鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

2014年02月

前回ウクライナの記事を書いていて、農業の姿がまったく見えないことが不思議だった。「鉄がダメなら農業があるさ」ということにならないのはなぜなのだろうか。

ネットで調べたところ、ウクライナの農業の状況について、農水省の平成24年末のレポートがあった。

「独立」後の経過概要

a.ウクライナは、旧ソ連地域の中でも肥沃な黒土地帯を有し農産物生産国として潜在力が最も高い国である。

b.計画経済から市場経済への移行に伴う混乱やインフレ等のため、穀物生産は半減した。

c.その後、穀物等生産及び輸出量は回復・増加傾向にある。

その背景として、農地改革と農業企業の民営化などの農業制度改革、肥料や農薬の普及、世界的な食料需要の高まり、があげられる。

d.農作物・食品輸出国としての地位を急速に獲得しつつある。

農業生産高

まず驚くべきことは、生産高の驚異的な伸びである。

10年間で、大豆の生産量は約5万トンから約220万トン(44倍)、とうもろこしの生産量は約400万トンから約2,300 万トン(5.75倍)に増大した。

しかもこの数字は過渡的なものとされている。

近代的な農業機械、高収量の種子・農薬及び肥料への投資は未だ不十分である。
現在の生産量は潜在的な生産能力の半分程度とされ、将来は倍加するとも言われている。

ということで、当面のハイリスクを補って余りある魅力となっている。

ただし社会主義時代には4700万トンを生産していたことに留意する必要がある。さらにとうもろこしの生産増大に対し小麦の生産量が減少していることも注意。

大豆の輸出は120万トン、トウモロコシは1400万トンで、トウモロコシの輸出高は世界2位である。

主な輸出先はギリシャ、トルコ、北アフリカ、中東諸国。

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貧弱なインフラ

豊かな可能性に対し、現実はきわめて貧弱である。

a.低い品質

大豆・トウモロコシともに、小粒でたんぱく含有量が低く、硬く、また不良大豆の混入がある。飼料用と油糧用であり食用としては課題が残る。

違法にGMO作物が栽培されている状況があるが、検査・管理は為されていない。

b.劣悪な物流インフラ

穀物エレベーターの保管能力は低く、老朽化も激しい。

内陸輸送の大部分を担う鉄道インフラは、深刻な貨車不足があり、輸出へのボトルネックとなっている。

パナマックス船が接岸できる港は4港に限られる。バースやエレベーターも不足している。

特異な農業生産構造

農業企業(旧コルホーズ・ソホーズ)は、農業経営体全体の0.3%だが、農地面積の78%を保有する。

90年代以降、多国籍企業が進出。主として大豆とトウモロコシを生産。最大のカーネル社は9万haの農地を保有し240万トンを生産する。

法的・政治的環境

問題だらけである。列挙すると、

a.農産物の品質などの情報が乏しい

b.法制度の不備と突然の変更、紛争メカニズムの欠如、土地リース契約の煩雑さなど

c.国内生産状況や国際価格の高騰等を理由に、突然行われる輸出規制

と、投資家にとってはほとんど最悪。


ということで、これまでウクライナ経済を支えてきた製鉄産業が見通し真っ暗、一方でアグリビジネスによる農業発展が今後の支えになるとすれば、企業にフレンドリーな国作りを目指さなければならない。

ただこの国の農業生産構造を考えれば、農地がほぼすべて多国籍企業のものになってしまう危険もある。

言わば「持てる国の悩み」なのだが、国の将来について厳しい選択を迫られているといえるだろう。


ウクライナを把握するのは相当手強い。

一筋縄ではいかない。

我々が学校で習ったのは豊かな穀倉地帯だということで、地理の試験問題風に言えば「ウクライナ=黒土地帯」だ。

これは現在もあながち誤りではなさそうで、ウクライナを「大いなる田舎」として把握すること自体は今でも誤りではなさそうだ。

小学校の頃、「ボルガ・ドン運河」というのが完成して、なにか世界最大とかというのでニュースになった。映画館でニュースで見た覚えがある。

あとはずっと降って、チェルノブイリだ。

一般人にはこのくらいだろう。

あとはムソルグスキーの「展覧会の絵」のフィナーレが「キエフの大門」、それから「屋根の上のバイオリン弾き」がウクライナが舞台だったかもしれないな、という程度。

左翼系の人だと、これに「戦艦ポチョムキン」の舞台となったオデッサの街、スターリンによる農業の強制集団化、いわゆる「祖国大戦争」の舞台としてのウクライナが加わる。

これでウクライナのイメージを持てと言われても、なかなか容易ではない。

スラブ人でギリシャ正教ということで、西側のポーランド、ルーマニアとは自然国境がありそうだ。しかしベラルーシ、ロシアとは区別がつかない。

結局言語と歴史ということになるか。しかしめまぐるしい歴史を見ると、ウクライナ民族としてのエンタイティをすくい取るのはなかなか難しい。これはベラルーシも同様だ。

私は、その国を見る場合、たいていその歴史から入るのだが、率直にいってこの国の歴史は七面倒くさい。しかもあまりポジティブではないから、やる気が湧いてこない。

まず一般地理から入るか。

面積は60万平方キロ、日本の2倍近い。ほとんどが農耕可能な平地だから、実感としては10倍位になるだろう。

人口はおよそ5千万人、日本の半分だから多いとはいえない。

同じ農業国のアルゼンチンと比較すると、アルゼンチンの面積300万平方キロの1/5、人口はアルゼンチンの4千万より一回り大きい。

アルゼンチンの可耕地は国土の半分程度だろうから、似たような国土構成だ。

GDPはアルゼンチンの6千億ドル、一人1万4千ドルに対し、3千億ドル、一人7千ドルだから経済規模は半分である。

ヨーロッパ市場に陸続きで隣接していることを考えれば、とくに農業の近代化という面で、かなり遅れをとっていることが分かる。

ウクライナの産業構成

農業の近代化の遅れと書いたが、じつは輸出品のトップは農産物ではなかった。ウクライナの輸出品トップは鉄鋼だ。

今回の政変も根っこは鉄鋼不況にある。ウクライナは製鉄に必要な鉄鉱山と石炭鉱を併せ持っている。すべて自まかない可能だから有利だが、技術が低いため国際競争力に乏しい。

