人権理事会は人権侵害への対処を担う組織で、ジュネーブに本拠を置き、47カ国の理事国で構成される。ことの性格上、先進国が途上国に上から目線で容喙する傾向があった。このため国連総会の管轄下に入ることを定めた機構改革が行われた経過がある。
そうすると、理事国なのにあまり人権を尊重しない国が選ばれてしまう危険もある。このためそういう国を排除できる条項も設けられている。それが今回の総会決議である。
有効投票の3分の2以上の賛成で理事国資格を停止できる。棄権は有効投票ではないから、いくら増えても関係ないのだが、「積極的な棄権」はけっこう危険だ。

投票の結果: 世界の過半数は反ロシアだが、NATO諸国を支持しない

キーウ周辺での民間人殺害を受け、ロシアの人権理事会理事国の資格停止をもとめる決議が、国連総会に提出された。投票参加国は175カ国、共同提案国(ガチガチの賛成国)は58カ国である。採決ではこの58カ国に加え35カ国が賛成に回った。これで総数93カ国だ。

これに対し「非賛成国」は100カ国に達した。これだけの圧倒的なキャンペーンにも関わらず賛成国は半数に達しなかったのである。非賛成国というのは3種類あって、反対、棄権、無投票ということになる。

非賛成というのは2つに分かれると思う。一つはロシアは間違ったことはしていないという見方で、これは当然ガチガチの反対だ。もう一つはロシアは間違っているかもしれないが、資格停止されるほどのことではないという反対、あるいは資格停止という処分は誤っているという反対だ。
普通は保留になるが保留がないから棄権に回る。無投票も棄権の一種だが、このような採決自体がバカバカしい、賛成国の “上から目線” が気に入らないという意見かもしれない。

この辺を分析する手がかりとなるのが、前回、前々回の採決時から投票態度を変えた国の分析である。

記事ではこう書かれている。

「際立ったのが、反対・棄権票の急増だ。3月24日の決議と比べ、反対国が5倍化した。増えたのは前回の棄権国からの転換だ」

棄権票は約5割増えた。18カ国が反対に回ったことを考えると、その意味はさらに重大だ。そしてその結果、前回賛成国の3割が非賛成国となった。

過去3回の総会決議の投票数をみると、世界はNATO諸国と非NATO諸国に分裂し、ロシアの侵攻拒否においては概ね一致するが、非NATO諸国はそれ以上のお付き合いはご遠慮させていただきたいと言い始めていることがわかる。しかもその構えがますます強化されていることがわかる。

その表に進もう。

これは全部の国を集めて数字的に処理したものではなく、主な国々の主な意見をアナログ的にまとめたものである。したがって編集者の主観がかなり入り込んだものとなっている。
国連投票結果

意見の特徴を拾う

記事の本文には、この表そのものの分析はない。「読み取ってください」ということなのだろう。だから私なりに読み解く。

① 国連の役割を問う
「棄権→反対」意見で共通するのは、国連総会の役割を問う声だ。
ロシアが悪いのはわかるが、国連は裁判所ではない。こういうふうに世界の民衆の声をイエスかノーかに裁断することが果たして良いことなのか。
むしろ国連が率先して紛争解決に向けてイニシアチブを取るべきではないか、というものだ。
私としてはまことに正論だと思う。1ヶ月の間に3回も採決を行い、そのたびに加盟国に政治的踏み絵をふませることが、事態の解決に結びつくとは思えない。それはまさに現実の進行が示していることだ。

② 事実は未解明→処分は急ぎすぎ
人権理事会が設置した調査委員会が独自調査を行い、虐殺事件の真相を明らかにすべきだ。理事国の権利を剥奪する行為は大変重い。当事者が責任を否定している以上、事件の解明を終えてから処分を検討すべきだろう。

③ 人権侵害の疑いがあれば理事国になれないのか
率直に言って人権侵害の疑いをかけられている国は中国をはじめ相当数ある。日本も入管での人権侵害、慰安婦・徴用工での未解決問題を抱えている。
人権問題をことさらに強調する、NATO諸国の「ダブル・スタンダード」に対する途上国の不信感は根強い。「虐殺」を持ち出して特定の国を攻撃する手法は、先進国の常套手段である。
口には出さなくても、そのような通奏低音が存在するのではないか。

大まかにいえばこのような論点となる。いずれも新旧植民地主義の歴史をふくめ根深い問題であり、国連を使ったロシア攻撃はもはや困難となったと考えて良さそうだ。




ブチャの虐殺 それは偽旗作戦ではなかったか?

Massacre in Bucha. Was it a False Flag?

グローバルリサーチ
2022年4月5日


偽旗(False Flags)とは何か?

"偽旗 "とは、相手のせいにする目的で行われる政治的・軍事的でっち上げのことである。
自国に対する攻撃シミュレーションを行い、敵がそれを行ったと主張することで戦争に突入するための口実とすること。
2022年4月キエフ郊外で起きた「ブチャの悲劇」は "偽旗" 作戦の可能性がある。




以下はCNNの報道からの引用である

"ウクライナのリヴィウから(CNN) 
首都キーウに近いブチャの町の街路には、少なくとも20人の民間人の死体が並んで転がっている。
ある者はうつ伏せに、ある者は仰向けに倒れ、口を開けて、ロシアの占領の恐ろしさを悲劇的に物語っている。
一人の男は、白い布で後ろ手に縛られている。もう一人は、草むらの土手のそばで自転車に乗ったまま倒れている。3人目は、道路の真ん中、焼け焦げた車の残骸の近くに横たわっている。
ブチャの殺戮の衝撃的な映像は、AFPが2日に撮影したものだ。それは ウクライナがロシア軍からの解放を宣言したのと同じ日である。

ロシア軍は首都包囲に失敗し、キエフ近郊から撤退した。このことから、虐殺をロシア軍の残虐行為とする証言も出ている。

ブチャの町は5週間にわたり、絶え間ない銃撃戦の下にあった。現在、政府関係者や人権団体は、民間人の死が撤退したロシア軍によるものだとしている。

ブチャのアナトリー・フェドルク市長は、2日にロイター通信にこう語った。

「ブチャのヤブルスカ通りには 処刑された人々の死体が今もなお並んでいます 彼らの手は白い『民間人用』の布切れで後ろ手に縛られ、後頭部を撃たれています」

…………………………………………………………………………………………………………

これに対し、以下の報道は誤報の可能性を指摘するもので、まだ検証はされていない。

現段階では、実際に何が起こったのか、さらなる調査が必要な問題である。


2022年4月3日、キエフ政府はウクライナのブチャで民間人が銃撃されたと報じた。

ロシア軍は3月30日にこの村から撤退していた。3月31日には、ブチャの市長がビデオでロシア軍の撤退を喜び、機嫌よく報告していた。
ブチャ市長の
ブチャ市のアナトリー・フェドルク市長は、3月31日にロシア軍から解放されたことを確認した。
(動画は元記事参照願います)

まだこの時点では、死者が出たという話は出ていない。死者の情報が出てきたのはその後だ。

最初の「虐殺」情報(3日)は次のようなものだ。

「殺害された人々の多くは、占領したロシア兵が識別のためにつけさせていたと思われる白い腕章をつけていた」

殺された人の多くは、白い腕章をつけた人たちだった。つまりロシアの味方だったと考えられる。
あるいは、虐殺の際に白い腕章をつけさせることで、「裏切り者」の烙印を押された可能性もある。とすれば、虐殺はウクライナ側によって行われたとも考えられる。

