鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2013年04月

YouTube で聞けるジョージ・セルの高音質音源

高音質というのは最終的に我々の耳にどのくらいの音質で入ってくるかということで、うp主次第である。元の録音が悪ければそれ以前にペケである。とくに放送のライブ演奏をエアチェックしたものの中にはひどいものもある(バイエルンは比較的安心できるが、オランダ放送協会やフランクフルト放送の音源には要注意だ)。

録音が古くても音は悪い。しかしセルの場合、55年以降の録音であればまずまず聞ける。ただしクリーブランドを振った場合に限る。客演の場合は基本的にペケである。クリーブランド就任前のいわゆる「歴史的名盤」には目下のところ興味はない。

うp主が手持ちのビニール盤を再生してアップしてくれたものがある。一般にプチノイズ以外は高音質である。しかし高音部の頭打ちにはビニール盤としての限界がある。イコライザーで100~150サイクルあたりを少し持ち上げると、聴きやすくなることがある。

最近、60年代の音源がいくつかリマスタリングされて発売されているようだ。おそらくかなりやばいと思うが、いくつかそれらしい音源が聞ける。

 

①ベートーヴェンの交響曲第2番、第5番

第5番は55年録音だそうだが、おそらくリマスターしたのであろう、ギスギスはしているがかなりのハイファイである。Audacity で擬似ステレオ化するともう少し聴きやすくなると思う。2番は最近の録音と比べても遜色ないレベルだ。

②ブラームスの交響曲第4番

多分私の一番好きな交響曲。セルかクライバーかということになるだろう。音質も最高レベルだ。

③ハイドンの交響曲第93番、94番、97番、99番

ベートーヴェンのようなハイドンだ。新しくはないが良い録音で、クリーブランドの弦合奏の実力が堪能できる。

④マーラーの交響曲4番と9番、大地の歌(終楽章のみ)

ライブ録音で聞けるが、マイクのセッティングが悪いのか、ミキシングが悪いのか、弦合奏が聞こえない。これではクリーブランドの魅力が半減だ。おすすめはしない。

⑤メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」

絶品の演奏だが、第1,第4楽章しかアップされていない。音質も冴えない。しかし第4楽章は思わず息を呑む。おそらくセルはメンデルスゾーンなら地で勝負できる人だろうと思う。

⑥モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」

クゴモッた録音で爽やかではない。ほかに39番、40番、41番が聞けるが、いずれも音質は良好とはいえない。あれだけハイドンの音質がいいのに不思議だ。

⑦モーツァルトの協奏交響曲(2,3楽章のみ)、クラリネット協奏曲

いずれも楽団員が独奏者を務めており、セル指揮クリーブランド室内管弦楽団の演奏といってもよい。演奏は極上だが、きわめてデッドな環境で近接マイク。眼前に演奏者がいるような雰囲気。

⑧R.シュトラウスの「死と変容」と「メタモルフォーゼン」

いずれも演奏は絶品。録音は、とくにメタモルフォーゼンはライブ録音で戦前のSP並み。

⑨R.シュトラウスの4つの最後の歌(ニコニコ動画)

シュヴァルツコップの歌に伴奏をつけている。オケはベルリン放送。シュヴァルツコップのご指名だったのかしら。

いろいろと制約が多い中での演奏だが、とにかくセルはシュトラウスを得意としていることが分かる。

⑩シューベルトの未完成とザ・グレート

セルはシューベルトが苦手だろうと思う。シューベルトをベートーヴェンにしちゃってはまずいと思うよ。シューベルトというのは劣等生というか登校拒否というか、そういうめそめそした優しさがないと染みて来ないように思う。セルのピアノ、ブダペスト四重奏団との「鱒」は聞かないほうがいい。

⑪シューマンの交響曲第1番、第2番、第3番、第4番、ピアノ協奏曲(この5曲はニコニコ動画だったかもしれない)

全曲すべて最優秀音質。第4番はフルトベングラーで愛聴していたが、こちらのほうが音質ははるかに優れている。

ピアノはセルお気に入りのフライシャー。

⑫ワーグナーの管弦楽集

ジークフリート牧歌、夜明けとラインへの旅、ジークフリート葬送音楽が聞ける。1956年の録音ということだ。元音質がモノーラルでさすがに聞けない。「魔法の火の音楽」はステレオだがUP音質が壊れている。ライブの録音でタンホイザー序曲が聞けるが貧音質。これなら今まで通りクレンペラーを聞いていたほうが良い。これからのアップに期待。

⑬ドビュッシーの海(ニコニコ動画)

ヴィニール盤をアップしたもの。かなり盛大にプチ・ノイズが入るのと高音が堅くやせているため、美音を楽しむにはいまいちの感。

⑭ラヴェルのダフニスとクロエ第二組曲

意外と言っては失礼だが、これがいいんですね。音質も優秀。長ーいクレッシェンドが「おっ、おっ、おっ」と身を乗り出させるが、これはオケの実力か。

⑮チャイコフスキーの交響曲第5番、第6番

ヴィニール盤を再生してアップしてくれている。良いオーディオをお持ちのようで、プチ・ノイズを除けばヴィニール盤とは思えない音だ。第6番はライブ録音。近接マイクの音がでか過ぎで、クリーブランドの音は聞けない。

⑯ドヴォルザークの交響曲第7番、第8番、第9番

いずれも58年から59年にかけて録音されたステレオ初期の演奏で、定番中の定番。音も昔ながらのおなじみの、味も素っ気もない音だ。リマスターで化粧し直して欲しいと思う。

ロストロポービッチとのチェロ協奏曲はライブで低音質。ロストロポービッチはリヒテルとのブラームス二重協奏曲がいい演奏だったが、アップされていないようだ。

⑰コダーイのハーリ・ヤーノシュ組曲

高音質の名演奏。ただし曲そのものは大したものではない。

⑱シベリウスの第2番、第4番

2番の演奏を聴き始めた瞬間から鳥肌が立つ。セルの「白鳥の歌」がこんなに完全な録音で残されたのは奇跡としか言いようが無い。

変な話だが、東京文化会館でよかったと思う。サントリーホールではこれだけ生の音は聞けないだろう。生身の演奏者が目の前に血刀引っさげて突っ立っていて、それに取り囲まれているような錯覚さえいだかせる。全員が剣の達人だということが分かる。

とにかく腰が抜けてしまう。頭蓋骨の中でバチバチと火花が散って、終わったとも残響音が回っている。

また東京のコンサートでアンコールに上演されたラコッツィ行進曲もいいが、ガンで余命2ヶ月の人がこんなことまでしなくても良かったのにと思ってしまう。

4番もライブ盤には珍しく良い音である。フェラスのバイオリン協奏曲のライブ録音もあるが、音は悪い。フェラス=カラヤンBPO盤は当時のベストセラーだった。そのフェラスがクリーブランドまで来てセルと共演したのには、いろいろ裏があるのだろう。とくにセルのカラヤンに対する思いが気になる。

そういう話を抜きにすれば、それほど面白い演奏ではない。

⑲タルティーニのヴァイオリン協奏曲ニ長調

ヨーゼフ・シゲティのおはこの曲で、セルがコロンビア交響楽団を振って伴奏している。1954年の録音というがひどい音だ。SP以下だ。放送用のフィルムから起こしたのではないか。

しかし中身はいい。セルがしっかりと低音弦を響かせている。もともとレコード界ではオケ伴指揮者で名を上げた人だから、その気になればうまいものだ。

これはおまけということで…

ということでYouTubeのセルのベストファイブ

①シューマン交響曲第4番

②シベリウス交響曲第2番

③ハイドンの交響曲第94番

④モーツァルトの協奏交響曲

⑤ラベルのダフニスとクロエ第二組曲

ということになる。できればブラームスの4番も上げたいところだが、ライバルが多すぎる。

2013年

1.04 安倍首相、原発新設についても「腰を据えて検討していきたい」と表明。

1.30 安倍首相、民主党政権の「原発ゼロ」方針を「ゼロベースで見直す」と表明。

1.30 米国で天然ガス価格急落でコストが逆転したため原発の閉鎖が相次ぐ。

2.28 安倍首相が施政方針演説。日米首脳会談を受け「安全が確認された原発は再稼働する」と明言

3.22 福島第一原発で配電盤にネズミが入り、電源が落ちる。水温が6度上昇し緊急の外部注水を施行。

2.28 ブルガリア議会、原発新設の中止を決定

3.11 パリで「原発ノン」を叫ぶ人間の鎖に2万人が参加する。

4.03 ドイツで脱原発が進んだにもかかわらず、電力輸出が前年の4倍に。

4.02 各電力会社が、あいついで米国産LNGの非リンク購入契約を締結。

 

