2020年01月
0は偶数 0÷0よりはだいぶ簡単な話
ある中学校では「 0 は偶数でも奇数でもない」と教えたうえに、生徒さんがテストで 0 は偶数 と書くと × にされてしまうそうです。正しい答えを書いたのに一方的に間違っていると断定されたのです。
四突墓人の意義はゼロ?
というわけで、「虎は死して皮を残す」と言うが、彼らは皮しか残さなかった。
もし彼らが朝鮮半島から来たのだとすれば、上陸後の経路は異様である。彼らは天孫族が九州に上陸したのと同じく、紀元前2世紀ころに島根県浜田近辺の海岸に上陸(漂着?)した。
天孫族が先住民と戦いそれを支配下におさめたのとは異なり、彼らは何かを恐れるかのように一目散に山に入って行った。そして安芸の山中で山賊のような暮らしを始めた。
そもそも文化生活にあまりなじまなかった集団であったのかも知れない。それが島根の山中で砂鉄を見つけ鉄器を装備したのかも知れない。こうして彼らは150年の眠りから覚め、ムキバンダでもう一つの四突墓文化を開かせた。
2.四突墓文化の一貫説には無理がある
当初は三次→むきばんだ集団移住説を考えてみたが、多分無理だろう。
3.最大の足跡は青銅器文明の破壊
荒神山にはあらゆる銅製品が埋められ、放棄されている。私はこれは四突墓人集団によるしわざと見ている。
私はこれまで、銅製品を埋めたのはスサノオ一族、すなわち天孫系出雲族と考えていた。実は彼らは3世紀はじめに大和に入ったとき、銅鐸を廃棄しているのである。
ただご承知のように銅鐸信仰と銅剣・銅矛信仰とは同一ではない。銅剣・銅矛信仰はむしろ天孫族の信仰であった可能性もある。
5.九州の倭王朝支配が復活
武器の優位性のみを背景にして、青谷上寺地の人々を皆殺しにした殺し屋集団は、鉄器の普及が進むと優位性を失い、紀元250年を最後にして忽然と姿を消した。
墓地を除けばなんの跡形も残さなかった。それに代わるように九州の倭王朝がまた戻ってきて、何事もなかったように統治を続けた。もともとここは九州王朝の支配地だった。彼らは出雲族を駆逐し九州から山陰までを支配下に収めたのだ。
4.天皇家という旧出雲族の支配が復活。
そして、100年後に、出雲は東からやってきた大和軍に破れ、服従するようになった。
注目されるのは、当時出雲を仕切っていた出雲振根は筑紫王朝に臣従する人物であるということだ。しかもこの頃、出雲において大和が九州の力は拮抗し、徐々に大和優位に傾きつつあったということになる。
これはなんとも不思議な因縁で、大和軍は神武の末裔と言いながら、実体は大物主の流れをくむ旧出雲系であった。それが旧出雲系を駆逐した倭王朝系の勢力を屈服させたことになる。例えば物部という氏族は、元は浜田の物部神社あたりの豪族であったのだろう。
四隅突出型墳丘墓を作った人々
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四突墓の分布
2.誰が建てたのか
3.弥生時代の区分と四突墓
AD50-180頃 Ⅴ期1,2(後期前半) 伯耆・因幡に建設地が移動する。
このあとⅥ期に入ると北陸にも広がる。
さらに古墳前期には東北にも四突墓が造営される。
しかし山陰では、四隅突出型墳丘墓は、まったく造られなくなる。
藤ノ木古墳の富 どこから奪った?