つまり、殺害された人々は、4月3日の「偽旗」(False Flag)作戦の一環として悪用された。彼らの死は、この場所を占拠していたロシア兵のせいにされた、ということだ。

この場合、キエフ・ウクライナの部隊による大虐殺が行われたのは、ロシア人が去った後ということになる。

それは、あの市長のビデオでも示唆されている。市長はロシア撤退の翌日、ビデオカメラの前で上機嫌だった。周りには弔うべき死者や死体などなかったからである。


ウクライナ当局はロシアの味方を特定していた

白い腕章をつけたウクライナの「裏切り者」が誰と誰なのかは、残念ながら筒抜けになってた。

この事実は、すでに1ヶ月前にBILDのジャーナリスト、ジュリアン・レプケによって把握されていた。

レプケは、キエフ政府の熱烈な支持者であると同時に、ウクライナのアゾフ大隊の仲間でもある。

写真: レプケのツィッター(リンクは切れているが、残されたHTTPアドレスからたどることができる)
http://blauerbote.com/wp-content/uploads/2022/03/roepcke_grausige_dinge.jpg

roepcke_grausige_dinge

このドイツ語ツィッターの翻訳。
"ふぅ......何と言うか......ウクライナ人は捕まえたロシア兵や裏切り者に対して陰惨なことをするものだ。
でもそれはここには載せない。
根本的に間違っているが、よくあることだ。それを批判する人は、自分がそのような状況になったらどうするのか、自問自答すべきであろう"

補遺:

ウクライナ国家警察が公開した動画がある。4月2日18時52分にアップロードされたものである。それは "占領軍からの街の浄化 "を表現したものとされている。

この時、ロシア軍はすでに退去していた。

当然、クレンジングの過程で、4月3日に発表された(とされる)ロシアの残虐行為がそこに映し出され、あるいは取り上げられると思われる。

しかし「国家警察特別捜査隊がブチャの街を清掃」と題されたこのビデオ(7分48秒)には、民間人の死体は写っていない。



たった今、この記事を書き終えてテレビを点けたら、同じニュースをTBSのお昼のワイドショーで放映している。
コメントが笑えてしまうのだが、これはロシア軍が反証のために作成して放映したものだと言っている。
これはウクライナ当局が2日の夕方にブチャの道路から自動車の残骸などの妨害物を除去する作業を撮影したもので、写っているのはウクライナ軍だ。「遺体が散らばっている、あるいは散らばっていたとするならば、必ずそのことにコメントするはずだ」というのがロシア側の言い分である。
つまり「何もなかった」と言っているのは、ロシアではなくウクライナ側なのだ。しかし「ウクライナはそのことに気がついていない」とロシアが指摘している、ということだ。

たしかに経過は複雑で難しいのだが、日本の放送局がなにもわからずに放映し、日本の「専門家」がなにもわからずにコメントしていることが、よく分かる場面であった。


https://www.channelnewsasia.com/singapore/singapore-abstains-vote-suspend-russian-un-human-rights-council-2615841

Singapore abstains from vote to suspend Russia from UN human rights body,
urges support for inquiry on violations in Ukraine

08 Apr 2022
Channel News Asia

シンガポールは、ロシアの国連人権機関への権利停止決議を棄権、
ウクライナでの人権侵害を精査するようもとめる


singapore-un-human-rights-vote-on-russia
  シンガポールの国連常任代表補佐Tang Jo-Phie 氏が危険の理由を説明する


SINGAPORE: 

シンガポールは、すべての当事者に対し、ウクライナにおける人権侵害の疑いに関する独立調査委員会を立ち上げるよう呼びかけた。
そして、調査委員会が完全に任務を果たすためには、十分なアクセスを与えられる必要があると付け加えた。

この発言は、4月7日に国連総会で行われた、ロシアを国連(UN)人権理事会から停止させる決議の投票が行われた後のことである。シンガポールはこの決議に棄権した。

総会の後のメディアからの問い合わせに対し、シンガポール外務省は次のように述べた。

シンガポールは、「ウクライナにおける人権および国際人道法違反の疑惑を調査する独立国際調査委員会」による調査を主張する。そして調査の結果を待って意思表明したい、そのために投票を棄権した。

この委員会は、3月4日に採択された人権理事会決議49/1「ロシアの侵略に起因するウクライナの人権状況」の委託を受け設置されたものである。

外務省は、シンガポールがこの決議の共同提案者であることをあらためて強調した。
外務省は以下のごとく述べた。
我々は人権と国際人道法のいかなる違反も強く非難する。委員会が証拠を集め業務を遂行できるよう、すべての当事者が協力すること。そして完全かつ自由なアクセスを許可するよう求める。
(それが事実上ウクライナ当局への要請であることは明らかである)
我々は人権と国際人道法のいかなる違反も強く非難する。調査委員会は説明責任を果たさなければならない。
 委員会が証拠を集め、業務を遂行できるよう、すべての当事者が委員会に協力すべきである。そして完全かつ妨げのないアクセスを確保すべきである
ロシアの資格停止をもとめる今回の決議に対し、我々は棄権する。
この立場は、「多国間主義のルールに基づくシステム」に対する確固たる信念に基づくものである。それは我々の長年の経験に基いている。

このたび国連総会は、ウクライナにおける「重大かつ組織的な人権の侵害および乱用」を理由に、ロシアを人権理事会から停止した。モスクワはそれに対抗して、人権理事会を脱退すると発表した。

停止決議は米国主導で推進され、93の賛成票を集めた。しかし24カ国が反対票を投じ、シンガポールを含む58カ国は棄権した。

ジュネーブに本部を置く人権理事会は、47の加盟国からなる。人権理事会自身には理事国の権利停止を行う権限はない。そのためには
ニューヨークの国連総会で3分の2の多数を獲得する必要がある。

193の加盟国からなる総会において、投票権を持つメンバーの3分の2の多数(棄権はカウントしない)を獲得するのは容易ではない。


タン・ジョーフィー国連常駐副代表の談話

4月7日、シンガポールの国連常駐副代表であるタン・ジョーフィーは、棄権の説明をするために議場に立ち、次のように述べた。
シンガポールは、ロシアによるウクライナへの侵攻と、ウクライナの都市、市民、民間インフラへの継続的な攻撃を最も強い言葉で非難します。
ウクライナ侵攻事件に対するシンガポールの立場は、紛争当初から明確で一貫しています。
我々はウクライナの主権、政治的独立、領土の完全性を全面的に支持することを改めて表明するものです。
そのためシンガポールは、「ウクライナへの侵略に関する国連総会決議ES-11/1」を共同提案し、支持票を投じたのです。
さらに「ウクライナに対する侵略の人道上の影響に関する決議 ES-11/2 on」にも賛成したのです。
またシンガポールは、「ロシアの侵略に起因するウクライナの人権状況に関する人権理事会決議49/1」を共同提案しました。

russiaun

シンガポールは、ブチャやその他のウクライナの町の最新のレポートや映像に深刻な懸念と苦痛を感じています。そこでは多くの民間人が犠牲となり、生活のための施設が破壊されています。
我々は、人権と国際人道法のあらゆる侵害を強く非難します。我々はES-11/1、ES-11/2、HRC決議49/1の完全かつ緊急な実施を求めます。
シンガポールは、ウクライナにおけるすべての人権侵害の疑いを調査するために、独立した国際調査委員会の設立に留意します。我が国は同委員会の作業終了とその結果を待ち望んでいます。
調査委員会はウクライナの紛争で行われた、いかなる重大かつ組織的な人権侵害に対しても、説明責任を果たす必要があります。
我々は、すべての当事者が委員会の作業に協力することをもとめます。そして、委員会が証拠の収集作業を行うために完全かつ自由なアクセスを認められることを強く求めます。
ウクライナの民間人を保護し、必要とするすべての人々に安全で妨げられない人道的アクセスを確保する必要があります。我々はそのための努力を惜しんではなりません。
我々は、ロシア連邦に対し引き続き要請します。攻撃的な軍事行動を直ちに停止し、ウクライナとの意味のある交渉を継続し、国連憲章および国際法に従って平和的解決を図ってください。