2012年

1月 森本氏(その後防衛大臣)、北海道で講演。「国の基本として、原子力を持つということは、たんにエネルギーの問題ではない。…非常に大事な抑止的機能を果たしている。…(原子力を)決して捨てるべきではない」と発言。

2.27 大阪・京都・神戸の三市長、連名で関西電力に意見書を提出。原子力発電に依存しない電力供給を求める。

3.12 保安院、ストレステストの妥当性を認定。安全評価を勝手に一次と二次に分け、その一次がクリアしたという話。

3.23 原子力安全委員会は、一次評価だけでは不十分と判断。福島事故をふまえた新たな安全基準による審査が必要とする。

3.23 京都府防災会議、SPEEDI による放射性ヨウ素の拡散予想を発表。大飯西方の高浜原発が3月にやられた際は死の灰が京都市内に振り注ぐことが明らかになる。

http://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/4/a/4a8be2f9.jpg

3.28 原子力安全保安院は30項目の安全対策を取りまとめる。安全委員会はこれを妥当と判断。

4.08 政府、関西電力管内の夏の電力不足が需要に対し17%不足と発表。各界から多くの疑問が出され、4月13日に修正案を提示。

4.09 原子力安全委員会の久住静代委員(問題発言を繰り返してきた)が、「保安院は、防災指針見直しについて、財政負担増大が懸念されるといって反対してきた」と批判。

4.13 橋下市長、大飯の再稼働反対と倒閣運動を宣言。

4.13 関係閣僚会合、大飯原発の安全性を最終確認し、「再稼働することが妥当」と判断。

4.14 枝野幸男経済産業相が福井県を訪問し、再稼働を要請。

4.17 滋賀・京都知事が大飯原発再稼働への国民的理解のための7項目提言。

4.27 首相官邸前で 1100人が大飯原発再稼働に反対する行動。

5.05 泊原発3号機が定期検査に入る。国内50基の全原発が停止する。

5.11 三井物産の槍田会長、日本中の原発をすべて再稼働させないといけない、と発言。

5.24 毎日新聞、原子力委員会が事業者を含めた会議を開き、再処理に有利に報告書原案を書き換えたと報道。原子力委員会は「事業者を含めた会議」を開いたことは認めるが、「報告書を書き換えた」というのは事実無根と反論。(委員全員が原子力村の住民であり、書き換えの必要などなかった)

5.31 橋下市長、再稼働を容認。

5.31 ヨルダン議会、原発事業一時停止を議決 安全性など懸念

6.10 野田首相が記者会見で原発再稼働を宣言。「福島を襲ったような地震・津波が怒っても、自己を防止できる対策と体制は整った」と豪語する。

6.18 野田政権は、法的根拠も議事録もない四大臣会合で大飯原発再稼働を図る。

6月 「さようなら原発1000万人署名」運動が754万人分の署名を集め政府に提出。

7.01 関西電力の大飯原発が再稼働。代わりに燃料費が高い火力発電所を8基止める。

7.05 国会事故調査委員会が報告書を発表。「根源的な原因は、規制当局と東電が、意図的な先送り、不作為、自分に都合の良い判断により安全対策を怠ったことにある」とする。さらに、原子力を扱うものに許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする思い込み を糾弾。

7.17 「2030年の電源構成に占める原子力の割合」について国民から9万の意見が寄せられる。「原発ゼロ」が7割以上をしめる。15%を軸に検討していた政府は厳しい対応を迫られる。

7.23 政府の事故調査・検証委員会が最終報告書。「国と東電が安全神話にとらわれたことが「根源的問題」とする

7.24 野田首相、「脱原発依存」の立場は維持しながら、海外での原発売り込み推進という奇怪な態度を表明。

7.25 関西電力の八木社長、高浜原発の再稼働を求める。電力供給の安定性の回復など、一般的理由を強調。

7.27 米国での天然ガスの販売価格が100万BTU当たり3.07ドルまで低下。08年ピーク時の4分の1となる。

7.29 首都圏反原発連合が主催する「7.29脱原発国会大包囲」、主催者発表で約20万人が参加。

7.30 東京電力が、LNGを対米販売価格の8~9倍の高値で購入していることが共産党の質問で暴露される。

7.30 米GEのCEOが「原発の正当化は難しい」と発言。ガスと風力・ソーラーのコンビネーションに移行すると予測。

8.29 内閣府が、「南海トラフの連動型巨大地震」の被害想定を発表。神奈川から宮崎にかけて、20メートルから30メートルの津波が押し寄せ、静岡県だけで11万人の死者が予想される。

8月 西本願寺の大谷門主、「処理方法がない廃棄物を残していくのは、倫理的・宗教的に問題がある」と発言(非公式)。

9.13 政府の国家戦略会議、発電コストの試算上、原発とLNGに差がないことを明らかにする。これはシェールガスの本格開発以前のもの。

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9.10 野田内閣がエネルギー戦略策定。「2030年代に原発稼働ゼロ」とする。米側から懸念が強まる。米エネルギー省のポネマン副長官、前原政調会長に「このような措置を実際に取れば、意図せざる影響もありうる」と恫喝。

9.13 経団連の米倉会長が“緊急”記者会見。野田首相に電話で直接「原発ゼロは承服しかねる」と伝えたことを明らかにする。「日米同盟関係の維持も重要である」ことを強調。

9.19 保安院が廃止され、環境省の外局である原子力規制委員会へ移行。通産省は資源エネルギー庁内の日本原子力研究開発機構を中心に原発の海外売り込みに集中することとなる。


9.24 原子力規制委員会の田中俊一委員長、電力会社による安全評価(ストレステスト)について判断の根拠としない方針を明らかにした。既に30基の1次評価が提出されているが、手続きは白紙に戻ることになる。

9.25 枝野幸男経済産業相、未着工の原子力発電所の新設計画について、電力会社に計画の自主的な撤回を促す考えを明らかにする。また原発の再稼働については政府が関与しない考えを示した。敦賀市の河瀬市長は、「地域の実情を踏まえ、個別に判断していただきたい」とクレーム。

9.30 政府が「30年代原発ゼロ」を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を断念。米政府に対して「安全が確認された原子力発電所は引き続き重要な電源として再稼働させていく」方針を伝える。

9月 武田製薬の長谷川社長(同友会代表幹事)、「原発をゼロにするのであれば企業は事業会計の見直しをしなくてはならない。政府は無責任と言わざるを得ない」と意味不明の発言。

10.01 Jパワー(電源開発)の大間原発、建設作業を再開。

10.01 リトアニアで、原発の建設をめぐる国民投票が行われ反対票が6割を超えた。この原発は日立製作所が受注したもの。

10.02 北海道の主要経済3団体の首脳が、自民党本部で安倍晋三総裁らと会談し、泊原子力発電所の再稼働を求める緊急要望書を手渡す。

10.02 世界の風力発電10年で6倍超 中国が4割、日本出遅れ

10.04 経団連の米倉会長が、浜岡原発を視察。視察後の会見で、「どうしても原発をゼロにするわけにはいかない。再稼動に持って行けたら、世界的な模範になる事例だ」と述べた。

10.04 福島第一原発事故に伴い、各市町村にごみの焼却灰がたまり続け「このままでは数年で満杯になる」ことが明らかになる。

10.13 全国で反原発集会。サッポロ反原発集会は70年安保以来の1万数千人が結集。

10.24 NHK道内ニュース、「この冬、最悪で7.7%の電力不足に陥る可能性がある」と報道。その後毎日「でんき予報」なる情報を流し始める。読売新聞は「北海道の停電は命にかかわる」と脅迫。泊原発を再稼働すれば電力不足を解消できると主張。

12.07 三菱重工と日立製作所が火力発電事業を統合することで合意(すでに水力発電事業は統合済み)。原発維持で統一戦線をはる一方、ポスト原発も視野に入れる。

12.08 衆院選前の世論調査(日経新聞)、「脱原発を目指すが、当面は必要」が61%、「今後も必要」が13%だった。日経は「原発の現実的必要性を認める声が4分の3を占めた」と評価。

12.19 13年から、原油価格とリンクしたLNG長期契約が更新を迎える。

12.25 安倍政権、「原発再稼働は原子力規制委員会の判断による」ことを確認。

12.29 安倍首相、民主党政権の「原発ゼロ」方針の見直しを示唆。

2011年

3月11日 福島第一原発、東北地方太平洋沖地震とその後の大津波で、外部からの電源と、何らかのトラブルにより稼動しなかったとされる非常用ディーゼル発電機を失い、「全交流電源喪失」状態に陥った。(その後の一連の経過については別途当たってください)