それがリーマン・ショック後の国際不況のアオリをまともに食らった。輸出は激減し、財政は破綻し、対外債務は急増した。すでに事実上のデフォールト状態にある。

これは2001年12月のアルゼンチンと似たような状況だ。暴動が起きるのは時間の問題だった。しかし暴動で政府が転覆されても事態が好転する見込みはない。

ここが双方にとって辛いところだろう。

人口分布を見てみる

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北西部に高く南東部に低い傾向がある。

ウクライナそのものが一種の辺境だが、その中でも南東部が辺境となっているといえる。(ただし、ただの辺境ではない。ここに製鉄産業が集中している)

民族構成を見ると、意外に単独構成で、ロシア人の17%を除けば他民族は1%以下の存在である。旧ユーゴのような多民族のモザイク国家ではない。このことは抑えておく必要があるだろう。

ところが、民族構成と言語構成は必ずしも一致しない。

ウィキペディアには以下のように記載されている。

統計によれば、ウクライナ語を母語とする国民は5割強であり、多くの国民はウクライナ語とロシア語の2言語を理解する。実際に、ウクライナ語のみで日常生活を送る国民は西部を中心とした一部地域に限られ、大半の国民はウクライナ語とロシア語を併用している。

ただしこのくだりには、[要出典]のタグがバチバチ貼られている。

言語分布は人口分布と類似するパターンを取る。この読み方は難しい。

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ロシア語使用者の比率により色分けした図である。

数字から見てロシア語を使用するウクライナ人が相当の数に昇ることが分かる(首都キエフにおける高い使用率がそれを示唆する)。もう一つはこれらの地域からウクライナ人が排除された可能性があることである(オデッサの高使用率)。クリミア半島については、もともとウクライナの一部ではなかった可能性もある。

ただいずれにせよ、

1.ごく一部の地域を除けばウクライナ人でウクライナ語を話す人が過半数を占めており、

2.しかも人口分布ではウクライナ語圏である中西部に人口が集中している。

このことから、民族・言語の問題はウクライナにおいて決定的な問題ではないといえる。

ウクライナ人の立場に立って考えてみる

とりあえずの話だが、ウクライナは一つだ。割れることはない。

ソ連には頼らざるをえないが、そのままでは未来はない。投資が必要だが、あてはない。

製鉄産業は民営化と積極的誘致以外にはない。

農産物輸出はマーケットの開拓なしには望めない。

やはり長期的にはEUとの関係強化しか道はない。

ここまではウクライナ国民の共通認識だろう。

まずは債務の整理だ。もう一度国民には泣いてもらわなければならないし、その覚悟を促さなくてはならない。

EU諸国への過度の幻想が深刻な結果をもたらすことは、前の大統領の時に経験済みだ。

黒海周辺国の共同市場づくりなど、経済建設にはより自主的な目と構えが必要だろう。

貿易赤字「空洞化要因」7兆円という記事が載った。

大和総研の試算を紹介したもので、貿易赤字に対する空洞化の寄与度を数字で示した部分をピンポイントで記事にしている。

それだけに全体がわからない人には少々読みにくい記事だろうが、良い記事だと思う。

まず試算の方法だが、

1.逆輸入効果: 海外現地法人が生産したものを親会社が輸入すると、輸入額が増加する。

2.輸出誘発効果: 海外現地法人向けに部品を輸出すると、輸出額が増加する。

3.輸出代替効果: 海外現地法人が第3国への輸出を代替する。日本からの輸出は減少する。

4.輸入転換効果: 海外現地法人が原材料を購入するため、日本の原材料輸入が減少する。

それぞれについて試算した結果、

1 の増加が2兆円、2 の減少が5兆円と著明であり、3,4に大きな変動はなかった。貿易赤字増への寄与は 1、2を足して7兆円。

というのが結果。

つまり海外法人の原材料調達まで含めた「一貫化」が進行したことが輸出の減少につながり、これが貿易赤字増加の主因となっているということになる。


これから見えてくることは、たんに海外進出というだけでなく、海外生産の質的転換が進んだことが最大の原因ということになる。

アセンブリー型から一貫型への転換とも言えるだろう。日本の製造業最後の日が、いよいよ近づいてきたと感じざるをえない。

大和総研は産業空洞化問題に意欲的に取り組んできた。少し議論の全体像を学ぶ必要がありそうだ。

とりあえず原文のあり場所だけ紹介しておく。

日本経済見通し:「賃上げ」と「経常赤字」について検証する2014 年2 月24 日 

これがChapman & Solomonn の原典

North American-Eurasian Plate Boundary in northeast Asia

  1. Michael E. Chapman
  2. Sean C. Solomon
http://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/5/8/58a4e26d.jpg

Abstract が閲覧可能

北アメリカ・ユーラシアのプレート境界は、地震の頻度、最近の構造地質学と地震焦点メカニズムに基づいて確認できる。

北アメリカ・ユーラシアの境界をおおまかに説明すると、こうなる。

それは、ナンセン峰に始まり、北東アジアの幅広い変形した地帯(broad zone of deformation)を通って、それから南方に進み、サハリンと北海道を通過する。
そして千島・日本海溝と交わる。ここが3つのプレートの交差点である。

そのような形態は、サハリン・北海道の地震がもたらすスリップ・ベクトルにより定量的に説明できる。

新しいスリップ・ベクトル・データに基づくと、北アメリカ-ユーラシア角速度ベクトル(angular velocity vector)は、以前のデータよりわずかに修正されるだけである。
大陸内のプレート境界線は拡散している。
古代のプレート結合の影響を受けているかもしれない。

境界線に非常に近いところでは、衝突による歪み(deformation)があるが、地表に対して10度以内にとどまる。
これは固定的なプレートテクトニクスによってモデル化されることができない。

この辺は訳していてさっぱり分かりません。「スリップ・ベクトル」というのを調べてみると、下記のごとく「説明」されています。

トランスフォーム断層に起こる大部分の地震のメカニズムは水平横ずれ断層型であって,二つのプレートがすれ違うことによって起こされたことを示している。
この三つの型の地震のメカニズムから断層のすべり方向(スリップ・ベクトルという)を推定することができるが,この水平成分を,二つのプレート間の 相対的回転運動の軸を極とするメルカトル図に投影すると,これらはすべて緯度線に平行になることがわかる。
この事実は,海嶺とトランスフォーム断層で境さ れた二つのプレートの相対運動が,地球の中心を通る一つの軸の周りの剛体的回転運動として表現できることを意味する。