海北道中をめぐるスサノオ・アマテラス・イザナギの関係
出雲の重層性 「出雲と大和」特別展をみて
メディア・バイアスのランク表(英語版)
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「評価バイアス」は怪しさを伴います。私達がニュースをもとめる際は、既存のバイアスを強化する方向で情報源を選択する傾向があります。私たち自身の信念は保守的なものだったり、リベラルなものだったりします。ゆえに私たちは、保守的なニュースだけ、またはリベラルなニュースだけを見がちになるということです。この視点から評価していくと、中道派の情報源さえも、中道ではなく左右に傾いていると考えるようになります。これが「評価バイアス」です。これを回避して、より全体的な情報を獲得するためにどうすればよいか。そのためにはあなたの「評価バイアス」にチャレンジするような情報源を選ぶ必要があります。そのために偏見のスペクトルとして、「情報バイアス」表を提示します。参考にしてください。
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リベラル |
中道 |
報道 |
PBS |
AP Reuters BBC Bloomberg ABC CBC |
論評 |
BuzFeed WashintonPost NewYorker theguarudian THE_HUFFINTON_POST |
NYTimes Time Forbs Fortune CNN |
WashintonPost がリベラルとは、この記事も相当のバイアスぶりだ。この他に極左として
Patribotics BipartisanReport Wonkette Jacobinなどが掲載されているが、聞いたことがない。
一度あたってみることにする。
*Patribotics は個人ブログに毛が生えた程度のもので、この半年間は更新が止まっている。
*Wonkette も投稿者が多いツイッターで、あえて訪れるほどのものではない。
*Jacobin はサンダーズ陣営の準機関誌みたいなサイト。ニュースと言うよりも社会評論が中心
掛け算の世界から割り算の世界を知ることはできない
つまり、0÷△=0だ
1で割る(割らない)論理と0で割る論理
割り算におけるゼロの特殊性は、次の2つになる。
「割らない」というのは「1で割る」のと同じ意味だ。それ以外のすべての数は「割る」ことを意味する。だから1というのは「論理的な分岐点」なのだ。
「1」という、この上なくしっかりした数で割っているのに、なぜそれは割らないのと同じ結果になるのか。これは一般的な常識から言うととてもややこしい。
そこを小数点以下に向かっていくと今度はどんどん増えていく。そして+0のところで無限大に達する。ところがゼロを越して-0になると今度はいきなりマイナス無限大になる。なおかつ、そこを越す瞬間は、+無限大からー無限大までの間のどこに居てもいいのである(ただし相対的な順はある)。
割り算の論理は弁証法である
この現象は弁証法で言う「量から質」への転換を表しているのだろう。気体と液体、液体と固体との間の「相面」の変化を考えればよい。摂氏0度のとき、水は固体でも液体でもどうでもいいのだ。
割り算用の九九を作るべきだ
だから本来なら、割り算用の九九を作って覚え込ませるべきなのではないか。
学習会「非同盟首脳会議」の(長過ぎる)レジメ
ミャンマー独立調査委員会の答申から出発する他ない
またまた新藤情報の受け売りです。
米政府の累積債務は、今後5年間の最大の問題
21日発表の国連・関係機関の3報告
ロヒンギャ独立調査委員会の報告に思う
赤旗は非常に優れた記事を掲載している。ラテンアメリカについてもこうあってほしいと望む。
事件の発端は「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が軍・警察設備30ヶ所を襲撃したことにある。その後2週間近くにわたり約60ヶ所で衝突が発生した。
(ロヒンギャというのは地名ではなく、バングラから海岸沿いにラカイン州に進出してきたイスラム教徒集団を指す)
この過程で軍による残虐行為が重なり、それが大量亡命につながった可能性がある。
独立調査委員会は略称をICOEとする。政府が組織したものではあるが、委員の選出は独立性が保証されたものとなっている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチが揶揄するような「政府委員会」ではない。
2018年7月に設立され、ラカイン州で関係者1500名の証言を集め検証した。
1.人権侵害はあった。報告書は戦争犯罪や深刻な人権侵害、違法行為があったと認定。「一部の治安部隊要員が武力を過剰に行使し、住民殺害や住宅破壊に関わった」と指摘しながらも、「引き金になったのは武装集団による警察署などへの攻撃だ」と断じた。2.ジェノサイドは認められないすなわち、治安部隊の行為が特定集団の壊滅を目的としていたことを示す証拠はない。だから、「ジェノサイドの意図があったと合理的に結論付けられない」という論理である。