3.30 政府は全国の原発を対象に「緊急安全対策」を指示。津波による事故発生を防ぐ当面の手立てを整え、原発の安全性を確保する。

4.11 福島第一原発事故の評価をチェルノブイリ並みのレベル7に引き上げ

4.13 松本内閣官房参与「原発周辺には10~20年住めない」という首相発言を紹介。すぐに撤回。

5.06 菅直人首相が緊急記者会見。浜岡原発全原子炉の停止を中部電力に要求。

5.03 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の事故当時の予測値が公開される。公開された理由も、公開されなかった理由も不明。

5.09 中電、浜岡原発の停止要請を受諾。水野社長は「追加対策の実施後に速やかに再稼動する」と述べ、「原発は電力供給の基幹だ」と言い切る。

5.10 経団連の米倉会長、「政府は安全基準をもっと強化しておくべきだった。政府は何をしていたのか」と非難する。

5.12 福島第一原発1号機が、実はメルトダウンしていたと発表。

5.17 平田内閣官房参与、福島原発からの汚染水海洋放出について、「米国からの強い要請があった」と発言。

5.20 福島第一原発、1~4号機について廃止措置を進めること、及び建設計画を進めていた7、8号機について計画を中止。

5.27 菅直人首相がG8サミットで発言。自然エネルギーの増加と脱原発について言及する。

5.28 俳優の山本太郎さん、原発をめぐる発言のためにテレビドラマ出演ができなくなったことを明らかにする。

5月 スイス政府、福島第一原子力発電所における事故を受けて、2034年までに、「脱原発」を実現することを決定。

6.07 首相官邸で「新成長戦略実現会議」、「原発の早期稼働は国の責任」との声が相次ぐ。主な発言者は日商の岡村(東芝会長)、同友会の長谷川(武田薬品社長)

6.13 イタリア国民投票で脱原発へ。投票率は57%。原発再開反対が94%を占める。ベルルスコーニ首相が敗北宣言。

6.15 「さようなら原発1000万人アクション」が署名行動を開始する。

6.18 海江田経産相、「過酷事故対策は完了し、安全性が確認された。原発が稼働できなければ産業が停滞し国民生活への不安が生じる」と発言。

6.19 原発再稼働の動きが開始される。玄海原発がそのターゲットとなる。古川佐賀県知事や玄海町の岸本町長が暗躍する。

6.29 菅首相、経産相主導で進行する玄海原発の再稼働にストップを掛ける。

6.29 経団連会長の米倉会長、「企業の努力が否定されている。これでは海外移転がますます加速する」と脅迫発言。

6.30 独下院が脱原発法案を可決、2022年末までに全17基閉鎖

7.06 共産党が国会質問で九電やらせメール事件を暴露。

7.07 菅首相、定期点検中の原発について、ストレステスト抜きの再稼働はおこわないと答弁。

7.13 議会解散を狙う菅首相が、記者会見で「脱原発」を打ち出す。与野党から猛反発。自民党の谷垣総裁も「縮原発」を唱えたが腰砕けに終わる。

7.13 朝日新聞が一面に社説。「いまこそ 政策の大転換を」とし、原発ゼロ社会を提言。同社の世論調査(7.17)では、77%が原発を将来やめることに賛成。

7.16 大飯原発の冷却系統に事故が発生、緊急手動停止に至る。

9.11 小泉元首相が厚かましく「脱原発」講演。「政府は原発が最もコストが安いとして原発建設を進めてきたが、国民は原発 が安全だとは信用しなくなった」と述べる。

9.14 経済同友会の行った電力制限に関する経営者アンケートで、「生産量や売り上げへの影響はなし」とした回答が69.3%。

9.29 政府の原子力委員会が「国民の意見」の集計結果を発表。意見書約1万件のうち原子力発電を廃止すべきだという意見が98%を占める。

10.15 モンゴル政府、日本の核廃棄物の処分場建設計画を断念。

10.28 独シーメンス社が「原発ルネッサンス」計画を放棄。原子力発電からの完全撤退を決定。格付会社はこれをポジティブと評価。

10月 原子力安全委員会、廃炉を含め、福島原発事故によって発生した損害は5兆円に達すると発表(かなり内輪の数字だが)。

11.17 関西電力が大飯原発の ストレステストの結果を経産省に報告。原子力安全保安院は再稼働に向けて手順を積み重ねる。

11.21 地震予知連の島崎会長、「震災前に、福島での津波地震を予測していたが無視された。背景には、原子力業界の力が働いていた と感じている」と発言。

12.07 小林よしのりが、雑誌に「脱原発論」の連載を開始。 西尾幹二、竹田恒泰や勝谷誠彦らも「山河を守れ」「国土を汚すな」と呼号。

12.21 福島第一原発1〜4号機の廃炉に向けた工程表が発表される。

12.28 東レの榊原会長(エネルギー基本計画策定会議メンバー)、「原発の順次再開、原子力発電の推進、国家の研究・開発予算の思い切った傾斜配分」を主張。

赤旗が連載で「どう見る 安倍内閣の雇用改革」を掲載している。生熊さんという全労連の人が、インタビューに答える形で話が進んでいる。
その中で注目したのが、「限定正社員は労働契約法改正への対応」という一節だ。
もちろん、全体としてはそんなおとなしいものではなく、もっと労働者を安上がりにコンビニエントにこき使おうというのが本線だろう。
しかし労働者の闘いへの「対応」という側面も見ておかないと、本当の姿は見えてこないのではないかという指摘であり、鋭い見方だと思う。
労働契約法の改正は去年実現したが、実施は15年からということのようだ。(うろ覚えですみません)
これが実施されると、有期雇用でも5年間継続すれば、無期に転換できるようになる。もちろん、連中のことだから色々と抜け穴は考えだすだろうが、そこまで労働者の闘いが前進していることも間違いない。
マツダの判決はそういうところに位置づけられて来るのだろう。

勉強したおかげで、そういう感覚が多少身についたようだ。

赤旗が連載で「どう見る 安倍内閣の雇用改革」を掲載している。生熊さんという全労連の人が、インタビューに答える形で話が進んでいる。
その中で注目したのが、「限定正社員は労働契約法改正への対応」という一節だ。
もちろん、全体としてはそんなおとなしいものではなく、もっと労働者を安上がりにコンビニエントにこき使おうというのが本線だろう。
しかし労働者の闘いへの「対応」という側面も見ておかないと、本当の姿は見えてこないのではないかという指摘であり、鋭い見方だと思う。
労働契約法の改正は去年実現したが、実施は15年からということのようだ。(うろ覚えですみません)
これが実施されると、有期雇用でも5年間継続すれば、無期に転換できるようになる。もちろん、連中のことだから色々と抜け穴は考えだすだろうが、そこまで労働者の闘いが前進していることも間違いない。
マツダの判決はそういうところに位置づけられて来るのだろう。

勉強したおかげで、そういう感覚が多少身についたようだ。

誰かが書いていましたが、「セルっておしゃれ~」
ジョージ・セルを形容するのに、多分一番の形容詞かもしれません。
赤と黒の二色で鮮やかに流れを切り取る、その上に金粉をまぶして一枚の絵を完成させていくような気分がします。しかも赤はちょっとくすんだ臙脂色で、黒は死んだ黒(Dark)ではなく存在感のある黒繻子の黒なんですね。
赤のドレスの女性と黒いタキシードの紳士のデュエットといえばいいのでしょうか。ダンディーでなくては…という感じです。ハイドンの94番「びっくり交響曲」は典型ですね。
だから録音が悪くてくすんでしまうと、技術だけが浮いてしまうのです。腕はいいけど無味乾燥とかいわれてしまうんですね。

「太平洋を二分し米中2カ国で管理しよう」と中国軍首脳が呼びかけたとの報道があった気がする。
空耳だったかなと思っていたら、ネットでも聞いた人が大分いるようで、「けしからん」と怒っている。
ところがなかなかネタ元が見つからない。グーグルでも検索ページの見出しには載っているが、実際にそこのサイトに行くと抹消されている。

探して行ったら、あった!