大陸内のプレート境界のこれらの特徴は、大陸岩石圏がより厚く、より異質であることと関連している。
また諸大陸がプレート・テクトニクスの駆動力に与える影響とも関係している。

アブストラクトだけではなんとも言えないが、

日本の学会の趨勢を根底からくつがえすほどの迫力は感じない。どちらかと言えば大風呂敷論文のようにも思える。

シベリア大陸内部での境界線は“Difuse”と言いながらサハリン・北海道の線は異常に精密だ。




日本付近のプレートとその運動(サイスモ原稿)というPDFファイルがみつかった。先ほどと同じ瀬野徹三さんの文章だ。肩書は東京大学地震研究所教授となっているから、その後昇進されたようである。

その文章から、以下紹介する。


2.日本付近のプレート

日本列島はユーラシアプレートの一部と見なされていた。それは漠然としたものだった。

1976年にChapman and Solomon が、地質学的な分析に基づいて、北米プレートが北海道東部まで伸びているという考えをしめした。北米-ユーラシア境界は,北海道中部からサハリンを経て,北極海の中央海嶺に延びているとされた。

この提起はやがて“常識として受け入れられ”た。その際、北米-ユーラシアプレート境界は北海道中軸を通ると考えられた。

1983年頃中村一明と小林洋二が独立に,東北日本-北海道西部も北米プレートに含まれると主張した。ユーラシア・プレートとの境界は日本海東縁に移動された。

1983年の日本海中部地震を契機として、この認識は急速に受け入れられるようになった。

80年代のはじめころから、これとは別に、東アジアの陸域には大プレートとは異なる小プレートが存在するとの意見が、ロシアの研究者によって提唱された。それがオホーツク・プレートとアムール・プレートである。

引用終わり

ということで、正直かなりいい加減だと思う。

Chapman and Solomon の論文というが、76年の発表が、それ一発で決まってしまったんだろうか。
地質学的な分析に基づいて出した結論なら、少なくとも地質学的なデータの積み上げが必要だろう。
それにそもそも、これは地質屋さんの提起だ。地震屋が自分で出した学説ではない。それがわずか数年後には“常識”としてまかり通ってなってしまう学会というのは、一体どういう学会なのだろう。

第二に境界線の西への移動であるが、これも提唱してから1年後にはすでに“常識”化している。果たしてこのあまりにも早過ぎる“常識”化は、地質学的な吟味を経ているのだろうか。日本海の日本よりにはたしかに地震多発地帯があって、それが線状をなしていることは明らかだが、プレート境界線とそれとは明らかに異質の概念である。原著によれば、それは地質学的な差異をもって証明されるべきものであるはずだ。

第三に、これはプレート・テクトニクス理論の自己破産ではないか。そもそもプレート理論にそって議論すること自体が虚しいものとなる。

境界域でプレートの細分化をすることは決して悪いことではない。むしろ当然のことだろうと思う。ただプレートをその限界点での有り様として細分化することは、決して「大プレート」を解体することではないと思う。もっと丁寧な議論が必要だ。

それにしても、この学会には本当に学問の自由と民主主義があるのだろうかと気になってしまう。

アムール・プレートというのもある。

下の図はOKHOTSK PLATE MODELING というページから拾ったもの。

http://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/7/9/79f2cc16.jpg

これで見ると日本はユーラシア・プレートとも北米プレートと縁がなくなることになる。ただし境界線については?につぐ?である。

むしろオホーツク・プレートこそユーラシア・プレートの張り出しでもあるかのように見える。

ウィキペディアでアムールプレートを調べると、

満州、朝鮮半島、西日本、沿海地方に位置する小規模なプレート。チャイナプレート(China Plate)とも呼ばれる。ユーラシアプレートの一部なのか、独立したプレートなのかはまだはっきりしていない。

似たような呼称で沖縄プレート、揚子江プレートなどもある。沖縄プレートには九州南部も含まれるようだ。

前記事を書いたのは、下記の文章が目に止まったため。

「なぜ北米プレートか」については触れていないが、ユーラシア・プレートとは異なる態度をとる一つのプレートであることが立証されている。

プレートテクトニクスと日本列島付近の地震

瀬野 徹三

という文章で、公開講座の講義録を起こしたものらしい。したがって分かりやすい(といっても程度問題だが)

北海道から東北日本の日本海側沖合では最近,新潟地震,日本海中部地震,北海道南西沖地震などの大地震が頻発しています。

ここは新たなプレート境界が出来つつ ある(というよりは最近出来てしまった)場所です。

いまでは地球科学者あるいは地震学者の定説となっていますが、そういうことが言われるよ うになったのは,まだこの10年くらいのことなのです.

それでは,それ以前はどう考えていたのでしょうか?

左の絵のように、北米プレートとユーラシアプ レートの境界が,シベリアから南下してきて北海道中央部を縦断する,と考えられていました。

しかし最近の地震の起こり方や海底の活断層などから、日本海東縁の方が境界だと考えられるようになりました(1983年)。

この説を,プレートセオリーで解釈しますと,「東北日本+北海道 = 北米プレートである」ということになります。

ここから先は面倒なので、要点のみ紹介する。

東日本プレートは北米プレートではない

日本海東縁での地震すべり方向はほぼ西→東である。北米プレートは西南西ー東北東であり、地震のすべり方向と有意な違いが見られる。

これは東日本が乗っているプレートが北米プレートでないことを示す。

さらに北方では,カムチャッカ半島の根元からシベリアにかけて地震活動の帯がある。

そこでこの帯をプレート境界として,オホーツクプレートを北米プレートから切り離すことができる。


正直言って、あまり確信の持てる論証ではない。

地震地図からオホーツク・プレートと北米プレートの境界を明示することはできない。演者は多少の言い訳をしているが、それほどの説得力はない

1996年9月の講演ですでに20年近く経っていることもあり、その後の研究を知りたいところだ。

以前、「北アメリカプレート説は少々怪しい」という偉そうな記事を書きました。

要は北アメリカがわざわざ日本まで出張ってくるということへの素朴な疑問ですが、文献を読んでいて、その疑問への答えがほとんど見つからなかったことへの反感もあります。

どうして学者というのはそう簡単に信じてしまうのだろう、ということで、挑発的な見出しで、議論をふっかけたわけです。

論拠の一番は、それぞれのプレートの向かう方向です。プレート・テクトニクスによれば、北米プレートとユーラシア・プレートは基本的には遠ざかる方向にあります。そこには事件は発生しないと思います。