入手可能な情報に基づいて、戦争犯罪、重大な人権侵害、および国内法違反が2017年8月25日から9月5日に発生した…これらの重大な罪と違反は複数の者によって犯されたが、ミャンマーの治安部隊のメンバーが関与したと信じる合理的な根拠がある。
付録
根本 敬さんの「ロヒンギャ問題の歴史的背景」 という、学習資料があり、その中の表
これだけの歴史的な根を持った問題であり、一朝一夕には行かない話だ。
なにかの折につけて「ポグロム」発作が再発することは大いにあるのだ。
ともに忌まわしい出来事ではあるものの、「ポグロム」と民族浄化は明確に分けて論じなければならない。
だから頼むから、強姦だの子供の虐殺だと言う話で対立を煽ろうというやり方は避けて欲しい。憎悪による団結は決して生産的なものではない。最悪の場合、「対抗ポグロム」にも繋がりかねない。
このようなアオリ宣伝からは、私には「文明人の」見下した態度しか印象に残らない。
オックスファム 年次報告書(2020年版)
働く貧困層が2割に達する(ILO報告)
党大会 不破さんの「最後の言葉」
(中国問題への言及は省略)
だから、その矛盾がとりわけ厳しくしわ寄せされる途上国において、今後も社会変革の道へ踏み出す国は、当然ありうる。
資本主義の危機が進行するなかで、資本主義に代わる次の体制として社会主義を目指す動きもさまざまな国で、さまざまな形で起こっている。
そうした運動状況の中で、日本共産党が「発達した資本主義国での社会変革」の運動の最前線に立っているのは間違いない。
6.「大道」の具体的内容
我々にとって「大道」とは、社会変革をめざし、社会発展の段階的任務を確実に成し遂げることである。それはまず何よりも日本における多数者革命の実践である。この大道を確信をもって前進しよう。
7.社会主義への道は当面の課題ではないが不可欠な議論だ
日本の当面する課題は、社会の変革と段階的発展を内容とする多数者革命だ。“社会主義への道”は今日ただいまの当面の課題として追求するものではない。
社会主義への道は日本共産党の独自課題だ。しかし多数者を結集する上でも、日本共産党が目指す社会について多くの人々の理解を得ることは大変重要である。
感想
私は、「冷戦終結論」のスコラ論争に不破さんが終止符を打ったときのことが忘れられない。不破さんは冷戦の本質がアメリカの反共戦略にあったことを指摘し、その本質は変わっていないという点を強調することで、「終結」論者も納得させた。不破さんの言う意味での「冷戦体制」は、まさに今も続いていることを私達は確認しなければならない。
その後このスコラ論争ははいつのまにか表舞台から消えた。
今回も不破さんは、「我々にとって大道だ」という形でまとめようとしている。同時に「道は多様である」ことを確認する。そして「実践的な大道は多数者革命の実現だ」という点を強調している。
下記もご参照ください
日本共産党綱領改定案(不破議長の報告レジメ)
ネット社会とデマ
フェイクニュースの歴史
テレビやラジオは肩のこらない話題からはみ出ることはなかった。週刊誌はヘアヌードとスキャンダルが売りの劣情誌だった。
滝さんは書いている。
このように、フェイクニュースが氾濫するのは、新しいメディアの勃興期につきものの現象なのかも知れない。
ネットもいずれ整理され、公序良俗を求めて、アングラとの境界が厳しく制定されていくことになるだろう。
それにしてもロイター、BBC、朝日、赤旗がベネズエラについてフェイクニュースを書きまくり、IMFはおろかUNHCRまで、怪しげな情報を垂れ流すのはどういうわけか。
「価値は主観、価格は客観」か? 岩井さんの天動説
すみません。曖昧な記憶を元にした記事のため、誤解等あるかもしれません。特に後半はアルコールが回っています。いずれ岩井さんの文章に目を通した上で、訂正すべきは訂正したいと思います。
NHK特集「仮想通貨」と貨幣論 について
私が考えるには…
それは結局、蓄蔵ではなく退蔵のための手段だということに行き着く。極度のリバタリアニズムに裏づけされた、闇の中をうごめく蓄蔵貨幣の表象だということになる。そういう地下金脈を経済の撹乱要因として取り締まるのではなく、事実上容認していくという点では、完璧に退廃的な概念である。
労働価値説を比定する貨幣論
出雲にバイキング王国があった
弥生時代後期の出雲には特異な墳墓が現れる。四隅突出型墳丘墓と呼ばれるそれは、わずか100年弱で消えた王朝の存在を示唆する。
出雲地方の古代史の経過
四隅突出型墳丘の特異性
振根の戦いとの関連は疑問
出雲王国は4代限りの「バイキング王国」であった
想像をたくましくすると、荒神山などの銅剣や銅鐸は、彼らが先住民から奪って埋蔵したとも考えられる。もし彼らが鉄器で武装していたとすれば、青銅製の武器など祭祀以外になんのユーティリティもない。
大化の改新の謎 天武はなぜ隠れるのか?
4.一応年譜で拾ってみた
671年6月 壬申の乱が始まる。
マンロー年譜 増補の増補
またまた増補しました。
日本人の形成にツチグモ、クズはどう関わったか
むかしツチグモという人々がいて、短身長躯というから明らかな異人種で、おそらくは先住民。森に住んでいて渡来民とは交わらなかった。
原弥生人は朝鮮半島で形成された?