シンガポールはあらたな対ロ金融措置を決めた

シンガポールはあらたな金融措置を発表した。それは、ロシアの銀行、ロシアで活動する団体、およびロシア政府に利益をもたらす資金調達活動を対象としたものだ。

先週、米国訪問を終えたLee Hsien Loong首相は、次のように述べた。
シンガポールがロシアの侵攻に強い態度で臨んだのは、重要な原則を守ることを選択したからです。
すなわち、我が国だけでなくすべての国の「主権と領土の保全」という長期的な国益に対応する原則です。
私たちはこの原則を選択し、長期的な国益に対応した原則を守ります。それは一貫したものです。



* シンガポールはロシアに直接制裁を課している唯一のASEAN加盟国です。バラクリシュナン外相は、ロシアに対して「適切な制裁と制限」を課す計画であると述べましたシンガポールはまた、武器として使用される可能性のある材料に貿易制限を課すことを検討していました。
このことを考えると、今回棄権に回った決断の重みを感じます。

* このほか、ASEANではマレーシア、インドネシア、カンボジアが棄権した。ベトナムは反対票を投じました。

* マレーシアの国連代表団は、投票に棄権した理由について、次のように説明しています。

「人権理事会メンバーの資格停止のような重要な決定は、性急に行われるべきではありません。また、そのようなかたちで、調査の結果に予断を与えるべきではありません。

このような重要な問題は、決議60/251(人権理事会の設立に関する)の完全な精神と文言の下で、過去と同様の平等な扱いと正当な手続きを踏んだうえで、決定されなければなりません」

Apr 9, 2022
Sputnik
@SputnikInt
Russia state-affiliated media

Tokyo Apologises to Azov Neo-Nazis, Removes Them From Designated Terrorists List

トキョーはネオナチのアゾフに謝罪、テロリスト・リストから除外する

https://www.telesurenglish.net/news/LIVE-Russia-Opens-Criminal-Investigation-on-Kramatorsk-Attack-20220409-0004.html?utm_source=planisys&utm_medium=NewsletterIngles&utm_campaign=NewsletterIngles&utm_content=13


日本の公安調査庁は、「国際テロに関するハンドブック」(2021年版)から、ウクライナの極右団体「アゾフ大隊」のネオナチ指定を削除した。

公安調査庁は、「アゾフ大隊をネオナチ組織として認めたかのように、誤った情報が発表された。この状況が発生したことを遺憾に思う」と述べ、謝罪した。

Azof

説明の概要は次の通り。
公安調査庁は、組織の活動を取り締まる正当な理由があるかどうかを判断しなければならない。このために、日本の国家安全保障に関わる内部の安全とスパイ活動の脅威を調査している。
2021年版のガイドは、国内外のメディア、研究機関など、さまざまなオープンソースから収集されたデータをまとめたものである。したがって評価結果は公安調査庁の独自基準に基づくものではない。
ガイドにリストアップされたことは、公安調査庁がアゾフ大隊をネオナチ組織として認めたことを意味するものではない。このため、マニュアルから該当部分を削除することを決定した。

Azof2

解説

アゾフ大隊は、同国で最も悪名高い戦闘部隊の一つである。
それは2014年春に民兵組織として結成され、同年秋にウクライナ国家警備隊に統合された。

アゾフ大隊は、ナチの鉤十字(Swastika)風の旗や肩章を使用している。制服にはナチス親衛隊の用いた狼天使(Wolfsangel)の記章があしらわれている。

Wolfsangel
狼天使(Wolfsangel)

隊には人種差別やネオナチを公然と信奉するウクライナ人兵士や、他国からの傭兵も含まれている。

ウクライナ政府がクーデターで転覆された2014年以降ずっと、アゾフの戦闘員はドンバス地区でのキエフ側軍事作戦に参加している。

彼らはドネツクおよびルガンスク人民共和国に侵入し、ロシア語圏の市民をターゲットに、8年にわたり攻撃を繰り返した。

ロシア国内では、アゾフ大隊の戦闘員への刑事告訴が続いている。主な嫌疑は「誘拐」「拷問」「禁止された手段・戦法の使用」である。

米国議会は2017年、アゾフをネオナチ集団と判定し、資金提供を正式に禁止した。
Azof3

今年はじめ、両共和国がロシアに正式に承認された後、キエフ政府による攻撃はさらに激化した。両共和国はモスクワの支援を求め、モスクワは2月24日にウクライナの非軍事化・脱ナチ化のための特別作戦を開始した。

作戦はもっぱらキエフ政府の軍事インフラを標的にしている。ロシア国防省は、モスクワが同国を占領する計画はないと繰り返し強調している。

* こういう見えすいた大嘘を平気でつくから、ロシアは不信の目で見られる。大国のくせに了見が狭い。民主がないから上下関係が全てで、真実は軽んぜられる。自ら蒔いた種だ。それは旧大日本帝国の姿でもある。(ブログ主)

現在、アゾフ海沿いの街マリウポリでは、ロシア軍とドネツク人民民兵が共同しアゾフ大隊の残党が駆逐されつつある。ウクライナ軍とアゾフ大隊は市内に防衛線を張り、市民を人質に取り、住宅を徴発している。

最近の戦争報道についてのいくつかの疑問

 

我々の基本的スタンス

まず、さまざまな報道について、我々の基本的スタンスを踏まえておきたい。

戦場での報道にはバイアスがかかる。事実か否かの判断は容易ではない。何かを語るに際しては、最低限でも国連事務局の認定した事実にもとづいて語るべきである。

第二に、ロシア側の言い分を考慮すべきである。あまりにも酷い暴行があった。しかし、それが酷いことは、ロシア側のやり方が酷いということではない。それは必ずしも一致しない。ロシアが真っ向から否定している以上、ウクライナ側による冤罪の可能性には留意すべきである。

今回の紛争の責任は上げてロシアにある。それは疑いない事実だ。であるにせよ、第三の視点が必要だ。ロシアは人類の敵ではない。彼らは不倶戴天の敵ではなく、過ちを犯した交渉相手なのだ。

状況の異常さが気がかり

ついで、示された状況の異常さが気がかりである。ロシア軍はキーウから敗退したのではなく東部へと転戦したのだから、遺体を埋葬する余裕はあったはずである。それが軍律の基本というものだ。