論拠の第二は、もし二つのプレートが本気でぶつかれば、もう少し激しい変化があっても当然だと思います。フォッサマグナ程度では済まないと思います。多分北米プレートがユーラシアプレートの下に潜り込むことになると思いますが。その沈降の所見が見当たりません。

プレートの境界線はさらに樺太を縦断しシベリアへと抜けていくわけですが、それらの地域での地震活動も寡聞にして知りません。

カリフォルニアからメキシコにかけての海岸沿いでも太平洋プレートの潜り込みが起きています。その際、北米プレート側は境界線に平行していくつかの亀裂が走り、小プレートを形成しています。

いろいろな説があるらしくて、太平洋プレートよりさらに古いプレートが北米プレート下への潜り込みをほぼ完了していて、その僅かな残りが顔を出しているのだとも言われています。

ただいずれにしても、そこにユーラシアプレートがひょっこり顔を出すようなことはありません。

その違いを説明してくれないと、北米プレート説には合点がいきましセん。

古本屋に行くとけっこう「現代思想」という雑誌が並んでいたものだ。
たいていはなんだか訳の分からない講釈が垂れてあって、「どうだ難しいだろう」と上から目線で迫ってきた。
たしかに難しかったが、半分は紹介者の悪文の故であったろう。
危険なのは難解趣味がいつの間にか移ってしまうことだ。変に性格が柔軟だから、感化されやすい。
しかし思考を一塊のブロックとして処理する際には便利だからつい使ってしまうところがある。

閑話休題
その雑誌に佐藤純彌監督が連載でエッセイを書いていて、これが分かりやすく面白い。
ついそれが読みたくて「現代思想」を買ってしまう。といっても古本屋だから一山買っても2,3千円だ。映画より安い。
連載の題名は「映画の作り方」
これの83年3月号が「台本の論理 その3」というもので、日中合作映画「未完の対局」の台本作りに関わるエピソードだが、時代背景の研究にのめり込んでいる。

多分余程のことがないと原文を見るチャンスはないと思うので、少し紹介する。

…僕が北京に到着した1981年3月の時点の中国は、江青、張春橋、姚文元、王洪文の4人組に判決が下りた直後であり、プロレタリア文化大革命および毛沢東に対する統一評価を発表すべく、6中全会の準備作業の真っ最中であり、…軍と党の間に評価の対立が生まれ、文芸作家たちが軍の批判に抵抗しつつあった時期であり、やがてそれは「苦恋問題」として大きな呼びおこすことになる。
…中国映画界は、1949年の共和国成立以来…ソ連の指導のもとに発展した。映画学院の教科書はソ連のものであり、ロシア語は必修科目だった。そして、現在、指導的立場にいる映画人の相当多数がソ連留学経験者であった。
…「紅都女帝」と称された江青は、30年代上海で藍頻という芸名で女優をしていたことは確からしいが、本人は有望な新進女優だったと言い、多くの評伝では三流女優にしか過ぎなかったという。
…中国共産党員であったが、1935年に党を除名され、37年、上海を脱出、毛沢東がこもる延安に潜入した。

と、ここまでが書き出しである。
まことに見事なものである。というのも全く関係のない事柄を何の説明もなく書き連ねながら、どことなく差し迫った、容易ならない時代の気分を湛え、その中から江青という人物を鮮やかに登場させている。
叙述には無駄がなく、筋肉質の迫力がある
こういうのを筆力と言うんでしょうね。

ここから時代背景の説明に入るが、じつに息を継がせぬ面白さ…
しかしここまでやっていると、とても追いつかない。
別の文章にして自分なりに調べもして、いずれアップしたい。
そこで一気に最後の段落。

上海の江青はトロツキストとして除名される。
江青は、終生、この時のことを恨みに思い、1966年文化大革命以後権力を握ると、全映画界を粛清する。
北京撮影所はソ連修正主義の巣窟だと閉鎖させ、映画界の指導的幹部、著明俳優を誰かれの区別なく労働改造学校に放り込む。撮影所長は文革の10年映画を作らなかったが、豚の飼育と田植えではベテランになったと笑い、若き江青が片思いしてふられた趙丹も、その妻黄宗恵も、赤い帽子を被せられて街中を引き回されたと、涙を浮かべながら語った。
「革命という言葉を聞いて連想するのは文化大革命のこと」と話してくれた40歳の男に、「文化大革命とは何だったのか」と尋ねると、しばらく間があって、「内乱」と一言答えが返って来た。

あの頃のことを思い出してしまう。
こんな女がのさばったのが文化大革命という時代だった。そして彼女を偏愛し、勝手放題に振る舞わせたのが毛沢東だった。
それだけでも毛沢東など許せないと思うが、未だに中国は毛沢東に対して口をつぐんだままである。
昭和天皇に対して日本国民が口をつぐみ続けたのと同じような力が、そこには反映されているのだろうか。

シナロア・カルテルのボスで、麻薬王ホアキン・グスマン(エル・チャポ)が逮捕されたそうだ。
これでメキシコ麻薬戦争列伝に書いた「英雄」たちは誰もいなくなった。
PRI が政権に返り咲いた時から、この日は約束されていたのかもしれない。

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メキシコシティーに連行されたグスマン


http://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/2/d/2d1f41dd.jpg

こちらはYouTube 逮捕直後らしい。

Momento Exacto de la CAPTURA del Chapo Guzman en Mazatlan Sinaloa 22 Febrero 2014

次は今回の事件とは関係ない流行歌の世界だが、
El Chapo de Sinaloa - Le hace falta un beso (Video Oficial)
というのはなかなかいい歌だ。トランペットがやたら上手い。

かと言って、ガルフ・カルテルが昔日の勢いを取り戻すこともあるまい。
とりあえずは第一幕は終了したのだろう。
第二幕がふたたび繰り広げられるのかどうかは分からない。米国のマーケット次第だろう。
ただ、メキシコの問題は麻薬だけではない。米国への密入国と彼らを使う使用者の問題が解決されなければ、米墨関係の火種は消えない。
密入国を促しているのは、国境の両側に横たわる圧倒的な経済格差だ。そのためにもNFTAの手直しと、メキシコ政治の抜本的な見直しが必要だ。