「TVでた蔵(TV DATA ZOO)」というサイト。
「放送されたテレビ番組で紹介された情報をご紹介するサイトです」と書いてある。

2013年4月23日放送 21:00 - 22:00 NHK総合

ニュースウオッチ9 (ニュース)

アメリカのデンプシー統合参謀本部議長は、きょう習近平国家主席と会談。アジア太平洋地域の安定のため 協力していくことを確認した。
ところが人民解放軍高官との会談後の会見では中国側は太平洋を二分し米中2カ国で管理しようと提案、デンプシー氏は日米同盟 を尊重することを強調した。

うーん、このニュースを聞いたんだなと分かった。ファイターズがホークスにボロ負けして、チャンネルと切り替えた直後だった。

しかし、これは大誤報、大誤訳だった。不適切の枠を超えている。陳謝ものだ。

WSJの記事から引用する。

①太平洋は両国を収容するに十分な広さを持っている。(The Pacific Ocean is wide enough to accommodate us both.)

②どちらの国も相手の「中核的利益」を尊重すべきだ。

③この地域での悪意ある競争、摩擦、対立を回避することが両国にとって重要だ。

韓国中央日報(日本語版)では以下のとおり

房総参謀長は米国との軍事部門協力・交流の必要性を強調し、「太平洋は米国と中国をともに抱き込むほど広い。いかなる状況でも協調的なパートナーにならなければならない」と述べた。

これに対しデンプシー議長は、米軍の「アジア回帰」戦略は中国を封じ込むという意図ではないと説明した。

「NewSphere」では以下のとおり

軍事関係は、今や経済が深く絡み合う両国において、関係づくりが大きく出遅れている分野とされる。

最近はさらに、南シナ海、東シナ海の支配権を主張し、 「海洋強国化」を計る中国と、国家としての関心を再び太平洋にシフトしている米国とが互いに警戒心を募らせている。

会談後、房氏は、「太平洋は両国を収容するに十分な広さを持っている」と述べたという。

ニューヨーク・タイムズ紙はこの一見「鷹揚な」発言に、 「アメリカ一国による支配が永遠には続かないことの示唆」を聞き取っている。


ということで、きょうびこのご時世に、一歩間違えば大変な方向に行きかねない重大な誤報であろう。

NHKはどうフォローしているのだろうか。

マツダ争議団のホームページで次の記事を見つけた。

かなり分かりやすいので紹介しておく。記事そのものは、2013年4月7日付 山口民報よりの転載である。(山口民報は共産党山口県委員会の発行する新聞。中国盲従分子との闘いで懐かしさを感じる新聞だ)

マツダ派遣切り訴訟 山口地裁勝利判決の意義と今後の課題

Q.ずばり、本判決のポイントは?

A.本判決の判断の過程には、2つのポイントがあると思います。

1つは「特段の事情」の判断に関してです。

本判決は、松下PDP事件最高裁判決を前提にしているところに特徴があります。

その上で、

マツダは「常用雇用の代替防止という労働者派遣法の根幹を否定する施策を実施していた」

「形式的には労働者派遣の体裁を整えているが、実質はもはや労働者派遣と評価することはできない」

などとして、「特段の事情」があると判断しています。

私たちの主張していた「常用代替の防止」や「派遣労働者の保護」という労働者派遣法の趣旨・目的を、裁判所が正しく理解した上で判断していることがポイントです。

 もう1つは、(以下略)。

Q.本判決が踏み込んだ結論を出した実質的な理由はどこにあったのでしょうか。

A.そもそも弁護団の考えでは、「特段の事情」がなくとも「黙示の労働契約」が認められるが、やはり「特段の事情」が認められた方が認められやすいという判断です。

本判決は、「特段の事情」があると判断する過程で、

「労働者派遣法には罰則規定の適用がなく、…現実にサポート社員を経験した派遣労働者を保護することができない」

「組織的かつ大々的な違法状態の創出に積極的に関与した被告の責任を、事実上不問に付すことになる」

などと判示しています。


最高裁判決の「呪縛」を打ち破るもの

最高裁判決は、「違法派遣も派遣である」と判示しました。(これについては、私の前項を参照されたい)

しかし、平成24年改正前の労働者派遣法には、労働者を直接に救済する規定はありませんでした。

これに囚われていては違法派遣の犠 牲者を救済することは出来ません。

本判決が踏み込んだ結論を出した実質的な理由は、少なくとも平成24年改正前の労働者派遣法では、「違法派遣も派遣」という 最高裁判決の呪縛を解かない限り労働者を保護できない、という価値判断があったと考えられます。(以下略)


ようやくスッキリした。1週間ぶりの便秘解消、「話が見えてきた」。


「特段の事情」の中身は弁護団の提起したものらしい。

2011年9月22日の「赤旗」にに次のような記事が載った(仁比聡平さんのブログより転載)

マツダがクーリング期間悪用 「特段の事情」に該当

原告代理人の大賀一慶弁護士が、黙示の労働契約義務の「特段の事情」について陳述し、…
①派遺期間の制限が定められた労働者派遣法40条の2に反している
②大規模かつ組織的にサポート化が実施されている
③原告が過酷な生活を強いられている―この3点でマツダのクーリング期間の悪用が「特段の事情」に該当すると説明しました。


つまり、労働者派遣法に違反していること、大規模かつ組織的であること、労働者にきわめて深刻な不具合を生じていること、をもって「特段の事情」の規定としようという提起である。

判決を見る限り、この論理が大筋で認められているようだ。

24日付で共産党が「景気回復案」を発表した。
かなりの分量の論文だが、まずアベノミクスの5つの問題点を指摘し、「5本の毒矢」と非難している。
そしてこれに対応する形で4つの柱から成るプランを提起している。

これまでの議論の集大成という性格もあり、かなりの部分が既出に属するが、この内の「第4の柱: 内需主導の健全な成長をもたらす産業政策」という部分が新しい問題を提起している。

アベノミクスというのは頭の先から足の爪先まで、とんでもない計画だが、とくに三本目の矢が完全に逆向きだ。
ジャブジャブの金融緩和をやって、インフレを起こして、一方で大規模な財政出動をやる。それ自体が大変な博打だ。
そうやって景気を浮揚させた所で、成長戦略を発動するのだが、この成長戦略というのが実体としては労働規制の緩和というのだから、開いた口が塞がらないのである。
矢の向きが逆でしょ? 安倍さん。やるべきは雇用の流動化ではなく、安定化でしょう。

不完全雇用者というのは事実上は半失業者なんです。だから国民所得が下がっているじゃありませんか、非正規が増えたから社会保障の掛け金が入らなくなって、保険も年金も持たなくなっているじゃありませんか。

ということで、それでは「真の成長戦略」というのはいかに立てたら良いのか、その見本を共産党が示すことになった。

「第4の柱 内需主導の健全な成長をもたらす産業政策」
全体は5つのポイントから構成されている。「産業政策、5項目の提案」とも呼ぶべきものである

A.働く人間を大切にして、ものづくりと産業の力を伸ばす。

①コスト削減競争の停止: 人件費の削減と下請け叩きによるコスト削減は明らかに行き過ぎだ。産業の成長力を傷つけてしまった。これをやめる。
②働く人間の使い捨てをやめる: 労働者の使い捨ては、人的資源の浪費である。現場から人材が消えてしまう。大事に育て使って行くべきだ。
③規制緩和政策の停止: 上記を合法化し、可能にしたのは政治の力であり、規制緩和政策のためだ。ルールあるフェアーな社会を再建する。

B 「選択と集中」から転換し、中小企業全体を視野に入れた振興・支援策

①大企業偏重の産業政策の停止: この間、日本の産業を破壊してきたのは大企業だ。大企業に対する過度の保護をやめる。
②下請け叩きを規制する: 下請けいじめは産業の裾野を破壊し、空洞化をもたらした。ルールある商慣行の再建。
③中小企業への「選択と集中」政策を停止: 中小企業全体を視野におく技術力の集積。振興策と適切な規制を“車の両輪”とする政策。

C 自然エネルギーの開発と本格的普及



D 基礎研究を重視し、科学技術、学問研究の基盤を強化する

①大学や研究機関の予算削減をやめる
②目先の成果に振り回されない研究体制

E 農林漁業を、日本の基幹産業、地域経済の柱として振興する

①農業つぶし政策を停止: 近い将来、必ず食糧危機が到来し、基幹産業にならざるを得なくなる。
②食料安保の推進: 食料自給率50%を目指す戦略。
③農業の持つ環境保全性を重視。
④農業の持つ広い裾野を重視。地域経済活性化の柱として位置づける。