殺害の仕方の残虐さにも違和感を覚える。正規軍の仕業ではない。「ネオナチと戦う集団」の行いとしては理不尽だ。むしろ無法者の仕業と考えたいくらいだ。
まともな感覚を持った国際ジャーナリストであれば、「なにか変だな?」と疑問を抱くのが当然ではないだろうか。

ウクライナ軍による「解放」から発見までのタイムラグも気がかりだ。もし住民が集団虐殺されていたのならば、それを生き延びた住民は到着したウクライナ兵に真っ先に報告するだろう。

 

最大限の隠忍自重がもとめられる

はっきりしていることは、この大量虐殺でウクライナ人と世界の人々の、ロシアへの怒りが一層助長されるだろうということだ。そして停戦交渉の動きがしばらくは停滞するだろうということだ。

さらに武装闘争が煽られる可能性も否定できない。一番怖いのは軍の一部を形成するネオナチ暴力集団に殺傷力の高い武器が渡ることだ。その結果、暴力に歯止めが効かなくなる恐れもある。

マスメディアでは、ドイツが攻撃用武器を援助するという情報もある。これでは事実上のNATO参戦に限りなく近い行動ではないか。しかしそのことに国際的な批判もない。

とにかく戦争を終わらせることだ

とにかく戦争を終わらせることだ。少なくともこれ以上戦争をエスカレートさせないことだ。そのためには最大限の隠忍自重と最高度の理性の発揮が求められる。知ってほしい、憎悪と敵意からはなにも生まれないということを。

どうかそれを広げる方向で報道を強めてほしい。

 

ユーゴスラビア年表

1917年 コルフ島に置かれていたセルビア王国亡命議会が、コルフ宣言を採択。ユーゴスラビア王国の建国を決定。

1918年 セルビア王国主導の汎スラヴ主義のもと、南スラブ人国家の創設を目指すコルフ宣言が発表される。
セルビア、モンテネグロとともに旧オーストリア・ハンガリー帝国領のスロベニア、クロアチア、ボスニアを合併し「セルビア人・クロアチア人・スロベニア人連合王国」が成立。通称としてユーゴスラビアが用いられる。
当時セルビアの領土であったコソボ、ヴァルダル・マケドニアも組み込まれる。

1921年 憲法が可決され、統一的な王国が成立。中央政府の統治の下に置かれる33の行政州が設置。

1928年 非セルビア人の有力政党であるクロアチア農民党の指導者スティエパン・ラディッチが議会内で暗殺される。国内の政治的混乱が広がる。

1929年 国王アレクサンダル1世が憲法を停止し、国王独裁制を布告。国号をユーゴスラビア王国に改める。セルビア人以外は歴史的な地域を分断され、民族政党を禁止される。

1934年 反セルビア派によりアレクサンダル1世が暗殺され、ペータル2世が即位。

1938年 ドイツがオーストリアを併合。ユーゴスラビアと直接国境を接するようになる。独伊はクロアチアを支持して干渉。

1939年 クロアチア自治州が成立。大幅な自治権が与えられる。クロアチア人の極右過激派組織ウスタシャは、ボスニア・ヘルツェゴビナ全域を含むクロアチアの即時独立を求める。

クロアチア地図

1939年 第二次世界大戦が勃発。ユーゴスラビア王国政府は中立路線を採るが独伊からの強い圧力を受ける。

1941年

3月25日 王国政府、日独伊三国同盟へ加入する意思を表明。

3月27日 軍の反対派がクーデターを起こし、政権を打倒。三国同盟への加盟を維持する一方で、同盟としての協力義務を実質的に破棄。ドイツはこれを許さず。

4月6日 ドイツ軍が侵攻開始。ウスタシャはクロアチア独立国を成立させ、クロアチア郷土防衛隊を結成する。この軍は後に兵員数13万人に達した。

ウスタシャはセルビア人への復讐を始めた。ヤセノヴァツなどの強制収容所にセルビア人を連行して虐殺した。

4月17日 ユーゴスラビアが降伏。国王は亡命。セルビアではミラン・ネディッチ率いる傀儡政権が成立。セルビア以外の領土は枢軸国(ドイツ、イタリア、ハンガリー、ブルガリア)により分割される。

4月 旧王国軍の残党が「チェトニク」を結成。当初、占領軍に対して抵抗。またパルチザンやクロアチア人を攻撃した。まもなく「協力政策」を採択し、イタリアの占領軍と協力関係をとるようになる。

Axis_occupation_of_Yugoslavia_1941-43
枢軸国による領土分割

1941年から1943年にかけてのユーゴスラビア。
薄茶はクロアチア独立国、灰色はドイツ軍政が行われていたセルビア救国政府、薄灰は名目上セルビア領だが、ドイツの支配が行われていたバナト(英語版)。薄緑はイタリア支配下のモンテネグロ。濃灰色はドイツ、緑はイタリア、オレンジはハンガリー、黄土色はブルガリアによる占領地もしくは併合地域。


6月 ドイツがソ連への攻撃を開始。ソ連国内で訓練を受けた共産党員が国内に潜入しゲリラ活動を開始する。

11月 枢軸勢力による反パルティザン攻勢(第1次)。パルティザン兵士の多くはボスニア東部へと脱出。チェトニックはパルチザンを主敵とみなすようになり、ドイツ国防軍やウスタシャと協力するが、このことを隠して連合国からも支援を受け続ける。

1942年

 ティトー、共産党を中核にユーゴスラビア人民解放反ファシスト会議を創設、最後までソ連の援助を受けつことなく戦いを継続した。「兄弟愛と統一」のスローガンを掲げる。社会主義思想は民族を超えた支持を集める。

闘いはナチス・ドツ、クロアチア独立国、セルビア救国政府などを対象とした。また同時に、共産主義パルティザンと、反共主義のチェトニク、スロベニア郷土防衛隊などとの内戦でもあった。

1943年

1月 枢軸勢力による反パルティザン攻勢(全7次)の最大作戦となったネレトヴァの戦いとスティエスカの戦い。パルチザンは一時壊滅の危機に追い込まれる。

1943年 ヨシップ・ブロズ・チトー率いるパルチザンがユーゴスラビア民主連邦を結成。独力での抵抗運動を続ける。

11月 連合国がテヘラン会議。連合国はティトーに支援を与えるようになる。それまでのチェトニックへの支援は停止される。

11月 連合国の支援決定を受け、「ユーゴスラビア人民解放反ファシスト会議」が創設される。終戦後のユーゴスラビアの統治体制の枠組みが定められる。

1944年

1月 亡命政府とパルチザンの戦後統一が定められる。パルティザンは80万人の兵員、4軍を擁するまでに成長。マケドニアおよびスロベニアでは独自の軍事組織を有していたが最終的にチトーの指揮下に入る。チェトニクは合流を拒否。

10月 連合国の航空支援とソビエト赤軍の協力を受け、パルティザンはベオグラードを解放。

1945年

1月 共産主義者の制憲議会、国王の廃位を決議。ペータル2世は亡命状態での王位を主張。

3月 ベオグラードにて、ティトーを首相とする王政派との連立政権が成立。

4月 ナチスドイツが壊滅。ユーゴ了内の死亡者は百万人以上と言われる。ユダヤ人は強制収容所で絶滅した。クロアチア独立国では、セルビア人やロマに対するジェノサイドが実行された。チェトニクはムスリム人、クロアチア人に対する民族浄化を、イタリアの占領当局はスロベニア人に対する民族浄化を行った。逆にパルチザンによる報復も少なからず発生したとされる。