Foobar2000 の最新版がでたというのでダウンロードした。V1.3.1というのだそうだ。

どこが新しくなったのかは分からない。音はまったく変わっていない。

ブラブラと見ていたら、SOXというリサンプラーがあって、標準でついてくるPPHSより性能が良いそうだ。

とりあえずダンロードして使ってみた。ウーム、たしかに音は良くなった。要するにオーディオゲートとかフィデライザーに近い音だ。

19:00のニュース (北海道版) さんが、うまいことを言っていた。

くぐもった感じや音像のピントが合いきらない感じ、PCオーディオにしてから高域に感じていたシーシーといった安っぽい付帯音等が払拭され、艶のあるキレイな高域が出る。
つまり私が感じていたCDでの付帯音は、DACの性能上取りきれなかった折り返しノイズや量子化ノイズの音だったのだ。
それが非常に高性能で高負荷のアップサンプリング処理をされる事で、可聴帯域外にノイズが持ってかれ、聞こえなくなった訳だ。

そうことなんだな。

要は、フリーブオーディオも、オーディオゲートも、フィデライザーも要らなくなったということ、その時の気分でDSPマネージャーを開いて、SOXをかけるか、PPHSでいくか、リサンプラーなしで行くか決めればいいということだ。プレイリスト作りの煩雑さを考えれば、Foobar 一発でなんでも出来るというのは大変ありがたい話である。

Foobar の作者はそのへんはすごく厳密な人だから、PPHSのリサンプラーに固執していると思う。基本としてはモニター音声、せいぜいPPHSまでは許せるくらいの感じではないか。

タカーチ弦楽四重奏団のバルトークの5番を聞いてみた。大変高音の伸びが良くなって美音となる。しかしタカーチのササクレた軋むような鋭さは、その分消えてしまうようだ。

トリオ・ディ・バセットの演奏するモーツァルト「3つのバセットホルンのためのディヴェルティメント第3番」を聞く。これぞSOXの醍醐味だ。

ヴァレンティナ・リシツァのラフマニノフ「楽興の時」を聞く。じつに柔らかく美しい。1925年製ベーゼンドルファーなんだそうだ。ただ本音としては最新型のスタインウエイで弾いてほしいと思うが。

ハイポジションの倍音までしっかり出ている。聞いていて耳が詰まる感じがなく、目の前でピアノを聞いているようだ。

ところが、同じ演奏をリサンプラーなしで聞くと、音は平ったく、多少カサつくのだが、鍵盤押しこみ弦を打つ音が聞こえるのだ。本当の音がそこにあるという感じだ。

ホントの高音質の録音ならなにもしないで聞くのが一番良さそうだ。小じわやシミ隠しに使うのが一番効果があるのではないだろうか。

ただあまりひどい音源だと、むしろますます醜くなる。俗にババアの厚化粧というやつだ。朝起きてベッドの隣にいられるとあまり気持ちのいいものではない。(少々アルコールが過ぎたようだ)


いささか疲れたが、
作業してみて、
STAPというのはエピジェネティクスの解除だということが分かった。
ただ、エピジェネティクスと振りかぶる必要はないように思う。CpG結合のメチル化の解除ということだ。
DNAをいじらなくても、メチル化(その他)を解除することで先祖返りできるということだ。

“最悪”でも、そういう可能性が開けたということは間違いない。振り返って山中の幹細胞でも、DNA改変のみならずそれに付随してメチル化の変容が起きている可能性が示唆される。

そういう時にメチル化誘導酵素(複数)はどのように動くのだろう、というのも興味ある話だ。これは脳における記憶のメカニズムと似たところがある。
染色体のDNAの周囲にはメチル化誘導酵素を介在する一定のネットワークがあって、その中に個体発生とか“生物学的個性の発現”に関する記憶が蓄積されている可能性もある。

それにしても、エピジェネティクスというコトバは胡散臭い。イデオロギーの匂いが強すぎる。DNAとむやみに対立させずに、DNAの周辺の場を探究する学と整序すべきだろう。

あまりネオ・ラマルキスト的にしゃっちょこばらずに、Para(あるいは Peri 使いたければEpi でも良いが) DNA -ology 的な方向に進むのが良いのではないだろうか。

いずれにせよエピジェネ屋さんには大歓迎だろう。

「科学技術動向 2009年6月号」 に掲載された

 「生体の遺伝子発現制御機構である エピジェネティクス研究の最近の動向」(伊藤裕子) というレポートから写真を転載させていただく。

 

医学に関連した論及もあったのでついでに紹介させていただく。

エピジェネティクスと医学

 生物は発生・分化の各段階において、必要なゲノムの遺伝子を発現させ不要な遺伝子の発現を止めるという調節を行っている。

 この調節により、同じゲノムを持つ細胞が心臓や肺や脳神経など形も機能も異なる組織や臓器に分化する。そしてその状態で長く維持される。これもエピジェネティクスの例である。

 逆に病気にも関係している。エピジェネティクスには可塑性があり、一度決定された遺伝子発現の状態が外部刺激や老化などで変化してしまうことがある。これは“エピジェネティクスの破綻”と呼ばれ、病気の発症と関連している。

 一方、このような可塑性は、病気の治療に利用できるのではないかと考えられている。再生医学でもエピジェネティクス研究の発展が期待されている。全能性をもつ細胞から、目的の細胞や臓器をつくるには、エピジェネティクスの知識が不可欠だからである。

 遺伝子発現のメカニズムには、「ゲノムDNAのメチル化」以外にも様々なものがあるが、そのメカニズムにはまだ不明な部分も多い。

エピジェネティクス疾患研究

(1) がん発症の理解

 様々な種類のがんで、複数のがん関連遺伝子上にDNAメチル化の異常がみられる。これについては1990年代頃から多くの報告がなされており、がん発症とエピジェネティクスの関係に注目が集まっている。

 特に、胃がんはエピジェネティクスの関与が大きい。ピロリ菌の感染によって、胃粘膜にエピジェネティクスの異常が誘発される。

胃がんでは高頻度にDNAメチル化が生じる。7遺伝子8領域について、ピロリ菌感染陽性者と陰性者から採取した胃粘膜を解析したところ、感染者は5~303倍もの高いメチル化の状態をしめした。さらに、ピロリ菌の除菌後に特定の遺伝子ではメチル化の程度が下がる。胃がんの他に、大腸がん、乳がん、腎がんで類似の知見が得られている。