ということで、率直な所まだ荒削りだが、全体的な骨格は見えてくる。

当然ものづくりが基本となるわけで、そこは変わらないのだが、そのための方策としては

一つは人材立国という柱である
一つは中小企業立国という柱である。
一つは研究立国という柱である。
一つは自然資源立国という柱である
そして、農業にももっと積極的な位置づけを与えましょうという柱だ。

この柱の建て方は基本的には正しいと思う。欲を言うと、これらを実現するための金融政策が欲しい。
投機資本を中心とする寄生的、撹乱的な金融ではなく、正義と公正を旨とする金融システムのあり方の追求もふくめれば、「金融立国」(国家的信託ファンド)という柱を立てるくらいの政策課題であろう。それは日米摩擦に関して長期的視点を持つためにも必要である。



それでは、大企業はどうなるんだということになる。

大企業は約半分を海外生産に移転している。主観的にどうであれ、国内から見れば、体の半分は商社化していることになる。
それはそれで自己責任でやっていく問題だろう。商社には商社にふさわしい対応がある。
しかし日本国内においては日本の産業政策と社会ルールに従って、ものづくりに貢献してもらうしかない。大企業も、母国を失いたくなければ、受け入れざるをえないはずだ。
こういう社会合意をつくり上げるのが政府の勤めである。

未だ消化不良だが、これ以上突っ込むのも恐ろしい。とりあえず一度やめておく。

感想として、いくつか述べておきたい。
1.そもそも労働者派遣法が悪法である。と言うより派遣労働そのものが違法性の疑い濃厚な労働形態である。
法の基本精神として派遣労働を拡大する方向が見え見えであり、歯止め条項は申し訳程度にしかかかっていない。
しかし、この法律を使わずに派遣労働者の問題を解決することは不可能であり、司法の側としては最大限これを用いながら、労働者の権利侵害を食い止めるほかない。

2.そもそも労働者派遣法が欠陥法である。派遣労働者の権利(受け入れ先企業の責任もふくめて)が労働者派遣法によってではなく、労働基準法と職業安定法によってしか保護されないのは、法体系として著しく整合性を欠いている。原理的には派遣労働者は労働者派遣法によって保護されなければならないはずである。

3.「特段の事情」の論理構築は、そのための最大の課題となる。今回の判決の“画期性”はそのタスクを果たしたことにある。

4.ただ、その際に2012年に行われた労働者派遣法の改正が大きな力を発揮していることも、見落としてはならないのではないか。赤旗の記事でも弁護団のインタビューでも、この点についてはほとんど触れられていない。
いささか、奇異の念を抱かざるをえない。

労働者派遣法が改正されました|厚生労働省
のページをちょっとかじっただけなので、偉そうなことは言えないが…


松下プラズマディスプレイ社 偽装請負事件

というブログがあって、ここで丹念に裁判をフォローしてくれている。

その08年4月26日の記事(MBSニュース)

原告の吉岡力さん(33)は、人材供給会社であるパスコ社から派遣され、大阪の「松下プラズマディスプレイ」の工場で働いていました。

しかし実態は、松下の社員から直接指示を受ける「派遣」であり、違法な偽装請負でした。

吉岡さんは、会社に直接雇用するよう求めていました。
2005年には偽装請負の実態を告発し、直接雇用(契約雇用)に切り替わりました。

しかし1人だけ隔離された部屋で修理作業をさせられたうえ、半年間の契約が切れると解雇されてしまいました。

吉岡さんは不当解雇だとして、裁判を起こします。
一審は吉岡さんの訴えを退けました。

大阪高等裁判所の若林諒裁判長は、吉岡さんの訴えを全面的に認める判決を言い渡しました。

判決の骨子は

①松下とパスコ社との契約は「吉岡さんを労働者として供給する」ものであり、違法かつ無効。

②「実際の働かせ方などから」して、松下と吉岡さんとの間には当初から直接の雇用契約が成立していた。

③したがって松下には雇用責任が存する。

というものだ。

大阪高裁は、「告発の報復のために配置転換を命じた」と指摘しました。また、「解雇権も濫用している」としみとめました。
そして直接雇用による職場への復帰を命じました。(この項は朝日放送)

ここまではきわめてわかりやすい。

これが、最高裁でひっくり返されるのだが、どういう理屈で逆転するのかが分からないと、マツダ裁判が見えてこない。

同じブログの2010年01月01日付け

最高裁第2小法廷は、大阪高裁原判決を破棄し、松下PDPと吉岡力との雇用契約関係を認めなかった。ただし人権侵害行為と雇止めについて認め、慰謝料支払いを命じた。

文章は明らかに即座の判断を避け、逃げたものとなっている。だからわかりにくい。だからといって、松下側に立った“階級的”判決というわけではない。

例えば、最高裁は復職後の嫌がらせと雇い止めについて不法と認めている。

また、労働者派遣法が派遣会社と派遣先の契約を律する法規であることを強調し、①労働者派遣法が取締法規という性質を有すること、②しかしながら、他方では労働者を保護する必要性があること、を上げている。

最高裁判決を平ったく言うと

「内容的に言えばかなりやばいけど、片方には正式の雇用契約があって、松下とのあいだにはないのだから、契約が優先するのは当たり前であって、それをひっくり返すのには、それなりの根拠が必要でしょう」ということになるのではないか。

成文化された契約は二種類あって、企業間の契約と派遣会社対労働者の契約だ。大阪高裁判決は、企業間の契約に不正が存在すれば、もう一つの契約は自動的に無効となる。したがって松下と労働者のあいだの「黙示の契約」が有効となるというものだ。

最高裁は、この“自動性”を否定している。「企業間の契約が違法であっても、即、労働者との契約が無効とは限らないでしょう」、ということになる。

我々からみれば、“自動”であってもおかしくはないのだが、「やはり契約というのはそれなりの重みはあるのだ」ということだと思う。

この辺は同じ法律家同士の阿吽の呼吸みたいなものもあるのではないか。「もう一回論理を組み立てて出直して来い」ということも考えられなくはない。

もう一つは、この労働者派遣法が本来、労働者保護よりもっと前の段階、違法派遣を規制するための法律であって、もし違法があった場合に労働者をどう保護するかということは、あまり念頭に置かれていないということである。

これは法律そのものの限界とかかわる問題だ。

最高裁判決の問題点

最高裁は、松下=パスコの契約は労働者派遣法に対して明確に違法と判断した。それは2つの理由からである。

①製造業務への労働者の供給であるということ(ただしこれは、その後の法律の改正で合法化されてしまった)

②派遣の期間制限に違反していること

ただし、その違法契約によって労働者が保護を必要とされる場合、それは労働者派遣法ではなく職業安定法により規定されるということになるようだ。これは明らかに変な話で、派遣労働者が違法派遣で苦しんでいても、それを規制すべきすべき労働者派遣法に労働者保護の規定がないということになる。

最高裁はパスコ社対労働者の契約は、職業安定法に定める「労働者供給」には当たらないと判断した。(よく分からないが、きっと職業安定法というのは口入れ稼業とかタコ部屋労働の類の禁止をうたったものではないか)

であるからして、特段の事情のない限り、供給元・パスコと労働者との間の「雇用契約は有効に存在」すると判断したのである。これで黙示の雇用関係は無意味となる。

民主法律家協会の立場

民主法律家協会は、以下のごとく厳しく最高裁判決を批判している。

本判決は、派遣先・派遣元がどれだけの違法・無法を行っても、それは違法派遣として行政が取締まるかどうかの問題に過ぎないとした。

裁判所は、違法行為者の責任を追及もしないし、その違法行為によって不安定で劣悪な実態に晒される労働者を救済もしないというに等しい。

まことにもって正論である.