5月 ベルリンが陥落し、ドイツ軍は無条件降伏。これを見たユーゴ駐留軍も降伏。

11月29日 圧倒的な支持を得てペータル2世の廃位が決まる。チトーはユーゴスラビア連邦人民共和国を宣言する。

国家の多様性から『七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家』と形容される。

1280px-Former_Yugoslavia_2006
戦後の地図 
……………………………………………………

1948年 ユーゴ共産党がコミンフォルムから追放処分を受ける。その後、労働者自主管理型の分権的な社会主義を打ち出す。

1953年 ギリシャやトルコとの間で集団的自衛権を明記した軍事協定を締結。NATOとの間接的な同盟を結ぶ。この結果、大量の西側の兵器を米英から供与される。

1963年 ユーゴスラビア社会主義連邦共和国に改称。

1974年 6共和国と2自治州を完全に同等の立場に置いた新しい憲法が施行される。

1980年 チトーが死去すると各地から不満が噴出する。




1989年 ユーゴスラビア共産主義者同盟は一党独裁を放棄し、複数政党制の導入を決定する。

1990年 各共和国で自由選挙を実施。すべての国で旧与党内民族主義グループが勝利。

7月 セルビアがアルバニア系住民の多いコソボ社会主義自治州の併合をはかる。コソボは反発して独立を宣言。

現在の地図

1991年 スロベニアとクロアチアは連邦の権限を極力制限する実質的な国家連合への移行を求める。

1991年6月 スロベニアが10日間の戦闘により短期間で独立を達成し(十日間戦争)、次いでマケドニア共和国が独立。

クロアチア紛争が勃発。政府軍との戦闘は長期化。マケドニアも独立を宣言。

12月 ドイツがスロベニアとクロアチアの独立を承認。他のEU諸国は反対。

1992年

3月 ボスニア・ヘルツェゴビナの独立宣言。ボスニアに居住するセルビア人が分離をもとめて武装反乱。独立賛成派のクロアチア人、ムスリム人と軍事衝突。住民が三派に分かれ泥沼化。

4月 連邦に留まったセルビア共和国とモンテネグロ共和国によりにユーゴスラビア連邦共和国が結成される。人民民主主義、社会主義を放棄。

1995年 デイトン合意。クロアチア紛争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が終結。

1996年 コソボ解放軍(KLA)とユーゴスラビア軍との間にコソボ紛争が発生。NATOはコソボを支持してセルビアに空爆を加える。

1999年 コソボ和平。国際連合コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)が設置される。セルビアは行政権を失い撤退。

2006年5月 モンテネグロが独立を宣言、その後間もなくセルビアも独立を宣言。

下記は、私が編集を担当する「AALAニューズ」の直近5号の目次です。オール・ウクライナ関連ファイルです。表題を左クリックすると、URL窓が出ますので、そこをクリックしてください。
世は反ロ・懲ロのムードに席巻されています。しかし蟷螂の斧も、真実の徒であろうとする限り無力ではないはずです。

AALAニューズNo.104 ウクライナ特集号第5弾(日本AALA連帯委員会教宣部 2022年4月7日)

  1. AALAニューズ104号の内容紹介
  2. キッシンジャーの予言「ウクライナ危機を解決するために」
  3. トマス・グラハム他「プーチンと和解する方法」
  4. ロシアの研究者たちの抗議声明(紹介)
  5. ウェス・ミッチェル「ウクライナ中立化の条件」
  6. 環球時報「ウクライナ危機と悪役アンクルサム」
  7. 清水学「ウクライナ学習会への問題提起」
  8. 聴濤 弘「ウクライナに関するレジメ」
  9. 吉川顯麿「戦争を泥沼化する武器供与の拡大」
  10. 田中靖宏「ロシアの友へ・反戦平和の手を結ぼう」
  11. 鈴木頌「ウクライナ:緊急課題と長期課題」

AALAニューズNo.103 ウクライナ特集号第4弾(日本AALA連帯委員会教宣部 2022年3月27日)

  1. AALAニューズ103 号の内容紹介
  2. ミャシアイマー「ウクライナはNATOに責任」
  3. 野本久夫「ロシアはウクライナへの軍事侵攻を止め撤退せよ」
  4. 小松崎栄「ロシア軍は即時・無条件に撤退せよ! 国連決議で、国際連帯と事態の解決を」
  5. シェリアジェンコ「紛争激化阻止へ非暴力の抵抗を」
  6. グテーレス事務総長「ウクライナ侵攻が途上国経済を直撃」
  7. Daily Maveric「南ア決議案のてん末」
  8. D・アドラー「なぜ南の世界はどちらの側にもつかないのか」

AALAニューズNo.102 ウクライナ特集号第3弾(日本AALA連帯委員会教宣部 2022年3月19日)

  1. AALAニューズ102 号の内容紹介
  2. 浅井基文「ロシアのウクライナ侵攻_問題の所在と解決の道筋」
  3. ウクライナ_ラマポーザ南ア大統領のメッセージ
  4. 環球時報「カラー革命と米帝国主義」
  5. オープン・デモクラシー「ウクライナから西側左翼への手紙」
  6. Truth Out「ウクライナ_戦時下の左派の人々」
  7. 大村哲「ロシアのウクライナ侵略戦争~経済的実態を中心に」
  8. 日本AALA ウクライナ声明確定版
  9. 日本AALAのロシアへの抗議声明_英語版
  10. 事務局よりウクライナ支援募金のお願い
  11. ウクライナでのABC兵器疑惑・原発攻撃・非戦闘員への攻撃に関する国連安保理報告

AALAニューズNo.101 ウクライナ特集号(日本AALA連帯委員会教宣部 2022年3月8日)

  1. AALAニューズ101 号の内容紹介
  2. ICAN ロシアの核脅迫についての共同声明
  3. キューバ国連大使「国連総会ウクライナ緊急特別会合での演説」
  4. 遠藤誉「バイデンに使い捨てられたウクライナの悲痛」
  5. 遠藤誉「バイデンのメリット」
  6. 名越健郎「バイデン父子がウクライナから破格報酬」
  7. ウクライナ侵攻に思う_会員からのメール
  8. トレニン「ウクライナにおけるプーチンの真の狙い」
  9. アンジェラ・ステント「プーチン・ドクトリン」
  10. おまけ

AALAニューズNo.100 緊急号(日本AALA連帯委員会教宣部 2022年3月2日)

  1. AALAニューズ100 号の内容紹介
  2. 日本AALA ウクライナ声明
  3. 日本AALA「ロシアあて抗議文」
  4. 日本共産党「ウクライナ声明」
  5. ウクライナ平和主義運動「ウクライナからの平和メッセージ」
  6. 米国共産党「ウクライナに関する声明」
  7. インド共産党M「ウクライナ_優先すべきは平和」
  8. 南アフリカ政府「ウクライナ声明」
  9. エイブリー「NATOの違法性を検証する」
  10. サックス「ウクライナの主権をどう守るか」
 

BBCもCNNも、大掛かりな虐殺疑惑について、依拠しているのはたった一つの情報源だ

BBCもCNNも、大掛かりな疑惑について、依拠しているのはたった一つの情報源だ。

ペトル・アンドリュシチェンコ(Petr Andryushchenko)はマリウポリ市長の顧問という肩書きを持っている。最近ネオナチのアゾフ軍団を勇気ある「防衛者」として称えたいわくつきの人物だ。

そのアンドリュシチェンコの提出した証拠とはなにか?