(2) 精神疾患の発症や行動異常との関連性

 近年、精神神経疾患においても、エピジェネティクスの破綻が発症に関わっているのではないかと考えられている。

双極性障害(躁うつ病)は父母のどちらから遺伝したのかによって症状や発症年齢が異なる。このためゲノムインプリンティングとの関連性が想定されている。

精神発達障害では、エピジェネティクスに関連する遺伝子の先天的な異常が原因で生じる疾患が、9疾患ほど知られている。

虐待により脳の精神ストレス耐性遺伝子であるグルココルチコロイド受容体遺伝子がメチル化されて、遺伝子発現が低下し、将来的に行動異常が出現する。

いずれにおいてもまだ推定の段階で、明確なエピジェネティクスとの関連性はわかっていない。

(3) 生活習慣病の発症との関連性

 近年、成人病胎児期発症説;FOAD説が提唱されている。胎児が臨界期に低栄養または過量栄養に暴露されることで、DNAメチル化などのエピジェネティクスの変化が誘導されるという。このエピジェネティクス変化は、その後の何世代にもわたり受け継がれるそうだ。

4-3 エピジェネティクス創薬

 エピジェネティクスを標的とした医薬品として、がんに対する治療薬の開発が進められている。特に、DNAメチル基転移酵素(DNMT)の阻害薬やヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害薬において成果が示されている。

2009年5月現在で、商品として市場に出ているエピジェネティクス医薬品は3品あり、いずれも米国で承認されている。

下記は「脳科学辞典」というサイトの  エピジェネティクス という項目

東大精神科の 村田唯さん という方が書いたようです。

定義: エピジェネティクスとは、DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学術分野のことである。

うん、スッキリしています。

1.細胞分裂を通して娘細胞に受け継がれるという意味では遺伝学的な特徴を持

2.しかしDNA塩基配列の変化(突然変異)からは独立している。

3.エピジェネティクスによる制御は、化学的に安定した修飾であるが、環境要因によって動的に変化する。

4.エピジェネティクスは、遺伝子と環境要因の架け橋となる機構であると言える

5.エピジェネティクスの主なメカニズムとして、DNAメチル化とヒストン修飾がある。

うん、いいんじゃないですか

エピジェネティクス”提起の意味

発生に関してはかつて前成説と後成説があった。しかし遺伝子研究が盛んになるにつれ、遺伝子が全てを決定しているという前成説が支配するようになった。

ワディントンは、最終的な生物を形成する過程では遺伝要因と環境要因が相互作用していると主張した。

ワディントン説は前成説のモディファイで、後成説との控えめな折衷であったといえるでしょう。背景に前成説だけで押しきれない事象がいろいろ発見されたことがあると思います。
後成説はエピジェネーシスというので、そこから「エピジェネティクス」という名称を思いついたのだと思います。

その後、1958年にナンネーが、「遺伝子機能の多様性のうち、DNA配列の違いによって説明できないものについての研究」と再定義した。

最近では、エピジェネティクスをより幅広く捉えて研究する傾向が強まっている。

Birdは、「活動状態変化を記録し、伝え、永続させるような、染色体領域の構造的な順応」と定義している

かえって分かりにくくなったようですが、DNAの塩基連鎖のみならず、「染色体の構造」全体を遺伝の座として設定したのは画期的だと思います。いわば「ネオ・ジェネティクス」の提起です。

DNAメチル化

以下の説明はえらく難しいのですが、一応私なりに読み解いてみます。

DNAの構造は一本の紐の上に4種類の残基が連なっているが、このなかでシトシンとグアニンが連続する部分は信号の「結び目」になっている。

シトシンとグアニンのつながり方には2種類あって、ひとつは水素結合、もうひとつはホスホジエステル結合(p結合)である。対抗鎖とつながるのが水素結合で、p結合は隣同士のつながりである。後者を“CpG”と表記する。

CpG結合した残基のうちシトシンの方にメチル化が起こる。メチル化というのはシトシンのピリミジン環5位の炭素にメチル基が付加されることである。これによってシトシンは5-メチルシトシンとなる。このメチル化を行うのはDNAメチルトランスフェラーゼという酵素であり、いくつかの種類があるようだ。

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仕上げ屋メチラーゼ

DNAメチル化状態は細胞分裂後も受け継がれる。これは、DNAメチルトランスフェラーゼの一種で、メチル化の維持に関わる「DNMT1」の働きによる。

DNAが複製されると、親DNAと娘DNAが出来上がる。最初の段階(ヘミメチル化状態)ではメチル化された親DNAに対し娘DNAまだメチル化されていない。このときDNMT1が出動して、娘DNA鎖に相補的にメチル基を付加するのである。

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新規開店メチラーゼ

発生過程では、メチル化されてないDNAの最初のメチル化がおこなわれる。これは新規修飾DNAメチラーゼと呼ばれる。「DNMT3A」や「DNMT3B」がこの作業を担当する。

脱メチル化

受精直後の細胞では、維持メチラーゼ活性が抑制されたり脱メチル化が生じたりすることによって、ゲノム全体が脱メチル化されている。これに新規修飾DNAメチラーゼが刺さり込んで、新たにDNAメチル化状態のプロフィールが形成されていく

“CpG アイランド”

ゲノム中にはCpGが豊富に含まれる領域が残される。これをCpG islandと呼ぶ。CpG アイランドは遺伝子のプロモーター領域に多く認められる。

DNAのメチル化が終了した後、ゲノム中のCpG配列の約60~70%はメチル化される。しかし、CpG island中のCpGは一般的に低メチル化状態にある

メチル化がおよぼす影響

以上で、メチル化の機序は大体わかりました。次の問題はグアニンと隣り合ったシトシンのピリミジン環の5番目の炭素が、メチル化されることで、DNAにどんなことが起きるのかということになります。ここからが大変なところです。
 ここでは
ゲノム刷り込み、転移因子の抑制、X染色体の不活化があげられています。

ゲノム刷り込み(genomic imprinting

多くの場合、父親由来の染色体上の遺伝子と母親由来の遺伝子の発現量はほぼ等しいが、インプリンティング遺伝子の場合、一方の遺伝子は発現するもののもう一方からの発現は抑制される。これらを調整するのがメチル化である。

