鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2014年02月

 雇用 どの数字を見ればよいのか

去年12月の労働力調査が発表され、各紙は完全失業率が低下し、求人倍率が上昇したと報じている。

いよいよアベノミクスの効果が現れたとでも言いたいようだ。

たしかに身の回りを見ても、建築・建設関係は景気がいいようだ。人手が足りなくて工事が発注できないという話も聞く。

しかしこれは、東北の復興景気のおこぼれで、北海道の景気が上向いたからではない。おまけに消費税間近の駆け込みも乗っかっているから、4月以降の見通しはとても読めるものではない。

人手が足りないのも、長期の不況で建設関連企業がバタバタ倒産したためもある。

ということで、雇用の状況を見るのに失業率や有効求人倍率が有効かという塗装ばかりとも言えないのがご時世である。

何度もグラフを出すのも鬱陶しいので、計算だけしてみる。

1.完全失業率

これは3.7%で前月比0.3%の低下である。これはリーマン・ショック後最低の数字だ。

実数で言うと20万人減の241万人となる。この20万人減が問題だ。同じ統計で、非労働力人口が22万人増加しているのである。

この非労働力人口というのは仕事もせず求職活動もしていない人間のことである。つまりハローワークに登録していない「もぐりの失業者」のことだ。

差し引き2万人、「失業者」は増加していることになる。実際に就業者数は4万人減の6346万人となっている。実数とのズレは、在職死などがカウントされるためだろう。

だから、雇用の実態を見るには就業率で見ていかなければならないのである。そして失業率は下がってはいないのである。

2.有効求人倍率

12月の有効求人倍率は1.03倍となった。実に久しぶりに1以上の数字を記録したことになる。

ただしこれも統計上のマジックで、(求人件数)/(求職者)であり、この分母が問題になる。

求職者というのは完全失業者に新規求職者を加えたものであり、学校卒業予定のものも含まれる。これも7万人減少している。

完全失業者、新規就職希望者と減ったものだけを分母に加え、増えている「もぐり失業者」を排除すれば、この求人倍率も上昇することになる。

これも倍率で見るよりは求人実数で見たほうが状況を正確に反映するだろう。

倍率の地域差も相変わらずで、東京で1.48倍、東北各県で1.3倍であるのに対し、北海道、九州、沖縄では大幅に割り込んだままである。

3.雇用の質

非正規雇用者数は1967万人、雇用者全体の37.5%という数は過去最高だ。

そもそも求人が非正規中心となっているから、今後も非正規が増えていくことは間違いないだろう。

正規雇用だけに絞った有効求人倍率は0.66倍にとどまっている。

つまり求人と求職が1対1でマッチしたとしても、非正規雇用者は4割になる。そして正規雇用に紛れ込んだブラック企業が3年で労働者を食いつぶしていけば、非正規率はさらに上がることになる。

今回の報道で一番驚いたのは、ウィキペディアの反応の早さ。

少し解説が出揃ってから勉強しようかと思っていたら、もうウィキペディアに紹介が載った。30日の新聞記事まで参照されているから、1日か2日で書き上げたことになる。

まずはそこから

STAP細胞とはいかにも覚えやすい名前だ。スマップの親戚筋みたいだ。

英語は Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells で、文法的には多少無理がある英語だが、STAPにしたかったのだろう。B型系のオシャレ感覚だ。

今後、この概念が広がって多種多様になってくれば、研究室の名前と同じように Re-Programmed Cell に一般化されるかもしれない。

小保方はSTAP細胞について当初、「Princess細胞 (P細胞)」という命名を提案していた。外部刺激が加わえられて多様性を得る様が、王子様にキスされて目覚めるお姫様と同じだからだそうだ(ウィキペディア: 小保方晴子の項) いやはや…

日本語も舌を噛みそうな名前だ。「刺激惹起性多能性獲得細胞」、つまりあまたある細胞の内で、何らかの刺激を与えることで、幹細胞的な「多能性」をもってしまった細胞ということだ。

https://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/3/e/3e8fa4e9.jpg

小保方さんのホームページ



これは発明ではなく発見

STAP細胞の研究は、発明ではなく発見である。ここに最大の価値がある。もし追試により確認されれば(おそらく間違いないだろうが)、「世紀の大発見」となる。

最大の賛辞は科学誌「ネイチャー」の査読者によるものだ。彼は論文を見て「何百年の細胞生物学の歴史を愚弄している」と述べ、論文掲載を拒否したそうだ。つまり小保方さんをコペルニクスかガリレオ扱いしたことになる。(“プリンセスにもカッと来たかもしれない)