BBCによると、「当局は死者数を確認することができたはずだ。なぜならミサイル攻撃の前に劇場内にいた人の数が記録されており、生存者にも話を聞いたからだ」

この頃すでに、アンドリュシチェンコはマリウポリから遠く離れていた可能性が高い。彼は最近、「情報網を維持するため市外に移動せざるを得なかった」と認めている。彼の上司であるヴァディム・ボイチェンコ市長は、それより数日前に市から逃亡したと伝えられている。

西側メディアは、そのことを表明するのを慎重に避けている。

ウクライナの “愛国的な記者” (下の図のポノマレンコ)たちは、「攻撃の翌日、劇場の地下に避難していた全員が奇跡的に助かった」と主張した。まことに不思議なことである。
Screen-Shot-2022-03-25-at-12.42.46-PM

3月17日、ウクライナ政府のオンブズマンであるルドミラ・デニソヴァは、次のように述べている。

"(劇場の)建物は大型爆弾による空爆の衝撃に耐え、防空壕に隠れていた人々の命を守った"

ロシア側からの発信

この事件についてはロシア側からの発信もある。事件の4日前、マリウポリの地元の人々は、ロシアのメディアに向けて証言していた。
マリウポリは西側の怒りをあおる「偽旗作戦」(false flag operation)の実験場にされました。劇場はNATOの介入を誘発するためのターゲットに選ばれたのです。
事件発生から1日後、マリウポリからロシア側に避難してきた市民がドンバスのメディアに詳しい経過を語った。
アゾフ軍団の戦闘員は退却する際に劇場を爆破しました。彼らは戦闘の間、自分たちを人間の盾として使い、逃げようとする人々を狙撃したのです。

Tweet

マルチェロ・フェラーダ・デ・ノリ教授によるマリウポリ難民からのインタビュー。

ドラマシアターで何が起こったか知っていますか?
 -彼らは劇場を爆破した。
では、爆撃ではなく、爆発だったのですね?
 -何も落ちていない、内側から爆発したのだ。
アゾフは人々を街から脱出させたのか?
 -彼らは誰も逃がさなかった。
Marello


この劇場の事件で最も不思議だったのは、爆発が起こる数時間前に、建物前の駐車場からすべての車両が消えていたことである。どうやら、予想される爆風による被害を避けるために撤去されたようだ。
parking
駐車場の写真。左は直後の現場写真、右は数時間前に撮影された衛星写真。


BBCの世話役となったウクライナの工作員が、現地の情報源から入手

この際、「アゾフ軍団の兵が撤退する前に劇場を破壊した」と言っている避難民の証言は保留し、BBCの取材の話に戻ろう。

BBCのベチャガ特派員とヒミアックは、まずウクライナの公式筋に取材し、ついである住民と接触した。その人物は攻撃当日には劇場にいなかった。

劇場事件の翌日、3月17日にベチャガとヒミヤクが報じた。その内容は以下の通り。

「ウクライナ当局によると、(劇場は)ロシアによって爆撃された......」

そして彼らの唯一の現地情報源が一人の住民だった。

彼女は、建物が破壊される1日前、ほとんどの人が立ち去ったあとに劇場を出たという。 「何か恐ろしいことがすぐに起こるだろうから、逃げなければならないと思った」と彼女はBBCに語っている。

ベチャガとヒミヤクは3月22日に、BBCで共同署名の続報記事を発表している。そこでは、大規模な爆発が起こったときに劇場の近くにいたという地元の目撃者2人の言葉を引用している。

この記事について、オープンソースの情報アナリストであるマイケル・コブス氏はいう。
「二人とも爆発について非常に映画的な表現をしている」と。

Kobs

……………………………………………………
Michael Kobs
@MichaKobs
BBCは、目撃者の話を紹介しているが、その話もまた、映画的である。それはストーリーテリングにおいて常に選択される手段である。しかし、それはあくまで副次的なものだ。

コブス氏のTwitterは相当長いもので、内容も多岐にわたっており、随所に鋭い指摘がある。ぜひ直接あたってほしい(訳者)
…………………………………………………………………………………………………………

一方、CNNは、劇場襲撃の目撃者を自称するウクライナ人のマリア・クトニャコワという人物にインタビューを行った。

この女はプロの広報活動家でもあった。クトニャコワは、マリウポリにあるUSAID(United State Agency for International Development)支局のデジタル・コミュニケーション・マネージャーだったのだ。

Kutnyakova
Maria Kutnyakova

BBCは、爆弾がロシア製であると主張するためにマッケンジー・インテリジェンス社に写真の解析を依頼した。

元英国軍情報将校が設立したこの民間企業は、ロシアの500ポンドレーザー誘導ミサイルが劇場の破壊に使われたという仮説を提出した。BBCは、いまでもこの劇場事件に関するウクライナの公式見解を正当化することに熱心なようだ。

しかし、コブス氏はこの仮説を真っ向から否定する。"破壊の中心は舞台のちょうど真ん中に位置しており、2つのダム爆弾が原因となることはありえない"。

が、他の主流メディアは静かに次のステップへと進んでいる。3月21日付のNYタイムズ紙は、「現在でも、(劇場内にいた)ほとんどの人々の運命は不明のままだ」と皮肉り、「事件」をスルーしている。


BBCの連絡員/通信員は「ウクライナ戦争広報組織」を開発した会社に勤務していた。

BBCが、露骨な民族主義者の広報担当者を戦争報道の要職に選んだことは、BBCの報道目的がNATOのそれと完全に合致していることを浮き彫りにしている。

イギリスの国営放送で働く前、ヒミアックはキエフに拠点を置くスタートアップ企業で広報を担当していた。彼女はそこで、ユーザーが有名人の体に自分の顔をコラージュできるAIアプリを開発した。


このアプリは「リフェイス」と名付けられた。ワシントンポストによれば、それは数百万人のユーザーに反ロシアのプッシュ・メールを送りつける「一種のウクライナ戦争広報ツール」になっている。

ポスト紙によると、「リフェイスのような現実を歪めるアプリは、ユーザーにとって、他の方法では聞き流してしまうようなメッセージを吸収させてしまう」という。

人々は、政治的なニュースには意識的にガードを上げて防衛している。しかし、顔スワッピングのような没入型体験アプリだと、思わずガードを下げてしまう"のだ。

Reface社は現在、"#russianterroristsに対する情報戦 "に従事していると称している。

Reface
リフェース社のツイッター画面

Twitterには敵意むき出しで書かれている

ロシアに対する取り組みの一環として、リフェイスはロシアのユーザーがアプリにアクセスするのをブロックした。 さらに、"アプリを開いた人には皆、ウクライナを支援するメッセージが見える"。また"ロシア軍の消耗に関する情報"も表示される。
reface

 アプリに表示される各動画には、ウクライナの国旗とハッシュタグが入ったウォーターマークが重ねられている。

リフェイスの社員は領土防衛部隊と義勇軍に参加している。一部はロシアのプロパガンダと戦う情報戰部隊にも参加している。


ヒミアックの告白

Refaceの元社員で、BBCの特派員兼フィクサーに転身したヒミアックは、ウクライナの敵であるロシアについて遠慮はしない。

「ロシア人すべてが悪いわけではない、という意見はどうしても受け入れられません。
 私が感じるのは痛みと憎しみだけです。なぜなら、彼らの沈黙がこの戦争をもたらしたからです。