いきなり、何の説明もなしに「インプリンティング遺伝子」なるものが登場しました。ウィキペディアで調べると、以下のように記載されています。
哺乳類は父親と母親から同じ遺伝子を二つ受け継ぐが、いくつかの遺伝子については片方の親から受け継いだ遺伝子のみが発現する。これをゲノム刷り込みという。
ということで、さらに分からない。単為発生を防ぐためだと言われると、なんとなく納得してしまいますが。
こちらは
遺伝学電子博物館のサイト
(遺伝子は生殖過程に入るとき)、
配偶子を形成する過程で、精子由来か卵子由来かの「しる し」を刷り込まれる。この「しるし」は、受精を経て同一の核に入っても維持され、さらに複製・細胞分裂を繰り返 しても消失しない
とあって、この後さらに難しい話が続くが、これだけでも「
インプリンティング遺伝子」がどんなものなのかはつかめそうです。

転写の抑制

 一般的にプロモーター領域のDNAは、メチル化がすすむと遺伝子発現の程度が低くなる。これは次のような機序によると考えられる。

1.メチル化されたCpG配列にメチル化CpG結合に親和性のあるドメインタンパク質(MBD)が結合する。

2.メチル化CpGに結合したドメインタンパク質転写を抑制する蛋白質複合体を引き寄せる。

3.転写抑制因子により、遺伝子の発現が抑制される。

以上から、メチル化は転写の抑制の役割を果たしていると考えられる。ただし転写を活性化する蛋白が結合する場合もある(レット症候群

(著者が第3の役割としてあげたX染色体の不活化は、説明はされていないようです)

(このあと、DNAメチル化の解析方法が述べられているが、さっぱり分からない。とりあえず関係なさそうなので省略)

(ヒストン修飾については簡潔に触れられているだけで、しかも簡潔なだけに何を言っているのかわからない。ここも省略)

独立行政法人国立がん研究センターのサイトにある

「エピジェネティクスとは?」というページは、えらく単刀直入である。ほとんど乱暴と言っても良い。

哲学的なことも面倒なことも一切言わない。

(体細胞は)、どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っているのに、別々の細胞になっている。これは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印をつけているからである。エピジェネティクスとは、これらの目印を解明する学問である。

そう、これでいいのだ。

エピジェネティックな目印は、一旦つくと、容易にははずれない。

いいねぇ、快調だ。

DNAは、ヒストンとよばれるタンパク質に巻きついてできている。エピジェネティックな目印には、DNAにつく目印(DNAメチル化)とヒストンにつく目印(ヒストン修飾)の2つが知られている

うーむ、簡潔すぎてよく分からない。

DNAというのは二重らせんだ。朝顔のツルみたいなもので何かに巻き付きながら伸びている。その“何か”というのがヒストンだ。下の絵でいうとホットケーキみたいな円盤がヒストンだ。

 

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 それでもって、ヒストンの方はなかなか手強そうだから、このメチル化の方を何とか外したりくっつけたり出来ないだろうか、と舌なめずりしている光景が浮かんでくる。

その「ギラギラぶり」が、我ら年寄りにはなつかしくも心地よい。


しかしこれでは癪に障る。もう少し他の文章も読んでみようとグーグルしたら、出てきたのがこれ。

ダイヤモンド社のサイトの福岡伸一教授が語る「エピジェネティクス入門」というインタビュー形式のお話。

第1回「エピジェネティクスとは何か? 多額の研究費をかけた実験の失敗が教えてくれた生命の謎」という、ちょっとキワモノっぽい題名だ。

前の文章で書いたのとだぶるところは省略してノートしておく。

申し訳ないが福岡さんの言葉も自分流に改変している。あくまでも自分が納得するための読書なので、ご容赦いただきたい。


エピジェネティクスは、従来考えられていた遺伝学の外側で働いている仕組みを研究するものです。
 

つまり遺伝子を研究する学ではないが、遺伝の仕組みを研究する学問ということでは、遺伝学の一分野ということになる。それは遺伝学=遺伝子学という従来の枠組みに対する挑戦であり、それに対する批判をふくんでいる


これまでの遺伝学は、遺伝子の上に起こった突然変異だけが生物を変える唯一の力だと説明してきました。

エピジェネティクスは、そのような従来の遺伝学を否定しているわけではありません。それを前提とした上で、もう一つの仕組みを考えます。

遺伝子A、B、Cがどういうふうに働くのかを決める仕組みがあるのではないか、そしてその仕組も遺伝するのではないかと考えるのです。

ここで福岡さんが言っているのはザ・ピーナッツ話の関連であろう。しかし科学がそれを実証するのはだいぶ先のことだと思う。変に騒ぐのは「優生学」の復活につながる危険もあるから慎重であるべきだ。
目下の差し迫った課題は幹細胞が体細胞に分化していく際に、遺伝子が部位別に異なった発現をすることの説明であろう。


遺伝子が働く=遺伝子のスイッチがオンになるというのは、DNAがRNAというものに変換されて、RNAがタンパク質に変換されることを言います。

RNAはDNAの全部をコピーするのではなく一部をコピーします。RNAがDNAのどの部分をどのくらいコピーするかは、必ずしもDNAが決めているわけではないようです。さらにそのタイミング、順番もDNAによって運命づけられているわけではありません。

それにもかかわらず、実際には運命づけられている。だから多能性細胞が増殖してそれぞれの体細胞にまで変化していくのだ。
それを運命づけているDNA以外の何者かがいることになる。面白いのはDNAと違って、「お前は何になれ」と命令するのではなく、多能性細胞の中で誰かが心筋になって誰かが脳神経になって、誰かが皮膚になれ骨になれと命令することだ。命令の仕方が違うようだ。


生物は遺伝子だけを受け継いでいるのではなくて、その遺伝子がどういうふうに働いていくかということも受け継いでいるのです。
 

福岡さんは「動的平衡」という言葉を使っているが、よく分からないところもある。
ただ、大事なことは遺伝というのが形質を「引き継ぐ」あるいは「受け継ぐ」というプロセスなんだということ、遺伝子・DNAはそのためのモーメントであり、ツールのひとつなのだということであろう。