この他にも、民法協の声明は汲むべき示唆が多く、非常に勉強になる。とくに「黙示の労働契約論については、事例判断に過ぎないのであるから、今後も大いに主張されるべき」というあたりは、さすがという感じだ。

ただ、裁判の現場で会社側弁護人が形式論理でグイグイ押してきたら、それに打ち勝つだけの論理や心証を持ち得なかったというのが、ありていの所ではないだろうか。そんな気がしてならない。とにかく依拠すべき法律が根本的な弱点を抱えているのだから…

民法協の言葉を借りれば「言うに等しい」というのは、「同じだ」という意味ではない。「結論として同じ意味になってしまうではないか」という意味である。

確かに結論としてはそうなのだが、“違法行為者の責任の追及”と“労働者の救済”を否定しているわけではないということも見て置かなければならない。

そこで出てきたのが「特段の事情」というかぶせ方である。つまり特段の事情という「プラス・アルファの論理」を、企業間契約の違法性の上に乗っければ、「職業安定法など持ち出さずに派遣労働法1本でやれちゃうんじゃないですか」という示唆だ。

そうなると、最高裁判決は「下級審でその辺りをしっかり根拠付けてもう一度上げてこいよ」という呼びかけにも見て取れる。

とにかく時代遅れの職業安定法でやっっていたんでは間尺に合わないから、労働者派遣法をもう少し膨らませて、「派遣時代」に見合った法的整合性を形成しなければならない。

と言いつつも、「相手は企業弁護士だ。相当気合を入れないと勝てないよ」と釘を差すことも忘れない。マツダ裁判の弁護団長が「完璧だ」と豪語したのはそのへんも関係しているのではないだろうか。

こういう問題意識は感じ取れると思う。

中小企業の月次景況が、厳しいものとなっている。
円安の影響だ。
全国中小企業団体中央会の調査によると、「円安の進展による輸入原材料などの調達コストが上昇し、これを価格転嫁できない厳しい状況」が出現している。
また中小企業金融円滑法が期限切れとなることで、資金繰りの悪化が懸念されるとしている。
調査に寄せられた声として、
「中小企業金融円滑化法の期限切れで銀行への支払いが厳しくなった」、「重油代パルプ代など原材料の高騰が経営を圧迫し、見通しがたたなくなっている」
「輸入食肉が高騰、食用油やパン粉、包装資材も値上げ基調となっている」
等が挙げられている。
円安は盾の両面を持っている。円高・円安どっちに振れても、そのつけは弱者に回されることになる。

マツダ「派遣切り」裁判

山口地裁判決の意義

というのが今日から始まった。「国民運動」面トップの記事で紙面の1/4を使う大々的な扱いで、しかも連載らしい。

実は3月19日から23日にかけて私も三度ほど記事を書いた。そのなかで「やっぱりよくわからない」と繰り返した。その声が届いたのか、届かなかったのか、今度は内山弁護団長自らが解説をしてくれている。聞き手はあの酒井記者だ。

何故、画期的なのか

これはパナソニックPDPの大阪高裁判決、同じく最高裁判決、そしてこのたびの山口地裁判決と三つのセットで考えなければならない。

この三つで考えれば、画期的なのは大阪高裁判決であり、それが最高裁判決で押し戻されて、今回ふたたび前進的な判決に至ったという経過である。

だから山口地裁判決が画期的というからには、何か大阪高裁判決の“画期性”を上回るような“画期性”があったと見なければならない。これが素人の考えである。

それが何なのかが、やっぱりよく分からない。大きな流れの中で“画期性”を言うなら、大阪高裁判決とセットでの画期性ということになるのではないか。それとも、もっとショートレンジの話で、最高裁で逆転敗訴されたあとの、さまざまな判決の中で画期的ということかもしれない。

現に本日の記事のメイン見出しは「派遣先の雇用責任認める」になっているが、これを「黙示の労働契約」という論理で打ち出したのは、大阪高裁のPDP判決である。

黙示の労働契約の論理そのものは、最高裁判決でも否定されていないはずだ。最高裁は黙示の労働契約を否定はせず(肯定もしていないが)、ただそこに至るハードルを嵩上げ(特段の事情)しただけである。

ということで、かなり期待して記事を読んだのだが、さらに混迷を深める結果となった。
悪いがこの記事は読まないほうがいい。もつれがひどくなる。
自分で調べたほうがいい。
「判決文そのものに目を通せ」とすすめているから、そうしてみようか。

琉球新報がスッと胸に落ちる

琉球新報の4月19日付社説が良い。スッと胸に落ちる。

政府主催とはいえ、世論が分かれる式典に出席を求めたことは大いに疑問

というのが主張だ。

まず、昭和天皇のメッセージを紹介する。「米軍による沖縄の長期占領を望む」という占領軍あてのメッセージだ。天皇自らの意志がどのくらい関わっているかは抜きにして、これがあまりにむごい「裏切り」であることは、誰にでもわかる。

沖縄県民にとって「屈辱の日」とされるのもむべなるかな、である。

つぎに、昭和天皇と今上天皇を分けて考えている。

1 今の天皇陛下は「政治的な関与をされているとは思わない。非常にいい形で、象徴としての役割をされている」…との見方は、国民の多くもうなずける。

2 ことしの「歌会始の儀」でも万座毛、恩納岳を詠んだ。沖縄に意を用いていることは過去の会見からもうかがえる。

3 70歳の会見で天皇陛下は「沖縄の歴史をひもとくことは島津氏の血を受けている者として心の痛むことでした」「沖縄の人々の気持ちが理解できるようにならなければと努めてきた」と振り返った。

4 昨年12月の会見でも「沖縄はいろいろな問題で苦労が多いことと察しています。その苦労があるだけに日本全体の人が、皆で沖縄の人々の苦労をしている面を考えていくということが大事ではないかと思っています」と述べている。

と、これでもか、これでもかと実証を積み上げていく。

そして、

沖縄の「苦労」に理解を示す天皇陛下に、沖縄が反発する「主権回復の日」式典への出席を求めるのは、天皇陛下自身の意にも反するのではないか。

と、殺し文句。

見事に決まった背負投げという感じだ。ただ、昭和天皇悪い人、今上天皇良い人と截然と分ける論法は、沖縄の人の心なのだろうか? という思いは残る。


東京新聞「こちら特報部」4月5日でも、ほぼ同様の内容が更に詳しく記載されている。(かなり読みでがあるので直接あたってください。元記事はすでに消失していますが、こちらに転載されています)

「沖縄タイムス」も同じ論調だ。「北海道新聞」は千島列島が放棄されたことも、指摘している。


志位さんが声明を発表後、記者団の質問に答えて注目すべき発言を行なっている。
安倍政権にとって、ビビるような中身だ。

A.「国事行為」はすべて内閣の助言と承認によって行われるので、天皇はこれを拒否することはできません。

B.いっぽう、国民の間で明確に意見がわかれるような場合は、「国事行為」とはみなされないし、天皇の出席を求めることも認められません。

ということで、天皇の出席を二つの条件のもとで可能と考えるのである。
すなわちひとつは、国事行為、あるいはそれに準じる国民の一致して支持しうる公的行為。
そしてもうひとつの条件は、内閣が承認し、その助言のもとに行われる行為ということである。

この二つの条件が満たされない場合(今回の場合、国事行為としての要件を客観的には満たしていない可能性が高い)
こういう場合、天皇側としてはどういう立場をとるべきだろうか。というのが問題の一つ。

もう一つは、その応用問題となるのだが、どういう立場をとることが可能なのかという問題である。

2.26事件のように、「速やかに各所属部隊の隷下に復帰せしむべし」の奉勅はさすがに出せるものではないが、反乱軍に担がれるようなマネはしなくても済むはずだ。

ちょっと難しいが、志位さんの発言をそのまま引用する。

仮に天皇の側が、「式典に参加しない」という判断をした場合には、
1 憲法第4条の「国政に関する権能を有しない」、
2 憲法第1条の「国民主権にもとづく「国民統合の象徴」、
3 憲法99条に規定されている天皇の憲法遵守義務
にかなった判断として、当然の判断ということになります。


つまり、欠席することも(例えば体調不良を理由に)、あるは公然と出席を拒否することも憲法上可能であり、根拠がある、ということだ。

難しいのは、出席しないということも、それ自体が国政に係る判断だということである。「国事」ではないという判断が前提になるからである。

しかし、いかなる国事行為も常にそうなのだ。原理的にはそのつど、判断がなされていることになる。積み重ねが国事行為の枠組みを決めていく。
そしてその判断の積み重ねが「国民統合の象徴」としての天皇の権威を強めることになる。

以前、小沢一郎筋から習近平(当時副主席)との会談を強要されたことがあった。あの時は「天皇の政治利用だ」と自民党が猛反対した。今回の出席問題もその重要なスポットとなるだろう。

それにしても、このような党利党略がらみの問題で陛下にご迷惑をお掛けするのは、臣民として不徳の極みではないだろうか。
むかし議会で陛下に尻を見せてはいけないと、後ずさりで会談を降りるのだが、何分にも高齢の故、それができなかった参院議長が、それを理由に辞職した話があった。この伝でいけば、安倍首相は二度目の辞任を考えるべきだろう。