 瓦礫の中から少女を助けようとするレスキュー隊の映像に反応して、彼女はツイッターで宣言した。
Khimiak



最後に BBCは中立でも公正でもない

BBCは自らのマニフェスト(基本的価値観の声明)で宣言している。

信頼はBBCの基本です。 私たちは独立し、公平で、誠実です

しかし現実には、ロシア人嫌いを公言しているウクライナの広報専門家を雇って、同国の戦争報道を編成している。

それは驚くほどのことではない。

2021年2月にThe Grayzoneが報じたように、英国放送局の非営利部門であるBBCメディア・アクションは、英国対外英連邦開発局(FCDO)の秘密計画に参加しているのである。その計画は明確に、 "ロシアを弱体化させる "ために設計されている。

この記載は次のページにリンクされている。
Reuters, BBC, and Bellingcat participated in covert UK Foreign Office-funded programs to “weaken Russia,” leaked docs reveal
MAX BLUMENTHAL
FEBRUARY 20, 2021

英国FCDOの文書により、以下のことが明らかになった。

BBCメディアアクションは、Aktisというイギリスの民間請負業者をフィクサーとして隠密裏に活動する。Aktisは、例えばウクライナ東部のドンバス地域のような紛争地域で、親NATOメディアを育成し、成長させることになっている。

まさに今、そこが親ロシア派とウクライナ軍との戦闘の中心地となっているのだ。
Aktis
Aktis Strategy

BBCの秘密情報戦構想は、自らの構築した組織を英国諜報機関の一部門に変えてしまった。

今やBBCは外国の紛争における主体者として活動する。その放送メディア部門が、「客観的な方法で事実をカバーする」といまだに主張するにも関わらず…

今、BBCはあからさまに民族主義的なウクライナの広報スタッフを雇うことで、客観性の建前を捨て去った。

その結果、マリウポリという、最も大きな争点であり、シニカルな欺瞞に満ちている事件に深く関わることになってしまった。


 





この記事を掲載するにあたって

いま(4日夕方)テレビでは「キエフ周辺でロシア軍によって集団虐殺された大量の市民の遺体が発見された」と大騒ぎになっている。
率直に言って、「またやったか」というのが感想である。いずれにせよ未確認情報である。問題はそれが事実かどうかとは別にある。「嘘がバレかかったらもっと大きな嘘をついてごまかす。嘘がバレる頃には大衆は忘れているだろう」というのが話の流れだ。

戦争報道は往々にして一方的になりがちである。とくに非人道犯罪の場合はうわさがうわさを呼ぶ。ニュースはあっという間に伝説となる。

今回の報道の特徴として2点をあげることができる。ひとつは、大手メディアの圧倒的な情報量で懐疑論を押しつぶす破壊力である。BBC、ロイター、CNNが束になってフェイクを垂れ流せば誰ひとり勝てる相手はいない。我々が蟷螂の斧を振りかざす他ない。

だがもう一つの、もっと本質的な特徴は、それが正義をかざし敵意を煽り和解を遠ざけ、さらなる殺戮戦へと誘う反動性と凶暴性をはらんでいることである。「正義」の仮面をかぶった敵意(ホスティリティ)こそ、和平への動きを遅らせ、より多くの人々の血を流させ、軍産複合体を大喜びさせる源泉である。

このての大宣伝は、いつも和平に向けての外交交渉が進展を見せようとしたその瞬間にぶちあげられる。悲しいことに、みんな見事にそれに引っかかるのだ。

私は知っている。2002年にベネズエラで親チャベス派の「発砲事件」が起きた。これがきっかけになって世界中にフェイク・ニュースが流され、チャベス大統領への非難が集中された。その夜のうち二軍がチャベスを監禁し、資本家の代表が臨時大統領の名乗りを上げた。アメリカはただちに新政権を承認した。
しかし民衆はそのような陰謀を許さなかった。立ち上がり大統領官邸を包囲し、チャベスの復権をもとめた。こうしてチャベスは解放され、まもなく「発砲事件」はまったくのでっち上げだったことが明らかになった。
私は当時、事件がアメリカの計画したクーデターであったことを主張したが、それが日本で受け入れられるまでは数年の月日を要した。民衆は何度でも、見事にころりと騙されるのだ。しかも困ったことに騙されたことにすら気づかない。

つくづく思うのだが、こういうフェイクを見通す力をもった人間が、世界中でネットワークを形成して真実を伝えていくしかないのだろう。この力は存外強い。私たちでさえもその “連帯フォース” の一員となれるのだ、と思う。

…………………………………………………………………………………………………………

ということで、下記に紹介するのが「ウクライナ戦争とBBCの大ウソを暴く」という記事だ。

https://thegrayzone.com/2022/03/25/bbc-fixer-war-ukrainian-nationalist-pr-operative/

BBC correspondent-fixer shaping Ukraine war coverage
is PR operative involved in “war-messaging tool”

MAX BLUMENTHAL·
the GRAYZONE
MARCH 25, 2022

ウクライナ戦争報道を担当するBBC特派員のフィクサーは、"戦争情報手段 "に関わる宣伝工作員だ
(と仮訳しておきます。恐ろしく難解な文章で、誤訳もあると思います。記事そのものが相当やばいですが、ブルメンソール氏はネットTV “デモクラシー・ナウ” の定評のあるアンカーであり、あえて転載します。相当長い記事で、引用もたくさんあるので複雑です。覚悟してください)


BBC1

リード

BBCは、マリウポリ市の劇場が不審な破壊を受けたと報道した。
この報道は、ウクライナのPRエージェントがBBCと共同著作したものである。この現地エージェント(女性)は、ウクライナ政府の情報戰を担当する、ある前線組織と結びついている。


以下本文

この女性の名はオリシア・ヒミアック(Orysia Khimiak)。ウクライナでBBCのフィクサー兼レポーターである。その前は、「リフェイス」というスタートアップ企業のPRを担当していた。

この会社は、ワシントンポスト紙が「現実を歪めるアプリ」と呼ぶものを作った会社である。そしていま、リフェイス社は「ウクライナの戦争宣伝企業」のような役割を担っている。

Linkedinのプロフィールによると、ヒミアックは2021年10月までリフェイス社の宣伝責任者を務めていた。その仕事をしながら、ヒミアックは "編集者やメディア関係者との継続的な関係 "を築いたという。

彼女はこれと並行して、キエフに拠点を置くプロジェクター協会の広報組織も統括している。この協会のウェブサイトは、次のようなスローガンで訪問者を迎えている。

ウクライナに栄光あれ。We Will Win

ヒミアックは豊富なメディアとの接点を持っている。そして現在は、BBCのロシア・ウクライナ戦争報道番組を構成する上で重要な役割を担っている。BBCのリヴィウ特派員ヒューゴ・バチェガとは、マリウポリの劇場爆破事件で、ロシアの責任を証明する報道番組を共同制作している。