考え方を整理する上では、非常に参考になる文章だ。

逆に、具体的に内容を知るという上では余り参考にはならない。「DNAのメチル化」も「ヒストンの化学的修飾」も出てこない。

これでは終わりそうにない。


エピジェネティクス という言葉が気になったが、そのままにしていた。しかしやはり気になるので、ウィキペディアから調べてみた。

最初の定義は、ひどく不親切である。

一般的には「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」である。

これでは何も分からない。一生懸命、解読しようとすると

ただし、歴史的な用法や研究者による定義の違いもあり、その内容は必ずしも一致したものではない

とくる。人をおちょくっているのか。言語に関して無関心なのか。


文法的に解読すると。

まずは「学問領域である」ということが分かる。「サイバネティクス」とか「アベノミクス」と同じ“-ics”という接尾辞だ。

次にジェネティクスだが。これは遺伝学だ。これに“Epi-” という接頭辞がつくから遺伝学の親類筋の学問らしいということが分かる。

“Epi”というのは医学用語ではたいてい「上」とか「表面」をあらわす。そうすると「表面遺伝学」ということになるから分からない。

そこで最初の定義に戻ると、

遺伝子を研究するのが遺伝学であるのに対し、遺伝子によらない遺伝を研究する学問ということになるらしい。

そもそも言っていることが矛盾している。無理を承知で作った言葉だから晦渋になるのだろう。

そういう時は偉そうに開き直らずに、「そんな感じで使わせてください」と下手に出れば、こちらも分からないでもない、というものではないだろうか。

素人が考えると、古い話で恐縮だが、

ザ・ピーナッツは一卵性双生児で遺伝子型は同じだが、顔立ちは微妙に違っていて、テレビで見慣れているとある程度区別はつく。少なくともジュリーには見分けられただろう。

その違いをどう説明するかというのがエピジェネティクスの目標なのではないか。(間違っていたらごめんなさい)


ということで、概要の項に移る。

話は、ザ・ピーナッツの話ではなさそうで、むしろ細胞間の相違が問題のようだ。

つまり体細胞というのはすべて幹細胞から分化してできるのだが、その顔つきはまったく違っているのに、遺伝子情報は寸分違わず同じだ。その部位や働きによって変わるのだと説明しても、「なぜ?」と言われると答えに窮する。

それを研究しようというのが本来の「エピジェネティクス」の発想である。その言葉を作り出したのがウォディントンという人で、1942年のことであった。


これはとても良く分かる話だ。

つまり幹細胞が個別の体細胞になるには遺伝子、環境、そしてプラスアルファが必要だ。これはきわめて論理的に導き出される。「それじゃぁ、そのプラスアルファを研究しようじゃないか」ということだ。

ただ、42年という年には分子生物学もないし、DNAだって一般的な知識ではなかったはずだ。

では、その後の遺伝学や発生学の研究の進歩を通じて、どのように「プラスアルファ」の正体がわかってきたのか。


いま、真っ先に「容疑者」としてあげられているのが

DNAのメチル化およびヒストンの化学的修飾

というセオリーである(らしい。このウィキペディア氏の文章は本当に読みにくい)

「DNAのメチル化」というのは、遺伝子情報を発言させるか否かのオン・オフ・スイッチらしい。メチル化されると発現し、されなければ眠ったままとなる。

「ヒストンの化学的修飾」というのは“メチル化されると発現”というプロセスの話である。
DNAの特定部位がメチル化されると、ヌクレオソーム中のヒストンに物理化学的な変化がおきる。この変化が遺伝子発現を促すようである。

その他にもいろいろな機転があるようだが、とりあえず省略する。


ただここまでなら、あえてエピジェネティクスという御大層な名前を振りかざすまでもない。遺伝学の一分野と考えても何の支障もない。

それが論争になっているのは、どうもこの「ヒストンの修飾」というのが時期の長短は別に持続性を持つということで、これも一種の遺伝といえるのではないかという議論が出てきてからである。

ウィキペディア氏は下記のような主張を紹介している。

「エピジェネテックな形質とは、DNA塩基配列の変更を伴わない染色体の変化に起因する安定した遺伝性の表現型を示すもの」(Bergerら, 2009年)

ということで、DNAを介する遺伝系列と独立した「第二の遺伝系列」と主張している。

ウィキペディア氏は、だからエピジェネティクスはその存在自体がポレミックな学問領域だと総括しているのであるが、どうもこの説明には納得出来ない。

「プラスアルファ」は間違いなく存在するのであり、その探求は間違いなく実体的な研究の領域を形成する。それらの研究実践をエピジェネティクスと呼ぶことに何の躊躇も必要ないだろう(どう呼んでもいいが)。


ウィキペディア氏の説明はこの後も延々と続くが、まことに取り留めがなく難解かつ冗長で、読むに耐えない。脳細胞のヒストン修飾が足りないのか過剰なのか…

だれか、分かりやすいダイジェスト版を作ってくれ。

YouTubeでとんでもない演奏を見つけた。
クレジットをそのままコピーする。

Mendelssohn メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲変ホ長調Op20 
(Vn) 潮田益子 前橋汀子 久保陽子 宗倫匡 
(Va) 今井信子 江戸純子 
(Vc) 山崎伸子 安田謙一郎
シゲティ没後10年記念演奏会より 
1983年(昭和58年)10月7日 学習院創立100周年記念会館

少なくとも楽器の値段を合わせれば世界最高のアンサンブルだろう。
それだけの豪勢な音がする。
モノーラルだが音が唸りを上げて迫ってくる。
これだけ思い切り弾きながら、アンサンブルには寸分の狂いもない。

それぞれの演奏家にとって、技能的にはピークの時代だろう。
どうしてCD化しないのか、不思議である。

"Password" unseated by "123456" on SplashData's annual "Worst Passwords" list

という笑えない(身につまされるから)ランキングがある。

アメリカのセキュリティー会社「SplashData」の調査によるものだ。

見出しの意味は、パスワードに入れる暗号のワーストワンが「PASSWORD」から「123456」に入れ替わったというもの。これは明らかに人間から猿への退化のサインだ。

3位が「12345678」で、これは「123456」より利口とはいえない。8ケタ要求されたからだろう。その証拠に、6位には「123456789」、8位には「1234567」が入っている。この人はきっと10ケタ要求されたら…

4位が「QWERTY」だ。一見まともそうに見えるが、自分でキーボードを押してみれば、「123456」とひとし並みのズボラさであることが分かる。

5位は「abc123」で、これは分かる。「ローマ字と数字を必ず入れてください」と要求されることがあるからだ。

7位にはもっとずぼらな人が入っている。「111111」だ。ここまで来ると猿以下だ。というか、パスワードという通念に対する敵意というか、殺気さえ感じてしまう。「文句あるか?」

そんな中で9位は、ワーストといえども、ほっと心なぐさめられる。 「iloveyou」

ところで、あなたのパスワード大丈夫ですか?


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