早くも飛び出した応用問題 小沢発言の評価
「国民連合政府構想」の基本線はどこにあるか
沖縄とも大阪とも異なる独自の局面
第一には、野党共闘の積み上げの上に考えることである。保守が明確な分裂をしていない以上、沖縄・大阪型の一点共闘型は現実的ではない。
出発点を正確にしておこう。それは野党「共闘」自体ではなく、この間の運動の中で野党共闘が積み上げた確認点、国民運動が押し付けた合意点である。それが国民連合政府の出発点となる。
多分それは暴挙、独裁、非常事態、大義、正論、責務、本気、決意などの言葉をつなげ合わせた“ヒモ”のような論理構造だ。これでもって選挙協力をする。これがなければ協力しても勝てない。買っても世の中は変わらない。
もう一つは、民主主義とか立憲主義・法治主義というのがある意味で手続きの集大成であることから、手続き問題がかなり大きく浮かび上がってくる。
どのような手続きを取りながら、立憲主義を回復していくのか、法学者、政治学者の意見も聞きながら一つ一つ詰めていく必要がある。
それが自ずから「国民連合政府」のゴールを決めていくことにもなるから、その過程はかならず同時進行させる必要があるだろう。
小沢一郎はきわめて強力な政治家である。深部の力を引き出して民主党を政権党に押し上げた、史上稀に見る政治家である。
彼の政治には二つの側面がある。基本的には古い世代に属する政治手法をとる。清濁併せ呑み、マキャベリズムを厭わない。金と権力を利用することを当然のことと考えている。
そしてきわめてタフである。
同時に、一定の範囲で合理主義をとる。政策的力量もあるし、それによって人々の支持をかちとる説得力もある。
それは志位委員長との会談での発言からも見て取れる。
共産党の提示した3点は私たちも理解を同じくします。特に、その目的を達成するために選挙協力を行うことは従来の方針の大転換であり、その決断を高く評価します。
『安倍自公政権ではいけない』『この政権はあぶない』と、それを変えようとする勢力が大義のもとに大同について参院選、衆院選をたたかえば、必ず国民の支持は集まると思う。話を聞いて、いっそうその感を深くしています。みんなが手を携えて選挙をたたかい、勝ち、政権を打ちたてようという目的に向かって自分も努力していきたい。
今回の国民連合政府への賛同も、生活の党を立て直すための一つの賭けとも見て取れる。
しかし、彼なりの民主主義への思いが投影している可能性もある。その側面は彼が自党を上げて民主党に流入した時にも現れている。だから経団連と連合、その背後の権力は彼を排除するために全精力をつぎ込んだ。
暫くの間は共産党と小沢の蜜月関係がメディアを賑わせるかもしれない。それは大いに取り上げられるべきだし、政界内においてはこれを駆動力として事態を切り開いていくことも考えるべきだろう。
しかし、保守とはいえ、ある意味では共産党以上に小沢アレルギーには強烈なものがあるから、共産党=小沢枢軸は長期的な政権構想の軸にはならないと思う。
一番警戒すべきは、運動内部に民主党抜きの小連合志向が生まれてくることである。そうなってしまえば、小泉神話に代わる小沢神話が生まれるだけであり、東京都知事選の二の舞を踏むことになる。