以前(ワルターのブルックナー7番が泣ける という記事を書いた。
基本は54年のニューヨーク・フィルとの演奏を褒めちぎったのだが、つけたしに61年のコロンビア交響楽団との演奏もいいよと書いて、さらに9番もあるよと付け足した。
今回、たまたま9番の方をまじめに聞いてギョギョギョだった。
あんまりにもすごいのである。こちらは59年録音とのことであまり期待していなかったのだが、正直のところ61年の第7より音はいい。というより音作りがぜんぜん違う。
第7がスタジオ録音とすれば、こちらは残響たっぷりのホール録音だ。その代わり音の定位ははっきりしない。
弦は厚い。管楽器の咆哮にも鳴り負けしない。本当にコロンビア交響楽団なのだろうか。ひょっとしてニューヨーク・フィルではないのか。
少し調べてみよう。
ワルター&ブルックナーで検索してみた。
最初にヒットしたのが いいたい砲台 Grosse Valley Note というブログ。
ワルターはこの曲を1959年の11/16と11/18に録音しています。ワルターはこのブルックナーの9番録音する数日前の11/12と11/13の両日、 同曲をロサンゼルスフィルと演奏していたようです。
というサイトには (probably the Los Angeles Philharmonic) と記載されている。
またこのサイトには、Los Angeles Philharmonic November 12 or 13, 1959; Los Angeles (live performance) • Source: Private collection という海賊盤があることも記載されている。
録音/1959/11/16,18 アメリカン・リージョン・ホール ロス・アンジェルス P:ジョン・マックルーアとなっている。
「決してこの曲のベスト盤には入ってきませんが」というとおり、たしかにオーソドックスな演奏とは言えないが、「こちらのほうが正当だ」と主張しているようにも思える。ところで、今度は7番のほうが気になる。残念ながら日本語の文章には見当たらない。
Recorded On: 11.13.19.22.27/3/61 at American Legion Hall
となっており、同じホールでの録音だ。技師が違うのだろうか。
なおニューヨーク・フィルとの演奏は
December 23, 1954; Carnegie Hall (live performance)となっており、Testament SBT 1424 というCDがあるそうだ。
この録音とは直接関係ないが、第8番ワルター&ニューヨーク・フィルというページに、下記のような記述があった。
1941年1月のニューヨーク・フィルハーモニーとのライブ録音があるらしい。その試聴記である。この演奏はとにかく独特である。デフォルメが凄い。…落ち着きは全くなくテンポをいじりまくる。…本来なら「邪道」「却下」と言いたいところだが、ここまで突き抜けてしまっていると却ってサバサバする。それどころか妙に魅力的なのである。…こんなハチャメチャ演奏してて委員会とは言いたくなる。