鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2013年06月

2011年10月に「日米構造協議年表」を3部に分けて掲載したのですが、埋もれてしまって探すのに一苦労しました。
1本にまとめてホームページに移植します(今夜、家に帰ってからやります)。これを機会にちょっと情報を足しました。

本日の赤旗一面トップ。
赤旗の独自データなので、調査方法を示しておく。
2012年度の3月期決算が出揃った所で、
①連結決算データから、内部留保額を計算した。
(内部留保=利益剰余金+資本剰余金+負債性引当金)
②11年度の内部留保額を差し引き、増加分を算出した。
③対象は11年度末内部留保額上位1200社
ということで、内部留保の該当費目をふくめ、主観の入る余地はない。
https://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/3/2/32593be6.jpg

内部留保の総額については触れられていないが、1200社の総増加額は10兆円を超える。
もちろん1200社のすべてが順調というわけではなく、190社は内部留保を減らしている。
ベストテンの顔ぶれを見ると、トヨタは別格として銀行の躍進ぶりが目立つ。これは国債を日銀に売った分が、日銀への当座預金として積み上がっていることの反映であろう。
これは「儲けているのに国民に還元しない」という批判の論拠にはならないかもしれない。
もう一つは、円安にあわせて企業が手持ちのドルを売って、利益を確定した可能性もある。
今年の内部留保積み増しについては、アベノミックスという竜巻の中での評価だけになかなか難しいところもあるが、企業がひたすら利益を抱え込んで離さない状況には変わりはない。
このままではミニバブルがはじけた時に、さらに悲惨な状況が現出することになるだろう。

海外進出とか直接投資とか言うけど、あまり知らないで使っていた。
海外直接投資を厳密に言うと下記の通りとなる。

①海外の投資先企業の経営を支配するか、または企業経営へ参加する目的を持った投資。

②投資先企業の経営権を握るためには、企業の株式所有比率が一定以上でなければならない。通常、株式所有比率が10%以上となる場合に直接投資と呼ばれる。それ以外の投資(たとえば金利目的)は間接投資とされる。

③投資先や投資内容の如何は問わない。国境を超えて日本から相手国に資金が移動することが肝腎で、国際収支統計に反映される。海外で資金調達を行った場合は直接投資とはならない。

ということだ。

すると、新たに海外子会社や工場を立ち上げたときは確かに資金が移動するが、それが一定の軌道に乗ってきて、剰余金を生み出すようになれば、拡大再生産のための資金は投資先企業で自己調達できるようになるから、直接投資額は、相対的には減少してくることになるのだろうか。

もうひとつ、大企業が節税等の目的もあり海外での利益をタックスヘイブンなどに預金した場合、そこから資金を拠出するのは直接投資とはならないのか。

だとすると国際収支統計で捕捉される海外投資というのは、ますます氷山の一角に過ぎなくなる。

ベトナムが提案した「武力の先制不使用」協定が注目される。
これは5月7日にASEAN国防相会議でベトナムが呼びかけたもの。
まずASEAN内で協定を結び、これを対話パートナー国にも拡大していくというもの。当然中国、米国も含まれる。
これに対しシンガポールも同調する意向を示した。
さらにインドネシアのマルティ外相が、5月16日に東南アジアの戦争放棄条約を提案している。
中国の横紙破りが武力を背景にしたものだけに、この方向でASEAN諸国が統一されれば大きな意義を持つものになるだろう。
それは同時に米国の再進出を抑制する手段ともなりうるし、ベトナム自らの手も縛ることになる。

いずれ遅かれ早かれ、中国は現在のデッドロックを打開するために何らかの対応を迫られることになるわけで、その際の落とし所として注目される。

最近、国際会議などでよく中国の「軍事の透明性」が話題になる。この言葉は何か特殊な意味を持った言葉なのか、気になって調べてみた。調べた結果はとくに特殊な規定を持つ用語では無さそうで、言葉通りの可視化というか情報公開のことのようである。

これは元々はアメリカが中国に対して要求しているものであるが、昨今の動向の中で日本、韓国、東南アジア諸国からも関心が強まっている。

この言葉が特殊性を持っているとすれば、それは中国が軍事情報を小出しにしたいために、色々と理屈を並べてきているからであろう。

この点について冨田圭一郎さんが、軍事透明性」問題の深層というレビューの中で要領よく説明してくれている。


中国側の言い分を要約すれば以下のようになる。

A.軍事の透明性の定義

1.軍事の透明性には二種類の透明性があり、この二つは分けて考えなければならない。

①戦略的な意図に関する透明性

②軍事能力に関する透明性

軍事の透明性を高めるためには、前者を表明すれば十分であり、軍事能力を公開する必要はない。

2.二国間の関係で相互の透明性を高めるためには、相互信頼を構築することが大事である。

①相互信頼が強化されることによってのみ、高いレベルの透明性が実現される

②相互信頼を増進させるためには、相手国の防衛政策を理解することが大切である。

ということで、透明性の問題を多国間と二国間の関係で分けて論じている。また客観的な数字よりも互いの意図を明確に表明することに重点を置くべきだと主張している。
それは意地悪い見方をすれば「はぐらかし」の論理である。

B.弱小国における軍事の透明性の意味

①透明性には、自発性、相互主義、非対等、漸進性、戦略意図の優先という5つの原則が必要である。なかでも“強国が率先して示すべき”という「非対等の原則」が重要である。