純縄文人との棲み分け
魏志倭人伝の「黥面文身」の異形の人々は、彼らの姿であろう。魏からやってきた人々は、朝鮮半島南部の人々を見て珍奇には思わず、むしろ秦の時代の亡命者と見て共感を抱くほどである。それが九州 に来て、弥生人を見て奇異の念を抱くとは思えない。
逆に言うと、純粋な縄文の暮らしや習慣は、当時でさえも辺縁的な存在になっていたことを示しているのではないか。
高天原の天孫系の来襲とツチグモの駆逐
非同盟運動がますます大事になる
人権という原理で世界の民衆の運動を裁断するのは、少なくとも今生きているこの社会では賢明な方法ではないと思う。
ベネズエラ拾遺選 その5
後ほど明らかになったことだが、国会では出席者数151人のうちパルラ81票、グアイドー70票だった。「もう一つの国会」では出席議員は70人。残りの30人は補欠などでした。
今回の事件は、結局グアイドーが野党の中でも孤立深めていること、それと比例するかのように、ますます彼がアメリカ言うなりの操り人形と化しつつあることを示しています。
ベネズエラ拾遺選 その4
例によって新藤さんの記事のメガホンです。
これは19.12.16の 日経新聞の紹介です。
サンパウロ特派員の外山記者の記事ですが、写真などを見ても、どうやら現地に行って取材してきたようです。何処かの記者にも見習ってほしいです。
1.ハイパーインフレが終熄しつつある
11月の物価上昇率はなお年率で1万%台だが、200万%超に達した年初からは縮小した。
理由は、政府がドルの国内流通を容認したからである。これは自国通貨とドルの公定レートを廃止したことと連動している。
これはある意味で、ベネズエラ政府が敗北を宣言したということだ。そのきっかけはアメリカの取引銀行がドル決済を凍結したことにある。その前は民間にカネがなくても政府にはうなるほどあった。石油を売れば自動的にドルが転がり込んでくるからだ。
ところがその窓口が閉められてしまったから、ドルの残高はあってもブルーバックはないという仕掛けになった。これでベネズエラ政府は干上がったから、屈服せざるを得なくなった。
ベネズエラのやせ我慢を前提に成り立っていた、1千万%という交換レートは一気に瓦解した。これは20世紀末のいわゆる「ドラリゼーション」である。多分大損した連中もいるだろうと思う。
2.IMFの予言は嘘だった
もちろん外山記者がそう言っているわけではありませんが、中身はそういうことです。
2018年10月、IMFはベネズエラのインフレ率が1000万%に及ぶと予測した。しかし現実にはインフレ率は200分の1に縮小した。
こういうのを「最悪の口先介入」というのではではないでしょうか。IMFが蹴っ飛ばして、格付会社がそれを奈落の底に突き落とすというタッグは最悪です。彼らは「失われた10年」の悪の主役でした。
3.物資は溢れている
外山記者は「商店の棚が空っぽで、店の前に長蛇の列」というのは過去のものだといっています。見てきたものの強みです。
スーパーに食料品や飲料が並び、ドラッグストアには欧米メーカーの商品が陳列されていた。現地在住者は「この数年で、今が一番物がそろっている」と口をそろえた。12月中旬にはカラカスのショッピングモールで年末商戦が始まった。
おそらくこのような光景は赤旗記者には信じられないでしょう。なぜなら彼はロイターやBBCのニュースを信じ切っていたからです。
4.固定相場制は悪の温床になっていた
これはきわめて厳しい指摘ですが、まさしくそのとおりです。市場原理を全面否定したその先には、前近代的「非経済的」力関係が復活する他ありません。
しかしながら、この関係を「市場原理主義」として固定的に考えるのは間違いです。我々は自転車を漕ぎなら進歩への坂道を登っています。その時は右足、左足と交互に力を入れながら前にすすむのです。
固定相場制は自国の経済発展を揺るぎないものとするために非常に魅力的なオプションに見えますが、経済は大抵が有利と不利の2つの側面を持っているので、必ず裏を取っていかなければなりません。
肝心なことは進むことであって、そのためには左右に体を振りながら力を込めていくしかないのです。
マドゥロ政権はハイパーインフレによる社会不安を抑え込もうと、18年12月から公定レートと実勢レートの差を近づける方針に転換した。