「経緯」という項目があって、えらくまとめにくい記述なのでそのまま転載する。

イモリは傷つけるなど外からの刺激を与えれば、万能細胞化して再生する。ヒトを含めた哺乳類でも同様のことが考えられないか

というのが発端。

次のひらめきは、

小さい細胞を取り出す操作をすると幹細胞が現れるのに、操作しないと見られない。幹細胞を『取り出している』のではなく、操作によって、『できている』のではないか

という着想

そこで、いろいろな操作を行ってみた

細いガラス管を通すという物理刺激や、毒素(細胞毒素ストレプトリジンO)で細胞膜に穴をあけること、栄養を与えずに飢餓状態にすること、熱ショックを与えることなどさまざまな方法を試した

その結果、

マウスのリンパ球を約30分間にわたりpH 5.7の溶液に浸し、培養液に移して培養したところ、
7日後の生存細胞数は当初の約5分の1に減少したが、そのうち3分の1から2分の1が幹細胞化した。

この 幹細胞化した というクダリはだいぶ端折っているが、とりあえず流れの上ではそういうことだ。「お酢に30分漬ければ出来上がり」というのはまんざら嘘ではない。

リンパ球以外ではどうか

脳・皮膚・骨格筋・脂肪組織・骨髄・肺・肝臓・心筋などの組織の細胞についても同様に処理し、いずれの組織の細胞からもSTAP細胞が産生されることが確認 された。

テクニック的には、生じた細胞が本当に幹細胞としての性格を備えているかどうかの実証がかなり難しい。

この辺りはいずれ詳しく勉強していかなければならないが、事実そのものとしては恐ろしいほどに簡単だ。

たとえば、塩酸をこぼして皮膚に穴が開いた時、そこにはSTAP細胞が出現している可能性がかなりある。

そこから取り出した細胞を、何かを添加した液で培養してやれば、オーダーメードの幹細胞が簡単に作れることになる。

*間違えました。初期の録音もステレオでした。プロアルテ管弦楽団というおそらく覆面楽団の演奏で、録音は1959年、立派なステレオです。オケは上手い下手のレベルを超えていますが、一番マッケラスらしさがでています。「間違えたってわかりゃしないだから、とにかく勢いで行きましょう」という演奏です。

と前項で書いたが、これも間違い。
プロアルテ管弦楽団はれっきとして存在した独立の楽団でした。
ウィキペディアでは以下のように書かれています。

Pro Arte Orchestraはコントラバス奏者のユージン・クラフトらにより設立された;

設立の目的は、「ライト・クラシックのオーケストラ音楽の選りすぐり」を演奏することだった。
最初のコンサートは、1955年10月21日にロイヤル・フェスティバル・ホールで行われた。ロッシーニの序曲、シューベルトの未完成、ラロのスペイン交響曲、その他にシュトラウスやシャブリエなどが演奏された。指揮者はマルコム・サージェントだった。

しかしオーケストラの仕事の多くは、パイ・ニクサ・レーベルのスタジオ録音に割かれた。
初期のオーケストラのプレーヤーとしては、セシル・アロノヴィッツ、フランシスコ・ガバロ、リチャード・アデニー、ピーター・グレイム、ジェルヴァ・ド・ペイエ、レイモンド・コーエン、アラン・シヴィルなどが在籍した。
最後のロンドン・パフォーマンスは1970年だった。


ということだ。

アロノヴィッツ(アマデウスSQがモーツァルトの5重奏をやるときにビオラで入るから、アマデウスの他のメンバーの名前は知らなくても、この人の名前だけは憶えてしまう)とか、ペイエ(同じくアマデウスSQとのクラリネット5重奏が有名)などはおなじみだ。ただド・ペイエはこの頃LSOの首席だったはず。アラン・シヴィルもフィルハーモニア管弦楽団の首席ホルンだ。その他コーエンはロイアル・フィルのコンマス、アデニーはフルート奏者でロンドフィルの首席。イギリスCOなどにも参加しているようだ。

それで紛らわしいのが1985年に創立されたロンドン・プロアルテ管弦楽団で、こちらは現在も存続している。ガーディナーの指揮するいくつかの録音が有名だ。
これは別団体で、LPAOと略されている。

マッケラス(Charles Mackerras)のハイドンが面白い。
仰々しく芝居げたっぷりで、正統派のハイドンのように眠気をさすことがない。
この人の録音歴を見るとかわいそうなくらい主流を外れている。
生涯、有名ドコロのオーケストラの常任にはなれなかった。その分、録音には熱心だったようで、シューベルトの未完成の4楽章版とか第10番というゲテモノまで入れている。晩年には古楽器まで首を突っ込む。とにかく売れそうなら何でもやるという、見上げた職人根性だ。