Khimiakは彼女のTwitterで経歴を書いており、政治的な傾向が明らかにされている。

「私はリヴィウで、記者のための斡旋役をしています。ロシアの侵攻事件で(ウクライナへの) “誠実さ” を示す人が私の対象です。ウクライナは抵抗を続けるでしょう」

Twitterの背景写真は「スネーク島」の航空写真である。ここでロシアの軍艦とウクライナの守備兵が闘ったとされている。

ヒミアック

ゼレンスキー大統領によると、13人のウクライナ人国境警備兵がロシア海軍から島の基地を守って「英雄的に戦死」したという。

「ロシア軍艦め、くたばれ!」というのが兵士たちの最期の言葉だったとか、そういう話である。

この逸話はウクライナ軍の勇気の証と謳われ、欧米の主要メディアで広く報道された。

ところが、件の13人は結局、ロシアの捕虜として生きて帰ってきた。スネーク島の守備隊の有名な最後の言葉も含め、戦火の中での勇気あふれる物語はすべて作り話だったのだ。親ウクライナ派によって捏造されたり大きく歪められた、数え切れないほどの物語の一つである。

しかしなぜかヒミアックのツイッターでは、スネーク島のにらみ合いがいまだに実際の歴史的な出来事であるかのように扱われている。


マリウポリ爆撃事件と「アゾフ大隊」(ネオナチ武装集団)

ヒミアックは自身のツイッターで、マリウポリ劇場の破壊に関するBBCの報道を自分の手柄のように語っている。本誌はこの点について共著者のバチェガBBC特派員にコメントを要請したが、まだ答えはない。

BBCとCNNは、マリウポリの劇場で数百人が死亡したとするウクライナ側関係者の話を引用しているが、それを裏付ける客観的証拠は今のところ提出されていない。

判明している範囲では、CNNとBBCはいずれも、「数百人の死者が出た」とするアゾフ大隊からの情報を唯一の情報源としているようである。

それによれば、ロシア軍はマリウポリ全域を廃墟とし、ネオナチのアゾフ軍団を主力とするウクライナ軍と激しい市街戦(street-by-street fighting)を繰り広げてきた。そしてマリウポリ劇場はアゾフ軍団が撤退するまで拠点としていたところである。

記事が詳しく述べるように、アゾフ軍はNATOによる軍事介入を一貫して強く訴えていた。

複数の避難民は、アゾフ軍団が劇場を爆発(detonate)させたと言う。ロシアの攻撃という印象を与えて、西側諸国を戦争に巻き込もうとしたのだと主張している。(この項については下記の記事に記載されているようだが未見)

Was bombing of Mariupol theater staged by Ukrainian Azov extremists to trigger NATO intervention?


それにしても肝心の映像がない。ロシアが劇場を攻撃したとされる映像、生存者の救出や現場での大量死の映像はいまだ入手されていない。

CNNの提示した2つの「現場映像」

事件から9日後の3月25日、CNNは劇場襲撃の最初の映像だとするものを放送した。

 その映像(下図)はわずか20秒で、ビルの1階への階段をゆっくりと降りていく少人数の一般市民を映していた。(すみませんが元サイトをご参照ください)

 カメラの後ろで、ナレーターが繰り返し「空爆だ」と叫んでいるのが聞こえるが、1階にいた人たちは生存していると言っている。

爆発直後に撮影されたというこの映像には、煙やホコリがくすぶっている様子が見られない。このことから、映像は攻撃後しばらくしてから撮影されたと見られる。

こちらのビデオは3月16日に撮影されたものだ。煙の出ているビルが映されており、救助隊も人もいない。(すみません。こちらの方も元記事当たってください)

CNNは劇場内で300人の市民が殺されたと主張している。BBCも死者300人というウクライナの公式発表を受け入れた。

しかしBBCは、「マリウポリとの通信は依然として困難であり、独自に情報を確認することは困難である」とのべ、確認がとれていないことを認めている。



続く

https://www.globaltimes.cn/page/202203/1254502.shtml

By Xin Ping
Global Times (環球時報)
Mar 10, 2022

War or peace: Uncle Sam's dirty role in the Ukraine crisis

戦争か平和か: ウクライナ危機と悪役アンクルサム


キッシンジャーの遺言

2014年、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官はワシントン・ポストにこう書いた。

「ウクライナは、どちらかの手先になって、相手に対する「前哨基地」となるべきではない。そうではなく、東と西の架け橋として機能すべきである」

 その洞察は、米国とNATOによって無視された。彼らがロシアに向けて5段階にわたる拡張を推し進めた結果、ウクライナ危機はいつでも爆発可能な状態に入った。

国際関係論において「攻撃的リアリズム理論の開祖」と呼ばれるジョン・ミアシャイマーは、「ウクライナの惨状は欧米、特に米国に基本的責任がある」と主張している。

なぜなら、「もしNATOがウクライナまでをふくむ東方への拡大を企図していなければ、ウクライナでの戦争はなかった」と考えるからである。

新世紀最悪の地政学的危機

アメリカの政治評論家で、作家でもあるトーマス・L・フリードマンは、最近ニューヨーク・タイムズ紙で次のように書いている。

“1990年代にアメリカはNATO拡大という選択を行った。それは、「熟考を欠いた決定」であった”

フリードマンは、クリントン政権の元国防長官であるビル・ペリーが2016年に述べたことを、あらためて指摘している。

“NATO拡大の初期、米国はロシア人に「非常に不愉快な思い」をさせ両国関係を悪化させた。そのことは批判されてしかるべきだ”

ジョージ・ケナンの評価

1998年、米国の対ソ封じ込め戦略の立役者として著名なジョージ・フロスト・ケナンも、NATOの拡張に強い不満を表明している。

彼はNATO拡張策を「新たな冷戦」と呼んだ。そして、「それはロシアにネガティブな反応をもたらすことになり、やがて徐々に彼らの政策に影響を与えることになるだろう」と予測した。

ケナンはこの「悲劇的な過ち」に対して失望を隠さなかった。そして「この国の建国の父たちがこれを知ったら、墓の中でたまげてひっくり返るだろう」とまで言っている。

残念ながら、ケナンの予言はついに現実のものとなってしまった。


ロシアは米国とNATOに対し、これ以上の拡大は行わないようもとめた。そして近隣諸国への攻撃的な兵器の配備をおこなわないように提起した。しかし米国は、ロシアの深刻な安全保障上の懸念に耳を貸さなかった。


「緩衝国家」のすすめ

ミアシャイマーは、ウクライナの最良の戦略は、ロシアと欧米の間でバランスをとることだと助言した。具体的には、「西側、とくに米国との緊密過ぎる関係を調整し、ロシアに歩調を合わせる」ことである。

 元米下院議員のトゥルシ・ガバードはこう語っている。

バイデンがロシアとの戦争を防ぐのは非常に簡単なことだ。それはウクライナがNATOに加盟しないことを保証することだけである。

 しかし米国務省関係者はこの誤りを決して認めず、ロシアを非難し続けるだろう。それはウクライナの人々の苦しみを利用する戦略とならざるをえない。

この危機の間、ウクライナは米国にとってロシアを封じ込めるための道具であった。それ以上のものではなかった。ウクライナは、米国とNATOが真摯に安全保障を提供してくれるとは決して思ってはならないのだ。(この段落は著者の不愉快な本音だ)

ウクライナ危機は、米国の冷戦的な考え方とゼロサム・ゲーム的思考の反映である。米国は利己的な利益のためにトラブルを追い求めている。


↑このページのトップヘ