「主権回復の日」式典が天皇の出席をめぐり大変な問題になっている。

一つは、「天皇も出席するのだから」といって各県知事に列席を促しているようだ。
岩手県知事は、式典そのものに色々な思いはあるのだが、天皇陛下が出席される式典を、欠席するわけには行かないと言っている。たしかに保守は知事としてはもっともなことだ。
しかし、それにもかかわらず、全国の知事の半数以上が欠席ないし代理出席の意向を表明している。
これは大変な驚きだ。「そんなことしちゃっていいのか?」とオールド左翼としては老婆心ながら心配である。


もちろん内閣が決めたら、天皇は従うほかない。それが「現在」の憲法である。
しかし、これまでの言動から見て平成天皇がこれに賛同しているとは思えない。何よりも4月28日を「屈辱の日」とする沖縄の県民の意思は重いのである。

昭和天皇は、終戦の可能性も生じていた昭和20年はじめ、みずからの意志で沖縄決戦を決断した。終戦に至る過程と天皇の関与についてはまだ結論が定まったとはいえないところもあるが、沖縄開戦に天皇が大きな影響を与えたことは確実である。
これは昭和天皇にとっても、今生天皇にとってもトラウマとなっていることは間違いない。少なくとも「祝おう」という気分にはなれないだろう。

4月28日はサンフランシスコ条約の調印日でもあるが、沖縄決戦が熾烈化し、鉄の雨が降理注いだ時期でもある。我々の学生時代は「4.28」は沖縄デーだった。

沖縄県は48分の1ではない。ただ一つ、「醜の御楯」となり、日本を代表して苦難の道を歩んできた県である。

沖縄の心を無視し、あまつさえ「大御心」を慮ることなく、党派的野心で突っ走るのなら、それは昔の軍部と同じではないか。


自民党のゴリ押しにもかかわらず、多くの県知事が事実上のボイコットを決意するには、やはり、過ぐる大戦における「義」に背くことはできないという引っ掛かりがあるのではないだろうか。

それは安倍内閣の若造どもが、天皇を政治的に利用することへのルサンチマンもあると思う。
日本の伝統的保守層に深い亀裂が入りつつある。これはバリバリの活断層だ。

トービン税・金融取引税に関する年表

トービン税の提唱

1972年 ニクソン・ショックが発生。ブレトンウッズ体制が崩壊し、変動相場制に移行。為替相場に投機資金が参入。各国の経済政策が大混乱に陥る。

1972年 エール大学のジェームズ・トービン、「投機目的の短期的な取引を抑制するために、国際通貨取引に低率の課税をする」ことを提案。「トービン税」と呼ばれるようになる。 

1973年 ブリュッセルで国際銀行間金融通信協会(SWIFT)が設立される。世界各国の金融機関などに通信メッセージ・サービスを提供。このシステムの導入により、為替取引の特定とその課税に必要なすべての要素が技術的に捕捉可能となる。

1978年 トービン、①国際金融システムの不安定化の原因は、為替制度自体ではなく民間金融資本の過剰な流動性にあると強調。②短期の投機的金融取引は実体経済に苦痛を与えるものと非難。③解決策として世界共通通貨を提唱、それまでの次善の策としてトービン税を位置づける。

トービンは税収については特別の配慮はしなかった。税収は「副産物」であって、IMF や世界銀行と徴収した国とで分け合えばいいと考えていた。

(世界通貨=バンコールについては 2011.10.15 バンコールとITO 経済民主主義の復権に向けて を参照されたい)

1984年 スエーデン、株式・債券に課税。金融不安と株価暴落をもたらし、91年に課税を廃止する。課税対象が国内に限定されていたため、多くの金融機関が海外の仲介サービスを利用するなど、制度設計上の問題が指摘される。以後、トービン税は実行不可能として忘れ去られる。

国際連帯税としての復活

1992年 欧州通貨制度(EMS)への投機筋の攻撃。スペインは通貨投機に対抗しその固定為替レートを維持するため,中銀預託金規制を導入。外貨増加分相当額の自国通貨を1年間,中央銀行に無利子で預託させる.多くの迂回取引を生じたことから、効果は限定的だったとされる。

1994年 国連開発計画(UNDP)、人間開発のための財源として、国際為替取引税に注目。0.05%の課税で年間1500億ドルが調達できると主張。初めてトービン税を国際連帯税として位置づける。

1995年 フランクフルト大学のシュパーン(Spahn)、トービン税の問題点を指摘。税率の低下とデリバディブなどへの包括課税を骨子とする修正案を提示。さらに投機的な取引への課徴金をふくめることを主張。これにより数カ国単位でも租税回避をもたらすことなく実施可能と主張する。

1996年 国連のガリ事務総長、国連の財政基盤確立のため国際金融取引やグローバルな通貨取引税を提唱。

1996年 シュパーン、二段階課税方式を提唱。平時には0.1%とし、税収を貧困撲滅のための資金とする.通貨危機時には税率を80%まで引き上げ、取引で利益を上げられないようにするというもの。

1997年 アジア通貨危機に始まる国際通貨不安。為替相場安定策の一つとして、トービン税にふたたび注目が集まる。

1998年 フランスでATTAC(Association for the Taxation of financial Transactions for the Aid of Citizens) が結成される。

1999年 カナダ議会、「国際社会と協力して金融取引に課税すべき」との提案を採択。

1999年 日本で有価証券取引税、取引所税(先物とオプション取引)が廃止される。90年代はじめには8千億の税収となっていた。

2000年

1月 イギリス下院が、政府に金融取引税の検討をうながす決議。

4月 ヨーロッパ議会が、金融取引税導入の「具体的条件」を検討するが、決議案は僅差で否決される。

2001年 フランス議会、「EU域内のすべての加盟国が賛同する」ことを条件に、トービン税の導入を決議。

2001年 イギリスのNGO「欠乏との戦争」(War on Want)、「ロビン・フッド税」を提唱。通貨取引に0.1%の課税をもとめる。

2002年 世界主要銀行のための単一の国際決済機構としてCLS(Continuous Linked Settlement Bank)が設立される。オフショア金融センターもタックスヘイブンも参加せざるをえなくなる。これによりオフショア取引やデリバティブも補足可能となり、金融取引税の技術的困難はほぼ消失。

2004年 ベルギーの国会がトービン税法案を可決。通常時の税は0.02%、異常時は80%とする二段階税率を採用。

2005年 シラク大統領、世界経済フォーラムで演説。国際金融取引をふくむ国際連帯税を提案する。

リーマン・ショックと投機資本への懐疑

2008年

10月 リーマン・ショックが発生。欧州各国銀行が破綻の危機。EU加盟国は金融機関救済のため4.6兆ユーロの支援。この結果政府の公的債務が対GDP比80%以上に達する。また通貨取引以外にもデリバティブなど危険な金融市場が数多く存在していることが明らかになる。

2008年 日本で、国際連帯税の創設を求める超党派の議員連盟が発足。

国際連帯税: 投機抑制を目的とせず、市場活動の障害とならないようきわめて低い税率で課税する方式。通貨取引開発税とも呼ばれる。

2009年 日本で税制改正大綱に「国際連帯税の検討」が盛り込まれる。

2009年

8月 英国金融サービス機構のターナー会長、バブル再燃の懸念があるとし、肥大化した金融セクターの縮小と金融取引税の導入を提唱する。政府は火消しに躍起となる

9月 リーマン・ショック後の経済危機の中、ピッツバーグ・サミットが開催される。「銀行システムの修復のために各国政府が負担を負った。これに対し金融セクターがどう貢献するか」を検討することで合意。

10月 ブラジル、金融取引税を導入。外国人のレアルでの株式・債券投資に2%の取引税を課す。過度の外貨流入を制限することにより、レアル値下がり効果を期待したもの。

11月 イギリスでG20会議が開かれる。「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を導入することで合意。ブラウン首相は、「好調時は少数の金融機関が利益を享受し、破綻時の損失は国民が負担するというのは許容できない」と述べ、国際金融機関の破綻に備えるために金融取引課税を提唱。フランスが支持するが、アメリカ、カナダ、ロシア、IMFが反対し流産。

12月 EU首脳会議でもトービン税が話題となる。フランスは途上国の環境問題に当てられるべきとし、イギリスは金融危機に備える基金として積み立てるべきと主張。

2010年

4月 BISが外国為替の取引額を発表(3年に一度)。一日あたりの取引総額は約5兆ドル。ロンドン市場が4割のシェアを占める。トービン税が提唱された頃は年間4兆ドル。