と書いてあるのは、正しくそういうことを示しているのでしょう。
5.とにかく独立した経済を運営していくのは大変なことなのだ
ベネズエラのシンクタンク、エコアナリティカはインフレの沈静化をこう説明しています
インフレの沈静化は所得減少に伴う一時的な需要縮小という側面も大きい。
原因はどうであれ、ハイパーインフレは極端な物不足の表現です。ここまで民衆の生活を下支えしようと頑張ってきた政府が、もはや万策尽きてその役割を放棄した。
そのゆえに物価は沈静化したのです。経済のブラックホール化です。
外山記者はこう書いています
ベネズエラ国民はBsを受け取った後、競うように闇市場でドルに替え、必要に応じてBsに再び替えていた。日常的にドルを受け取り、支払いにもそのままドルを使う人が増え、経済取引が安定するようになり、国内の物価高騰を抑える効果をもたらした。
それにしても、このような状況を押し付けたアメリカ帝国主義に、どうして怒りが向かわないのでしょうか。
イラン司令官殺害をイスラエルから見る
1.イスラエルから見ないと話の筋は分からない
なにか中東で訳の分からない事件が起きるとき、だいたいそれはイスラエルの作戦だ。
推理小説では犯行動機として「受益」の可能性が問われることがよくある。しかし中東ではこの問題がいつもうやむやのまま推移していく。なぜだろう。
それがイスラエルという国の「死活的利益」を軸に見ていくと実に良く分かるのである。むずかしい幾何学の問題が補助線を一本引くことによって、ガラスがダイヤで切れるように鮮やかな切断面を見せるのである。
イスラエルの死活的利益を探るのは容易いことではない。なぜならそれは間違っていて歪んでいて、短期的で衝動的だからである。ただ、これまでの積み重ねの中から、「こうなったら連中はこう考え、高行動するだろうな」というのは薄々分かるのである。
2.トランプは弱みを握られている
自分の地位が安定していれば、トランプはこのような冒険をしない。彼はディーラーだからだ。ノーベル賞が欲しいからかも知れない(悪い冗談だが)
彼の岩盤的地盤は中西部の「錆びたベルト地帯」の労働者である。ティーパーティーや南部保守層ではもはや選挙には勝てないから、共和党もトランプに依存するしかない。
しかしトランプはセクハラ、パワハラなど不正の百貨店みたいな人で、中央政界には人もコネもない。ほおっとけば明日にでも倒壊しかねない弱体政権だ。
とりあえずなんとかして、二期目の当選を果たすしか眼中にはない。そのまえになんとかしてこれ以上のスキャンダルが発覚するのを抑えるしかない。
ところがそのスキャンダルの種を一手に握っているのが、情報力と強制力を持つ国家機構だ。だからトランプはこいつらに頭が上がらない仕掛けになっている。
3.トランプも一時は頑張った
「トランプも一時は頑張った」と言ってよい。
相次ぐ閣僚スキャンダルと更迭により政権はガタガタになった、打つ手に窮したトランプは、軍産複合体のエージェントであるボルトンとポンペイオを受け入れざるを得なかった。
ポンペイオとはなんとかうまくやれたが、ボルトンはトランプなどなきがごとくに政府を引きずりまわ始めた。
しかし習近平を相手に引き起こした米中摩擦が「ディール」として成功すると、トランプは強気になった。
日本のタンカーがホルムズ海峡で爆撃を受けると、国防総省が発令した報復行動を寸前で止めた。そして作戦を勝手に進めたナマズヒゲのボルトンを馘にした。
4.軍産複合体の操り人形となったトランプ
ところが、弾劾裁判が開始され新たな疑惑が浮上するに及んで、ふたたびトランプは軍産複合体の意のままに動くようになっている。
思えば、米朝会談で当日になってちゃぶ台返しをしたのもボルトンだった。つまり軍産複合体だ。
彼らの最大の圧力は議会証言にあった。おそらくFBI、CIA、NSAなどが情報を握り、それを小出しにして真綿で首を絞めるようにトランプを脅迫しているのだろう。彼らにしてみればなんのエスタブリッシュメントも背景に持たないトランプなど赤子の手をひねるようなものだ。
だからと言って、トランプ政権が倒れてしまわれても困る。その辺の手綱さばきが難しいのだろうと思う。
5.イスラエルの思惑