②透明性に関する統一的な基準はありえない。強国は、軍事力を見せることを抑止の手段としているが、弱小国は、「不透明さ」によって国を守っているからである。

このBの②が中国の中心的論点である。

私なりに言い換えてみると、

「国際的な透明性メカニズムの構築」という主張は、実力の大きな国の押し付けである。

米国は「軍事の透明性」を高めるという美名のもとに、軍事能力の具体的数量を示し、その軍事能力を宣伝し、「透明性による抑止」を実現している。これだけで十分ではないか。

さらに他国に同等の要求をすることで、道義的な優位を占めようとするのは、やり過ぎではないか。

ということになるだろう。

ただし、中国がみずからを小国に比するのは失笑モノである。

C.二国間関係においては戦略的意図の透明性が重要だ

①相手国を制約するためには軍事能力の透明性が重視されるが、協力を深めるためには戦略的意図の透明性が大切だ。

②(軍事的に)強い国は、弱い国の能力や発展状況に注目し、戦略的意図にはあまり関心を払わないが、これでは対等のパートナーシップは維持できない。

結局、二国間というのは米中間の関係を指すにすぎない。中国の目はアメリカにのみ向けられている。だから透明性の議論に、中国より小さく弱い国々の事情は入り込む余地がない。
GNP2位の大国である中国が、軍事的に強大化することに対する東アジア諸国の懸念については関心がないようだ。


以上の如きレビューを踏まえて、富田さんは下記のごとく小括されている。

 このような中国の議論は、一言でいえば、「弱者の論理」、さらに言えば「対米弱者の論理」である。特に、中国国内向けの論考においては、透明性について論じるだけではなく、併せて、透明性向上を強く求めている米国に対する批判や反論が展開されている。

つまり、透明性問題は、一般的な軍事問題ではなく、米国との軍事関係における争点のひとつとして、一定の危機感をもって議論されているのである。


イラクの宗派対立による死者が5月の1ヶ月だけで1045人に達した。
暗澹たる気持ちにさせられる。
結局、アメリカの虚偽にもとづく勝手な行動が招いた事態なのだが、03年のイラク侵攻というより、第一次湾岸戦争以来のアメリカの中東戦略の迷走ぶりがもたらしたものとして、もう少し長期的に見ていく必要があるだろう。
01年の9.11事件と、これに次ぐアフガン侵攻までは、善悪は別として了解可能であったが、ならず者国家論を持ちだしてイラクを叩く理由は、まったく了解不能だった。
アルカーイダにつながるようなイスラム原理主義をとっているわけでもなく、反米主義を煽っているわけでもない国がなぜ攻撃の対象となったのか。反テロリズムという大義名分に従うなら、むしろ対象はイランではなかったのか。

それは、イスラエルとそれにつながるネオコン族の情報操作によるものと考えると辻褄が合う。

米軍産複合体内部での主導権争いは未だに続いていると思われる。かつてのネオコン族の華々しい活躍は姿を消したが、イスラエルに鼻面引き回される場面は相変わらず続いている。

とすれば、シリアの内戦も、イラクの宗派対立もイスラエルの中東戦略と結びつけて考えなければならない。

60年代 エジプト、シリアが主敵。イラク、イランは混乱期
70年代 エジプトの凋落、ナセルの死、キャンプ・デービッド合意。パレスチナ・ゲリラの活発化。イラクのフセインがアラブ民族主義の盟主となる。イランはパーレビ親米王朝
80年代 レバノン“内戦”でパレスチナゲリラは壊滅。イラクのフセインが覇権を狙いイランのホメイニと争い。エジプトはサダト亡き後もムバラク親米政権となる
90年代 第一次湾岸戦争。イラクのフセインが凋落。アメリカとイスラエルの攻守同盟が強力に。その条件としてPLO自治の承認。
00年代 PLOを徹底的に叩く。エルサレム、西岸地帯への進出。イランをバックにしたハマスとヒズボラの勢力伸長。イランとシリアの連携。原油高を背景にしたフセインの復活。
10年代 エジプトにおけるイスラム政権の成立。シリアとイラクの混迷状態。イランの膨張主義と核開発。

こうなれば、イスラエルがエジプト、シリアとイラクの混迷状況の持続を求めるのは当然である。イランはアラブではないので真の脅威とはならない。

敵の敵が味方だとすれば、アル・カーイダこそイスラエルの最強の味方である。そういえばアルカーイダは奇妙なことに、あまりイスラエルを攻めないな。


欧州統計局が5月31日に発表した数字。
24ヶ月連続の増加で、言うまでもなく過去最高である。
実数は1938万人。
さらに悲惨なのが25歳未満の若者で、ユーロ圏全体で24.4%だが、ギリシャ63%、スペイン56%となっている。イタリアでも40%を突破した。
一方で、オーストリア、ドイツは5%、ルクセンブルク6%と明暗がはっきり分かれた。
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いつ暴動が起きてもおかしくない状況であり、いったんことが起これば、これらの国はモラトリアムを発動し、ドイツの債券は回収不能となり、ユーロ圏発の大恐慌が予想される。
これを避けるためには、債務の再交渉が不可欠だ。各国は若者雇用戦略や成長戦略を打ち出しているが、債務問題でドイツの譲歩がない限り、絵に描いた餅にならざるをえない。
しかしまだドイツには危機感が浸透していないようだ。

「こちら経済部」のコラムで、大企業の海外株主の保有割合を出している。
日立製作所 38%
ソニー 37%
武田薬品 25%
三井不動産 48%
日産自動車 68%

無国籍化は安い労働力確保に始まり、コストダウン、マーケット拡大と進み、最後に自己資本の無国籍化により完成しようとしている。

武田薬品が、なぜ開放路線に狂奔するかも見えてきた。長谷川社長は海外株主が送り込んだエージェントなのだ。

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