5月 米株式市場でフラッシュ・クラッシュが発生。わずか数分の間にダウ平均が1000ドル近く下落する。高速取引が原因とされる。

高速取引については、12年5月31日「高速取引とは何か?」、「高速取引と株式市場の荒廃」と6月7日「株式市場はいまや賭場」を参照されたい。

6月 トロント・サミット。金融システム修復に関する政府負担を金融セクターが補償する原則で合意。金融取引税についてはIMFの強硬な反対で流産。

10月 欧州委員会、金融セクターへの課税構想を発表する。金融取引税ではなく、金融機関の利益に課税する方式が望ましいとの見解を示す。

①リスクの高い取引を続けた結果、破綻に追い込まれ、公的救済を受けた金融機関に対し、公正な税負担をもとめる。②実体経済に資することのない金融取引へのインセイティブを抑制する。ことを柱とする。

金融取引税の現実化

2011年 

6月 欧州委員会、金融取引税方式に復帰。金融機関による景気回復の費用負担、高リスクで非生産的な金融取引の抑制を目指す。

9月 欧州委員会は加盟27カ国に対し、共通基準での金融取引税導入に向けての準備を指示。14年1月からの実施を目指す。イギリスなどはこの方針に強硬に反対。

EU全体で570億ユーロの税収をめざす。税収の2/3がデリバティブ、そのうち8割が金利スワップなど金利関連デリバティブ取引から見込まれる。同時に域外流出や課税回避によりデリバティブ取引が9割減少すると見込まれる。これによりEU域内GDPは0.5%減少すると試算。

11月 カンヌ・サミットが開催される。ビル・ゲーツ、金融取引税を提唱。株式へ0.1%、債券へ0.02%の課税を求める。英、米、カナダの反対で宣言には盛り込まれず。

2012年

1月 フランスのバロワン経済・財政・産業相が「金融取引税については、株式だけでなく、債券やデリバティブを含むあらゆる証券を対象としたい」との考えを示す。

3月 フランスで、金融取引税の導入をふくむ補正予算が成立。為替取引を対象から外し、株式の取得、国債CDS、高頻度取引に限定。

5月 欧州議会、欧州委員会の提案を採択。

7月 EU財務相会議。EU全27カ国の合意をとることに失敗。「強化された協力」(Enhanced Cooperation) グループ11カ国での見切り発車となる。(ベルギー、ドイツ、エストニア、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、オーストリア、ポルトガル、スロベニア、スロバキア。 すべてユーロ圏)

8月 フランス、金融取引税制度による課税を開始。企業は株式の現物取引から手を引き、差額決済契約を利用する方法で課税逃れを狙う。

12月 グローバル金融危機以降、米国・日本・欧州連合(EU)の中央銀行が供給した通貨が5兆ドルに達する。

2013年

1.22 ヨーロッパ11か国の蔵相が金融取引税の導入で合意。すべての株、債権取引に0.1%、デリバティブ商品の契約に0.01%課税する。

域外逃避を防ぐために拠点主義をとり、11カ国金融機関と関係した域外国の金融機関も対象となる。(例えば、中国銀行のシンガポール支店が米国の機関にフランス国債を販売すれば、この銀行はフランスに税金を送金しなければならない)

1.30 韓国政府企画財政部の崔鍾球国際経済管理官、「短期海外投機資本を規制するために、できるだけ早く韓国型の金融取引税を導入しなければならない」と述べる。

2.14 欧州委員会、EU加盟国のうち11カ国による金融取引税の導入で合意。

9月末までに各国が法律を整備し、14年1月より実施することとなる。取引税の導入で傘下11カ国で年間300億ユーロ以上の税収を見込む。

2月 

トービン税をめぐる内外の動向 - 国立国会図書館デジタル化資料

を中心に各種資料を参考にして作成。

土日かけて、トービン税についてだいぶ勉強した。

トービン税については

(1)金融危機対策の費用を賄う(国際的な金融機関の破綻に備える)

(2)通貨に対する過剰な投機によって引き起こされる通貨危機を防ぐ

(3)発展途上国などの発展支援の財源を賄う

などの観点から導入が検討されている。

現在の感想としては、いろいろ手垢がついたが、原理としてはオリジナルのトービンの考えが一番すごいということだ。

来年のはじめから実施される11カ国の金融取引税も、迂余曲折の末ではあるが、当初のトービンの発想にかなり近いところがある。

一言でいえば、オリジナルのトービン税は「妖刀村正」だ。これがあるだけで投機資本家は夜も眠れないだろう。トービンは大変な時限爆弾を残していったと思う。ボンバーゲームの爆弾みたいに、時間とともにどんどん大きくなってくる。

それだけに投機資本家からの攻撃も凄まじいものがある。一番多いのは、トービン税をキワモノ扱いして、そんなもの出来っこないよと批判するやり口だ。ところが「出来っこない」と思っていたのが、金融グローバリズムが進行するに従って、妙に現実的可能性を帯びてきた。これが「妖刀村正」たる所以だ。

それに、そもそもトービン自身が決してキワモノではない。おなじノーベル賞受賞者でもスティグリッツなどは結構怪しいところがある。しかしジェームズ・トービンは一点の曇りもない正統派の経済学者だ。ハーバード大学を卒業した後、計量経済学者としてケインズの一般理論を数理的なモデルで構築した。アメリカ経済学会会長も勤めている。「q 理論」は素人にも分かる古典的セオリーだ。ノーベル賞の対象となったのは、いまや投資家のイロハとなっている「ポートフォリオ理論」だ。

だから、誰もトービンをキワモノ扱いはできない。

第二には、トービン税は税という形をとっているが、本質的には税ではなく投機資本の横暴を阻止するためのツールだということだ。だからトービン税を批判するときには、租税体型の中の位置づけとか、実行可能性の問題で批判するだけでは済まないのだ。投機資本の横暴を阻止すべきなのか、放置すべきなのか、もっとやれとけしかけるのか、という信条告白をしないと議論に参加できない仕掛けになっている。でないと切ったつもりが切られているという仕儀に相成る。

第三には、トービン税は世界通貨、ケインズのバンコールに直接つながっているということだ。トービンは究極的には世界通貨の実現=為替制度の廃止以外の解決策がないということを明確にしつつ、そこに至る過程での過渡的制度としてトービン税を位置づけている。投機資本家にとって地獄への道は敷き詰められているのだ。(すみません。ここのところは勉強不足でうまく説明出来ません)

トービン税は長いことお蔵に積まれてきた。ふたたびオリジナルな意味で注目を浴びたのはリーマンショック以来のことだ。それまでは国連の開発機関とかATTACというNGOあたりが「利益の分前を」という形でトービン税の枠組みを利用してきた。しかしトービンにとっては税収をどう使うかなどはどうでも良い問題だった。そんな形で投機資本と共存しようなどとは考えていなかった。

もっとも目に付く形で、思想としてのトービン税をふたたび押し出したのは、皮肉なことに、ロンドン市場のお膝元で、今や反対の急先鋒となっているイギリスの首相ブラウン(当時)だった。

彼は、「好調時は少数の金融機関が利益を享受し、破綻時の損失は国民が負担するというのは許容できない」と、投機的金融機関を糾弾した。そして金融機関のガバナビリティーを問い、その証として、国際金融機関が自己資本を許可するだけでなく、みずからの破綻を防ぐための準備をもとめた。そしてそのための積立財源として金融取引税の実施を提唱した。ブラウンの思想性は一連の各国首脳発言のなかで際立っている。もっと注目されるべきだろうと思う。

もう一つの皮肉は、トービンの提唱から40年を経て飛躍的な発展を遂げた情報化社会が、逆にトービン税の実現可能性を高めたことである。トービンの提唱の1年後、国際銀行間金融通信協会(SWIFT)が設立されて、為替取引のすべてが捕捉可能となった。2002年には常時接続型決済銀行(CLSB)が設立され、オフショア取引やデリバティブも補足可能となった。もはや投機資本は、ボストンの監視カメラの前に立つ爆弾犯人のように、その姿をコンピュータの前に晒さずには活動できなくなっている。トービン税を実施するための技術的障壁は消失した。

いま最後の難関が目前にある。はたして11カ国で「革命」を始められるかという問題だ。80年代にスエーデンは取引税を単独実施し、甚大な被害を被った。はたして11カ国はその轍を踏まないで済むのだろうか。

シュパーンは金融取引税の税制を二段階化することで、一部の国からでも実施可能だと論じている。欧州中央委員会は、拠点主義(取引が発生した所で徴税する)の採用と、すべての高速取引に包括的に網をかぶせることで、11カ国からのスタートは可能と判断している。

実施が予定される来年の1月1日を前に、全世界が固唾を飲んでいる。

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