イスラエルはとにかくイランをやっつけたい。核兵器の生産はなんとしても阻止したい。そのためにユダヤロビーを最大限に働かせ、さまざまな策略をねっている。それがタンカー爆撃事件、無人飛行機によるサウジの石油施設爆撃、そして今回の事件だ。
イスラエルのやり口はきわめて謀略的である。思い出せば、シリアの民主化運動が内戦へと発展したとき、イスラエルはアサド政権を支持し、ヒズボラにフリーハンドを与えた。その結果、アサド政権は崩壊の危機を辛くも切り抜けることが出来たのだ。
その後ロシアがしゃしゃり出てくると、情勢はアサド優位に傾いた。そのときイスラエルは後景に却いた。シリアに民主派政権ができて、それがエジプトの政権とつながってふたたびアラブの大義を掲げるようになること、それは中東戦争の悪夢の再来だ。それだけは防がなければならない。
反イスラエル派の台頭を抑えてしまえば、あとはアラブ諸国が相争い潰し合う状況が永続してくれればそれで満足だ。肝心なことはアラブ・イスラム諸国の何れであっても核武装させないことだ。
そしてイスラエルはふたたびイランやヒズボラと事を構えるようになった。それにアメリカの軍産複合体もガッチリ組み込まれている。昨今のレバノンの「市民デモ」は、誰がやっているかは不明だが、どうせただの芝居なのではないか。
6.もろとも葬り去る他ない
このような悪のトリオはお互い持たれあい、支え合って、世界を軍事的に支配している。この邪悪なトライアングルを突き崩すには、内部矛盾に期待しても始まらない。もろともに葬る他ない。
それには大統領選挙にすべてを流し込むような他力本願を止めて、今すぐあらゆる場面であるゆる勢力が立ち上がって、彼らを全体として追い込んでいくことが唯一の解決策だ。
ベネズエラ拾遺選 その3
非同盟首脳会議 参加報告の紹介 その2
まず食うこと、食えることが平和の出発点、それはアフガンの中村先生の活動を見れば明らかです。
非同盟首脳会議 参加報告の紹介 その1
後編に続く
ダーウィンと「種の起源」 年表
そのために、その輪の中心にいたダーウィンの側から世の中を振り返ってみたい。
ダーウィン: 1809年 - 1882年
ベネズエラ 地に墜ちた野党大統領
12 月 4 日 ベネズエラで一つの世論調査が発表された。保守系の世論調査会社メガアナリシスによるものだ。
その結果は、28日の グロボビシオン紙に掲載された。
質問の一つは、次のようなものだった。
グアイドー議長を支持するか?
グアイドーは、大統領を僭称する国会議長である。アメリカを始めとする西側諸国とラテンアメリカのうち親米諸国が承認している。
この質問に対する回答は以下の通り。
① 最早支持しない 68.5%
② 一度も支持したことはない 12.9%
③ 今でも支持している 10.3%
④ わからない 8.2%
という結果だ。
他にも質問項目はあったが省略する。
はっきりしたのは、①と②をあわせた不支持の合計が 85.3% に達するということだ。
この調査会社が保守的傾向の持ち主というのは、「一度も支持したことはない」層、すなわち頑固な与党派が 12.9% にすぎないことからも伺われる。
グロボシオン紙がグアイドーをクソミソに
グアイドーが招集するデモは、すでに結集力はなくなっている。グアイドー人気の低迷と、ベネズエラ過激派のなみいるお偉方の雪崩をうつ腐敗を強調する事以外には、もはや国際メディアの表紙を飾ることはないだろう。グアイドーは、最初は、市民の人気を得ていると信じた。無条件に国際的な支援を受けていると信じ、陶酔した。彼はベネズエラ政府に逮捕されることを恐れなかった。しかし今では、その人気は本当のものでなく、その仕事は死産であったことを認めざるを得なくなっている。
ベネズエラの実情にそぐわない国際対応
御承知のように、日本外務省は公然とグアイドーを支持しているので、グアイドーが要望すれば大使館の接収とイシカワ大使の放逐は時間の問題だと考えられている。現にいくつかの国でそのような措置が実現している。
「赤旗」はマチャドを独裁者として激しく非難する一方、国民の声を代表するものとして、グアイドーに強い親近感を示している。
しかしこれらの見解が、ベネズエラ国民にとって共感しうるものなのだろうか。これらの見解に基づいて取られるであろういくつかの措置は、国民の意志に反する内政干渉とならないだろうか…
私としては深刻な危惧を抱かざるを得ない。