この人は変わった人だ。アメリカ生まれでユダヤ系、生後まもなくオーストラリアにわたっている。終戦直後のロンドンに出て終生そこを根城とした。しかしロンドンでの演奏機会にはあまり恵まれず、スコットランドの室内管弦楽団を主な活躍の舞台にしていたようだ。「祖国」のシドニー交響楽団の常任指揮者も務めている。

ロンドン時代に数年間チェコに留学し、ロンドンに戻ってからはヤナーチェクの紹介者として売り出した。ヤナーチェクのシンフォニエッタはモノーラルながら迫力満点の名演である。晩年はプラハ室内管弦楽団と組んで名演を残している。

チェコ・フィルのロンドン公演の時は指揮をとり、「新世界」のライブ録音がYouTubeで聴ける。ロンドン・フィルとの8番も面白い。ただしトランペットのファンファーレは何とかならなかったのだろうか。

と、比較的辛口で書いたが、正直のところ大好きである。とにかくどの曲でも、聴いていて不思議なほど気持ち良い。アレグロもモデラートだし、アンダンテもモデラートだ。昔はやった言葉で言えば「アルファ波を刺激する」のである。

チャールズ・マッケラスの主なYoutubography

ハイドン 交響曲第31番 「ホルン信号」

ハイドン 交響曲第45番 「告別」

ハイドン 交響曲第100番 「軍隊」

ハイドン 交響曲第101番 「時計」

ハイドン 交響曲第103番 「太鼓連打」

ハイドン 交響曲第104番 「ロンドン」

モーツァルト 13管楽器のセレナーデ

モーツァルト セレナーデ「ポストホルン」

モーツァルト ハフナー・セレナーデ

シューベルト 交響曲第5番

シューベルト ロザムンデの音楽

チャイコフスキー くるみ割り人形抜粋

ドヴォルザーク 交響曲第8番

ドヴォルザーク 交響曲第9番

ヤナーチェク シンフォニエッタ

コダーイ 孔雀

マーラー 交響曲第6番

*シンフォニエッタはウィーンフィルとの演奏がアップされていて、それもいいのですが、ニコニコにベルリン・フィルとのライブ録音がアップされていて、さすがにベルリンは迫力がある。


これまで、「空洞化」という場合、大企業を中心とする海外進出による「産業の空洞化」のことを指していた。
しかし、実際には3つの空洞化が同時に進行しているのではないか。すなわち「産業の空洞化」に加えて「庶民のフトコロの空洞化」と「税収の空洞化」である。
この3つはそれぞれ独立した形で進行している。
もちろん、それらは密接に関連しているし、それなりの因果関係もある。
しかしあちら立てればこちら立たずで、対策上は別個に考えなければならない独立変数を形成している。
そのことは空洞化によって失われた「実質」がどこに流れたかを考えればはっきりする。
「産業の空洞化」によって失われた産業の「実質」は海外に流れている。「庶民のフトコロの空洞化」によって失われたフトコロの「実質」は大企業の内部留保となって積み上がっている。「税収の空洞化」によって失われた税収の「実質」はタックスヘヴンにしまい込まれている。

ところがこれに対する対策は、実のところまったく打たれていない。それどころか、ますますこの空洞化を助長する方向が示されている。

産業空洞化対策: 民主党政権時代に海外M&Aが奨励された。当時は円高対策と言われたが、円安時代になっても、この政策が撤廃されたという話は聞いたことがない。
現にソフトバンクやサントリーの大型買収が経済面を賑わせている。

庶民のフトコロ空洞化への対策: 賃金の問題もあるが最大の問題は雇用であろう。派遣や非正規はむしろ奨励され、「解雇特区」まで生まれようとしている。

税収空洞化対策: 穴だらけの税収対策だが、おおまかに言って3つ問題がある。ひとつは保険・年金の掛け金収入が止めどなく減少していることだ。ふたつ目は富裕層課税が減少の一途をたどっていることだ。とくに海外預金への課税が遅れている。
みっつ目は企業の海外利益への課税が殆どできていないことだ。数字は忘れたが、ケイマンやルクセンブルク、スイスなどの銀行には国家予算をはるかに上回る利益が積み上げられている。日本の海外預金はアメリカを上回り世界一と聞いた。

日銀券の大量発行も、円安誘導も、消費税もつまるところ大衆収奪だ。財政の改善は「空洞化」によっては解決しない。国力の増大をもたらすことなしに、真の「財政再建」は不可能である。

ニセの財政再建は、いつの日か国際投機資本に見破られる。売り浴びせに耐えられないほど、国力が弱体化する日がやってくる。

「わが亡き後に洪水来たれ」か


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